密着! カツコ様と行く☆

ドキドキオカルトツアー!


──ムンッ! この妖気! まぎれもない妖怪の仕業!

1.エントリーとシナリオ概要

【シナリオ概要】


 カツコ様と一緒にテレビに出ることになった盤外視座の陰陽師たち! どうして!? なぜ!? 答えはカツコ様だけが知っている。 さあ、レッツ悪霊退散!

【事前情報】


 クエリー:1 シェア:1 チャレンジ:1 リーサル:1 リトライ:2
 想定時間:2〜3時間 推奨経験点:0点〜10点前後。より経験豊富なPCがいる場合、エネミーを随時強化すること。

【GMに要するルールブック】


・基本ルールブック(BJR)

【エントリー】

【PC1】

 君は盤外視座の一員だ。カツコ様に借りがある。(借りの内容は好きに設定して良い)

【PC2】

 君は盤外視座の一員だ。金が無い。金が欲しい。(金が欲しい理由は好きに設定して良い)

【PC3】

 君は盤外視座の一員だ。 プライベート中、自宅の近くにオカルト番組の取材が来た。 カツコ様も来た。PC1と2も来た。

2.導入フェイズ

【エントリー1:債務】

登場:PC1、カツコ様舞台:荒夜髭神社

【状況1】

 君はカツコ様に借りがある。 それはどんな借りだろうか。

【状況2】

 君のもとに鍾馗の式神が現れた。「カツコ様がお前をお呼びだぜ。お前なにしたの?」 カツコ様のもとに向かうと、彼女は君に一枚の契約書を差し出した。「借りを返してもらおうか、PC1よ。ワシについてこい。まさか嫌とは言うまいな?」 契約書には「テレビ出演承諾書」と書いてあった。

【エンドチェック】

□TVに出ることになった

【解説】

 カツコ様への借りはなんでもいい。シリアスなものでもコミカルなものでもいい。 カツコ様側から積極的に押し売りされた借りでもいい。 要は断れない理由になればそれでいいのだ。

【エントリー2:金欠】

登場:PC2、カツコ様舞台:どこでも

【状況1】

 君は今、金が無い。 そして今、金が要る。 それは何故だろう。

【状況2】

「お困りのようじゃの」 そんな君のもとにPC1が現れた。 手には何故かカツコ様の式神と一枚の紙。 式神からカツコ様の声がした。「うまい儲け話があるぞい。ギャラは弾むと言うとったでな、ほっほっほ」 差し出された紙には「テレビ出演承諾書」の文字が…!?

【エンドチェック】

□TVに出ることになった

【解説】

 金欠の理由はなんでもいい。シリアスなものでもコミカルなものでもいい。 カツコ様のせいで起きた金欠でもいい。 要は断れない理由になればそれでいいのだ。

【エントリー3:家凸】

登場:PC3、カツコ様、PC1、PC2舞台:自宅付近

【状況1】

 君は今、プライベートの最中だ。 盤外視座は決して表に出ない闇の組織、戦いがない日は人並みの生活を送ることもある。 その日も君が日常を過ごし、自宅への道を進んでいると、前方にテレビクルーの姿が見える。 スタッフのシャツには「ドキドキオカルトツアー」なる番組名がプリントされている。 夏によくあるオカルト特番だろう。 本物を知る君たちからしてみれば、作り物に過ぎない、ただの娯楽作品の一つだ。 君は無関心にその横を通り過ぎようとして……。
「ハイ、では今回はゲストに盤外視座のカツコ様をお招きしてお届けしたいと思います! よろしくお願いします!」「ムンッ! この妖気! まぎれもない妖怪の仕業!」
 飛び込んできた声に二度見した。 カツコ様がいた。 PC1とPC2もいた。 目が合ってしまった。 なにしてんの?

【エンドチェック】

□目が合ってしまった。

【解説】

 逃げられない。諦めて欲しい。

3.展開フェイズ

【シェア:合流】

登場:カツコ様、PC1、PC2、PC3舞台:PC3の自宅付近

【状況1】

「ムッ、あやつは…!」 こちらを見るPC3にカツコ様の目が光る。PC1とPC2は即座に理解した。 これは『頭数を増やしたいから奴もつれてこい』の意味だ。
 突如鋭い眼光を放ち始めたカツコ様に、何も知らないリポーターが生唾を飲む。「どうされましたか、カツコ様?」「この妖気……間違いない。あの人物、妖怪に憑かれておるぞ! このままではその身が危険じゃ! PC1、PC2よ、行けェい!」
 逃がすわけにはいかない。 全力で巻き込みに行こう!

【エンドチェック】

□PC3を巻き込んだ□PC1とPC2に巻き込まれた□成長点ボーナス1点を得た

【解説】

 逃げられない。諦めて欲しい。 PC同士に楽しくコミュニケーションをとりながら逃げたり巻き込んだりしよう。 スタッフ達はそもそも仕込みだと思ってたり演出の一環だと思い込んでたりする。味方はいない。

【チャレンジ:無いものを有るように見せつつ本気は出さない程度にしかしいいかんじに見栄えのよいものをそれっぽくテキトーにやる除霊】

登場:カツコ様、PC1、PC2、PC3舞台:オカルトスポット各地

【状況1】

 PC3は見事に巻き込まれ、PC1・2同様にカツコ様の助手として処理される。 君たちはカツコ様とテレビクルーに連れられて、東京都内のオカルトスポットを巡ることになった。 ロケ弁を食べながらカツコ様が君たちへ言った。「要はそれっぽければ良いのじゃよ。 どうせスタッフも本気にはしとらんからの。 無いものを有るように見せつつ本気は出さない程度に しかしいいかんじに見栄えのよいものをそれっぽくテキトーにおやり」 めちゃくちゃなことを言われた。
---------------■チャレンジイベント 1d6を振り、出た目のイベントを行う。 1人1回イベントを行う。 同じ出目が出た場合、追加で1d6を振り、 奇数なら上の、偶数なら下のまだ発生していないイベントを処理する。
----------1:廃寺に来た。崩れた墓が随所に転がっている。 カツコ様が式神で語り掛けてきた。 『人魂っぽいものを作るのじゃ』いきなりハードルが高い。 ……判定:科学
2:廃校に来た。これまたド定番だ。 カツコ様が式神で語り掛けてきた。 『理科室の人体模型を走らせるのじゃ』ええ…。 ……判定:操縦
3:廃墟に来た。だいぶ崩れかけていて結構危ない。 カツコ様が式神で語り掛けてきた。 『ここでバッチリ心霊写真を撮るのじゃ』せめて仕込みぐらいさせてほしい。 ……判定:作戦
4:廃駅に来た。線路が雑草で途切れている。 カツコ様が式神で語り掛けてきた。 『ここで幻聴を聞いたフリじゃ』な、何を聞けと? ……判定:知覚
5:廃神社に来た。長い長い階段をカメラマンが頑張って登っている。 カツコ様が式神で語り掛けてきた。 『神隠しをでっちあげるぞ。おぬしちょっと今から消えろ』嘘でしょ。 ……判定:運動
6:廃トンネルに来た。季節のせいかジメジメとしている。 『思いつかんから気持ちが悪くなったフリでもしとけ』て、適当ー…。 ……判定:生存--------------------
失敗時:チャレンジ・ペナルティ・チャートを使用する(ゲーム進行上妨害となるものが出た場合は振り直す)

【エンドチェック】

□チャレンジ判定を行った

【解説】

 スタッフはたまたま余所見をしているのかもしれないし、気付かないのかもしれないし、やらせと分かった上で撮ってるのかもしれない。状況に応じて囃し立てよう。

【クエリー:何故】

登場:カツコ様、PC1、PC2、PC3舞台:ロケ車内

【状況1】

「皆さんのおかげで撮れ高十分ですよ~! では次が最後なので、よろしくお願いしまーす」 君たちは散々連れ回され、最後のスポットへと向かうことになった。 疲れ切ったロケ車での移動の中、カツコ様は台本をパラパラとめくっている。 君たちは流石に、彼女に一体どういうつもりなのかと問い詰めることにした。

【状況2】

「ワシが何も考えずこれに出演したと思うか?」 カツコ様が手の中の台本をつつく。「とはいえ、今は全てを言えんわい。言えば台無しになってしまうでな。わしが狙っておるのはな、そういうものよ」 そうして彼女は怪しげにニヒヒと笑って尋ねた。「のう、のう、若造ども。存在しないものを狩るにはどうすれば良いと思うさね?」

【状況3】

 君たちの答えを聞いても、カツコ様はニヤニヤと笑うばかりだ。 彼女は最後に君たちへこう告げた。「仔細は話さぬ。だが時がくれば分かる。ワシが三度柏手を打ったら、何が現れようとも全力で仕留めにかかれ。よいな」

【エンドチェック】

□カツコの問いに答えた□成長点ボーナス1点を得た

【解説】

 ちょっとだけカツコ様の思惑が分かるような分からないようななシーン。 この辺から雰囲気を妖怪退治に寄せていこう。

【リーサル:マジの除霊】

登場:カツコ様、PC1、PC2、PC3舞台:最後のスポット/山

【状況1】

 君たちはスタッフに連れられ、最後のオカルトスポットへとやってきた。 暗い山道を、スタッフと共に君たちも登る。その姿をカメラで収めながら、ディレクターが台本通り、カツコ様に話題を振った。「カツコ様がこれまで聞いてきた中で、一番怖いな~! と思った話ってなんですか?」「ああ、それなら──……」
「──……『牛の首』」 カツコ様が答える。それは台本にはなかった項目だった。「牛の首? どんな話なんです?」「なあに、簡単簡単。 ──『牛の首』という、とても恐ろしい怪談があった。 これを聞いた者は恐怖のあまり身震いが止まらず、三日と経たずに死んでしまう。 怪談の作者は、多くの死者が出たことを悔い、これを供養するため仏門に入り、人に乞われても二度とこの話をすることは無く、世を去った。 この怪談を知るものはみな死んでしまい、今に伝わるのは『牛の首』と言う題名と、それが無類の恐ろしい話であった、ということのみである……そんな話よ」「アー……分からないから一番怖い、みたいなオチで?」「いやいや、違う違う」 そう話すカツコ様の目が、小さく君たちへ目配せされる。そうしてカツコ様はこう言った。「……ワシはのう、その『牛の首』の正体を知っているのよ」 ──その時、山の空気が、変わった。

【状況2】

 山の空気が変わった。それを察したのは君たちのみならず、門外漢のテレビクルーたちも同様らしかった。詳細を掴めぬ彼らは気遣わしげに互いを見合い、どこか怯えた目で周囲を見る。 ディレクターが生唾を飲み、カツコ様に尋ねた。「ええと、それは……」「牛の首はな、創作よ。作り手がいた怪談よ。伝承を聞いても分かるじゃろう。『作者だけはとり殺されてはおらん』のよ」「は、はあ、確かに。あの……」「若気の至りよな。……牛の首はな、わしが作ったのサ」 暗闇の中、カツコ様が不気味に笑う。「聞いたものは皆、三日以内に死んでいきおった。……聞きたいかえ? ならば話してしんぜよう」 ディレクターが何かを言おうとする。しかし気圧されたように何も言えない。「むかしむかしのことじゃ……」 カツコ様が一度、柏手を打った。「あるところに……」 カツコ様が二度、柏手を打った。「……■■■」 その時、カツコ様は何かを確かに口にした。 しかしその言葉を隠すように、三度目の柏手が打たれた。 同時、君たちは彼女の影がずるりと蠢き、『何か』が飛び出したのを目にした!
──『ワシが三度柏手を打ったら、何が現れようとも全力で仕留めにかかれ。よいな』 柏手は打たれた。今がまさにその時だ!
---------------■リーサル判定:牛の首退治判定:任意の戦闘技能-30%必要成功数:2回失敗時:3ラウンド目開始時点で、PCは全員ライフが-10になる。    (デスチャートを適応すること)---------------

【エンドチェック】

□リーサル判定を終えた

【解説】

 「牛の首」とはカツコ様が作中で語っている通りの都市伝説だ。本来は鮫島事件とか、ズンドコベロンチョとか、赤い洗面器の男とか、そういうタイプの「中身がないことに意味がある」類の都市伝説である。 詳しくはWikipediaなどを参考にすると良いだろう。

4.決戦フェイズ

【決戦:牛の首】

登場:カツコ様、PC1、PC2、PC3舞台:山


【状況1】

「■■……と言う話だったとさ」 カツコ様の語りは、戦いに紛れて誰の耳にも届かなかった。 カツコ様が何かをしたのだろう。気付けばスタッフ達は皆、意識を失っている。「存在しないものを狩るにはな、最初にそれを定義してしまえばよいのさな。言葉は便利なものじゃよ」「そうら、牛の首のお出ましだ。さあ若造ども、恐るるな、狩り尽くせ!」

【戦闘情報】

【エネミー】

・牛の首・語らずの怪異・魍魎×3

【エリア配置】

■PC初期配置 エリア1・エリア2■エネミー初期配置 エリア4:牛の首 エリア3or2:魍魎×3、語らずの怪異

【勝敗条件】

勝利条件:エネミーの全滅敗北条件:味方の全滅

【備考】

・特に無し

【解説】

 PCのエリア配置を見て、魍魎をエリア2と3どちらにどの数だけ配置するかGMは任意に決定して良い。 語らずの怪異の「聞いてはならぬ」は牛の首に使用するといいだろう。 牛の首は、魍魎や語らずの怪異がいる間は「精神の迷宮」を使ってPCを射程外に追いやりつつ、「苦しめ苦しめ」を使って攻撃していこう。PC達が逆境に入った頃合いを見て「もはや希望はない」を使っていくと良い。 実質の追加パワーである「牛の首」は主に「BS:不調」対策だ。効果はイベントのあいだ継続するので、「罪石崩し」などで強化解除されない限りはあらゆるBSを弾けるだろう。一度解除されても、不調等が付与されていなければ、またラウンド開始時に自身に付与し直すこともできる(ただし代償は非常に大きい)。 「死ねない苦しみ(妖)」はカツコ様のパワーとは効果がだいぶ変化していることに注意。

■ボス:牛の首

【エナジー・能力値・技能値・移動適性はカツコ様と同様とする】

【パワー】

■牛の首属性:強化 判定:なし タイミング:特殊射程:なし 目標:自身 代償:クレジット20効果:行動順ロール直前に使用できる。このイベントの間、君はあらゆる状態異常の効果を受けない。──中身が無いからそれは消えない。
■死ねない苦しみ(妖)属性:強化 判定:生存100% タイミング:特殊射程:なし 目標:自身 代償:サニティ6効果:ライフが0以下になった時に使用できる。君のライフを最大値に戻す。このパワーは回復パワーとしては扱わない。──『存在しない』が『存在している』
【苦しめ苦しめ】 目標を3体に変更。それ以外はカツコ様の同名のパワーと同様とする
【もはや希望はない】 カツコ様の同名のパワーと同様とする
【精神の迷宮】 射程を3、目標を3体に変更。 それ以外はカツコ様の同名のパワーと同様とする

■幹部:語らずの怪異

【エナジー】ライフ:15 サニティ:22 クレジット:15

【能力値・技能値】

【肉体】22 射撃75% 運動45% 【精神】20 心理60% 知覚70%【環境】16 作戦80% 交渉65%

【移動適正】地上


【パワー】

■聞いてはならぬ属性:強化 判定:作戦80% タイミング:行動射程:1 目標:1体 代償:ターン10効果:目標のターン・カウンタを-10する。──この話を聞いた者のもとに現れる。

■ヘンチマン:魍魎

【エナジー】ライフ:4 サニティ:10 クレジット:4

【能力値・技能値】

【肉体】10 生存70%【精神】35 霊能45% 追憶55%【環境】10 交渉65%

【移動適正】地上、飛行、水中


【パワー】

■噂話属性:攻撃 判定:交渉65% タイミング:行動射程:1 目標:1体 代償:ターン10効果:目標は〈隠密〉で判定を行う。 失敗で1d6点のスティグマを受ける。──友達の友達に聞いた話なんだけど…。

5.余韻フェイズ

【シナリオの結末(一例)】

【状況1】

 あの日の収録が公開されることはなかった。データは全て破壊され、スタッフたちの記憶も全て隠蔽の術式がかけられた。「殺しちまうとね、それを元手にまた噂が立つのよ。厄介さね」「ようやくここまで薄まった。あとはそろそろ消えてくれりゃあ良いんだがね。手間で仕方ないわい」 後日、荒夜髭神社で、カツコ様は一連の顛末を語った。全ては怪異『牛の首』を誘き出し、討伐するための策略であったという。「千載一遇の機会を作り出してやれば、向こうさんから勝手に来るだろうと思うてな。どんぴしゃじゃよ」「牛の首を実際に作ったのか、だと? さて。知らん方がいい話も世の中にはあるでのう」 カツコ様はそう言ってヒッヒッヒと笑い、徐に封筒を取り出す。 封筒にはあの時のスタッフの筆跡で「前払い」の文字。
「ところでギャラの配分の話じゃが、ワシが9、ヌシらが1でよいかのう」 だめです。

【状況2】

 それから数日後のことだ。 今日も今日とて妖怪退治に励む君たちに、真名鶴が話しかけてきた。「あのー、ちょっと見てもらいたいものが…」 彼女が差し出したスマートフォンの中には、大手動画サイトが映し出されている。そして動画の中では…。『へろー、よーちゅーぶ。「カツコ様と行く☆ドキドキオカルトツアー!」の時間じゃぞい。スパチャはいつでも大歓迎、チャンネル登録よろしくのう!』
「…………チャンネル登録、した方がいいんですかね」 真名鶴が気まずそうに尋ねた。
〈了〉


【シナリオ成長点】

■シナリオ基本成長点…6点■成長点ボーナス…2点--------------------------------------------------合計:8点