ハードラックは仔犬が運ぶ


──ラッキー・メリークリスマス!
▼シナリオ本

1.エントリーとシナリオ概要

【シナリオ概要】


 獄門街・神楽町にあるホテル『コンチネンタル』で、クリスマスにホテル占拠事件が発生。 伝説の殺し屋は飼い犬を奪われた復讐が為に、一人のヒーローは家族を守る為に、仕事中の運び屋は自らの名誉が為に立ち上がる。 聖夜、幸運の女神は誰に微笑むのか。

【事前情報】


 クエリー:2 チャレンジ:2 リーサル:1 リトライ:2
 想定時間:3〜4時間 推奨経験点:0点〜10点前後。より経験豊富なPCがいる場合、エネミーを随時強化すること。

【GMに要するルールブック】


・基本ルールブック(BJR)

【シナリオ傾向】


 悪党でもダークヒーローでも遊べるタイプ。

【エントリー】

【PC1:グッバイ・ドギー】

 君は引退した殺し屋だ。 かつては伝説と讃えられ、裏社会で恐れられた腕前を持つ君だが、今は足を洗い、カタギとしての生活を送っている。 そんな君に、もう一度「仕事」が持ち掛けられる。 当然断った君だったが、その制裁に依頼人は君が大切にしていた仔犬を殺した。 許すわけにはいかない。関係者は皆殺しだ。※PC1は事前に大切に育てていた仔犬について設定し、GMと情報を共有すること。

【PC2:ハードラック・ダイ・ハード】

 君はG6の現役ヒーローだ。どうも最近家族関係がうまくいっていない。 今日はクリスマスに合わせて久々に家族サービスをする為、『ホテル・コンチネンタル』でディナーを楽しむ予定だった。 しかし君がホテルに到着する直前に、ホテルは君の家族ごとテロリストに占拠されてしまった! まったく、ツイてない日だ。※PC2は事前に家族関係について設定し、GMと情報を共有すること。 自発的な設定が望ましいが、思いつかない場合は以下の表を利用しても良い。【待たせている家族表(1d6)】1:父・母2:夫・妻3:息子・娘4:おじ・おば5:兄弟・姉妹6:祖父・祖母【不仲理由表(1d6)】1:あまり家に帰れていない2:ヒーロー稼業を反対されている3:大切な約束を破ってしまった4:君は家族のことを愛していない5:家族の誰かが死んでいる6:君は犯罪に手を染めている

【PC3:ルールブレイク・トランスポート】

 君は運び屋だ。 ルールを守り、どんなものでも時間通りに運びきる。それが君の評判だった。 しかしあるクリスマスの夜、『ホテル・コンチネンタル』の客人に荷物を運ぶ予定だった君は、ホテルで起きた大規模テロに巻き込まれてしまう。 テロリストたちは君を含めた客人たちを人質に取った。 さて困ったことになった。 どうにか荷物を運びきり、君の名に傷をつけないようにしなくては。

【エントリーについて】 PC1、PC3はどこかの組織に属しているキャラクターでも良いし、フリーの立場にいるキャラクターでもいい。(PC1は元所属という扱いになる) PC2は現役G6ヒーローとなる。綺麗なヒーローなのか汚いヒーローなのかは好きにして良い。

2.導入フェイズ

【エントリー1:グッバイ・ドギー】

登場:PC1舞台:ホームレスの集会所~PC1の自宅

【状況1】

 クリスマスまで、あと一週間。 浮かれる街の片隅、路地裏のその先にあるホームレスの集会所に、君は居る。 君は元殺し屋だ。かつては獄門街の裏社会で腕を鳴らし、その名は伝説として恐れられた。 しかし今は引退し、カタギとしての生活を送っている。 そんな君を「キング」と呼ばれる情報屋のホームレスが呼び出した。彼は君に殺しの依頼を仲介する。「先方は他でもないアンタを直々にご使命だ、PC1」「金は惜しまねえとさ。アンタにとっちゃ簡単な仕事だ。正直悪い話じゃない」「一度殺しに手をつけちまった奴は、足を洗おうったって無理なんだよ」「伝説は穏やかに休むことも出来ねえってワケ、受けた方が賢いと思うがね」 キングはそう君に告げる。しかし、君はこの依頼に乗り気ではない。 さて、何と言ってこの依頼を断ろうか?

【状況2】

 君は独房エリアの外に出る。周囲には多くの独房があったが、どれも中に人の姿はなかった。 やがて君は広いフロアに辿り着いた。人一人が踊り狂ってもなお余裕がある広さだ。 自動販売機が部屋の隅に置かれており、休憩室のような雰囲気だ。 この部屋から他の部屋に進むことも出来そうだが……。 次の行き先について悩んでいた君の前に、ダクトから怪物が這い出てくる。

【状況3】

 一週間が経ち、クリスマス・イブの夜。 夜中に、侵入者の気配に君は目を覚ます。どうやら敵は複数でこの家の中に潜入してきたらしい。 だが、それを迎え撃つことは簡単なことだ。君にとっては……しかし、いつもならすぐそばで眠っている愛らしい仔犬の姿がどこにもない。 警戒し、侵入者を排除しながら、家の中を探る君が見つけたのは……脳天に一発の銃弾を叩きこまれ、瀕死の重症を負った、愛犬の姿だった。

【状況4】

 愛犬の傍らには、『怠慢には罰を。メリークリスマス/G』と書かれたメモが置かれていた。君の目の前で、愛犬は遂に息を引き取っていく。 愛犬の心臓が止まると同時、その首輪に着いていた小さな『何か』がきらりと光った。 次の瞬間、君の目の前で、盛大な爆発が起きる…!

【状況5】

 愛犬の傍らには、『怠慢には罰を。メリークリスマス/G』と書かれたメモが置かれていた。君の目の前で、愛犬は遂に息を引き取っていく。 愛犬の心臓が止まると同時、その首輪に着いていた小さな『何か』がきらりと光った。 次の瞬間、君の目の前で、盛大な爆発が起きる…!

【エンドチェック】

□依頼を断った□犬が死んだ□報復を決意した

【解説】

 PC1が犬を失うことになる経緯と、報復を誓うことになる経緯だ。PC1の動機に当たるシーンの為、PLと相談しながら楽しくシーンを作り上げていこう。 このGは下手人であるグッド・ラックの頭文字だが、シナリオとしてはグリムフェイスに対するPLへのミスリードを兼ねている。 この犬の爆弾描写は後半の伏線の一つの為、GMはPLの意識に残るよう意味深に演出すると良い。●情報屋キング ホームレス達を通じて情報を得、それを売買することで生計を立てている情報屋。鳩が好き。●傷ついた愛犬 かわいそうに! 思わず駆け寄って、抱き上げたくなるよね?

【エントリー2:ツイてないクリスマス】

登場:PC2舞台:G6~ホテル『コンチネンタル』前

【状況1】

 時は12月25日、クリスマス当日。G6獄門街支部にて。「ホイ、これで仕事納めだ、お疲れさん」 君が提出した報告書を確認し、G6のジャスティカ代表・グリムフェイスは軽妙に君の肩を叩いた。「じゃ、もう上がっていいぜ。クリスマスに家族サービスなんて、泣けるじゃないの。楽しんできな」「出来る限り連絡が行かねェよう、こっちでも手をまわしておくよ。G6からの鬼電は評判悪いからな」 からかうようなグリムフェイスの声を後目に、君はG6を後にする。 君はG6に所属する現役ヒーローだ。しかし忙しないヒーロー稼業のせいか、あるいはそれ以外の理由でか、最近家族との仲が上手くいっていないと感じている。 その関係を修復するため、君は思い切って、神楽町にあるホテル『コンチネンタル』のレストランに予約を取り、そこで家族とクリスマスを過ごすことにしていた。 しかしグリムフェイスに突然の残業を命じられたせいで、元々予定していた時間より、すっかり遅くなってしまった。 さて、どうご機嫌を取ったものだろうか。君は待たせている相手のことを思い返す。(家族との関係やうまくいっていない理由などを説明する演出を挟むと良いだろう。PCの自発的な設定に委ねることが望ましいが、思いつかない場合は以下の表を使用しても良い)
【待たせている家族表(1d6)】1:父・母2:夫・妻3:息子・娘4:おじ・おば5:兄弟・姉妹6:祖父・祖母
【不仲理由表(1d6)】1:あまり家に帰れていない2:ヒーロー稼業を反対されている3:大切な約束を破ってしまった4:君は家族のことを愛していない5:家族の誰かが死んでいる6:君は犯罪に手を染めている

【状況2】

 君は獄門街・神楽町のはずれにあるホテル『コンチネンタル』へ向かった。 家族は既にホテルに到着しているようだ。 荘厳なホテルの前へと辿り着いた君だったが、そこで奇妙なものを目にする。 ホテルの出入り口が、クリスマスに不似合いの重々しいシャッターで全て閉ざされているのだ。 困惑する君のもとに、家族からメールが届く。『ヴィランに占拠された。助けて』 添付されているのは、隠し撮りと思しきホテル内の写真だ。そこにはわざとらしいサンタクロースのコスチュームを着た、無表情の少女たちが、武器を構えて並んでいる。 君にはピンとくるだろう、人身売買ブローカー『ドールハウス』の、ドールと呼ばれる少女たちだ。 しかし、何故今このタイミングで? 困惑する君だったが、その時、ホテルの中から銃声と悲鳴が響いた。 家族を救い出すにはぐずぐずしている暇は無い。 まったく、ツイてない日だ。だが、これは逆にチャンスかもしれない。 ここで家族を颯爽と助け出せれば、関係を修復できるかもしれないのだから。 君は救出の為、動き始めた。

【エンドチェック】

□家族が人質になった□救出に向けて動き始めた

【解説】

 神楽町は獄門街の中にある歓楽街エリアだ。ホテル『コンチネンタル』はその中にあってもまっとうなサービスを行っているホテルだと思っておくと良いだろう。家族の機嫌を取りたいという動機のPC2が何故神楽町のホテルを選んでしまっているのかについて詳しい設定はシナリオ上では定めないが、クリスマスシーズン故にこういう場所しか取れなかったのかもしれないし、グリムフェイスが裏で手を回したのかもしれないし、そういう人間だからこそ家族関係がうまくいっていないのかもしれない。●G6からの鬼電 ヒーローにはよくも悪くもしょっちゅうG6から緊急連絡が来る。

【エントリー3:ルールは破られた】

登場:PC3舞台:ホテル『コンチネンタル』内部(PC2のエントリー直前)

【状況1】

 君は運び屋だ。 ルールを守り、どんなものでも時間通りに運びきる。それが君の評判だった。 クリスマス当日も、君はいつもと変わらず仕事をしていた。 荷物はスーツケースに入れられた『何か』。 中は見ないようにしろ、と依頼主から厳命されている。珍しい話ではない。 目的地は獄門街のホテル『コンチネンタル』。指定の時刻に最上階のレストランでブツを受け渡す。合言葉は『ラッキー・メリークリスマス!』。 簡単な仕事だ。君は時間通りにホテル『コンチネンタル』の最上階レストランで相手を待っていた。クリスマスのレストランは、家族連れやカップルで賑わっている。 しかし、指定の時刻を迎えても、受取人らしき人物は姿を現さない。 何かのトラブルだろうか? 君がこの後の行動方針について思いを巡らせた、その時だ。 銃声が響き、悲鳴が上がった。

【状況2】

「HO-HO-HO! メリ~クリスマ~ス!」「このホテルは我々が制圧しました。ニューイヤーの朝日を拝みたければ、無駄な抵抗はしないように」 ガードマンの亡骸を踏みつけて姿を現したのは、わざとらしいミニスカートのサンタコスチュームに身を包んだ二人の少女、ティラノとルナティックだった。その背後には、同様の格好をした少女たちがずらりと並ぶ。幼い肉体は明らかな魔改造が施されており、手には物々しい武器が構えられている。 君にはそれがドールハウスのドール達だと分かる。 どうやら何らかの抗争に巻き込まれたらしい。 受取人が姿を現す様子はない。約束の時間は過ぎた。荷物は未だ君の手の中だ。 この配送を終えないことには、君の沽券に関わる。

【エンドチェック】

□トラブルに巻き込まれた□受取人が来ない

【解説】

 この時点でPC3が荷物を開けることはあまり推奨できない。PLが開きたさそうにしていたら、(アドリブが苦手なら)今は止めて欲しいと相談するか、(アドリブが得意ならば)開き直ってこの時点で爆弾を爆発させてしまってPC3を地上に突き落とし、瀕死になりながらも生き延びたとする形でストーリーをアレンジし進めても良い。●家族連れやカップル PC2の家族もいるかもしれない。

3.展開フェイズ

【チャレンジ1:ルドルフは遅刻中】

登場:PC全員舞台:各々

【状況1】

 PC1は依頼人に報復するため、情報屋「キング」に口を開かせることにした。 PC2はテロリストに占拠されたホテル「コンチネンタル」に潜入する為、潜り込めそうな場所を探す。 PC3は客たちを人質に取ったドール達の手から逃げ出すチャンスを伺っていた。 場所は異なれど、同じ時、同じ盤上の中。君たちは行動を起こす。
---------------【チャレンジ判定】 同一人物が複数の判定を行うことはできない。【PC1判定】 情報屋「キング」の口を開かせる……〈白兵〉 or 〈経済〉【PC2判定】 ホテル「コンチネンタル」に侵入する……〈運動〉-10% or 〈知覚〉-10% or 〈科学〉-10%【PC3判定】 ドール達のもとから逃げ出す……〈心理〉 or 〈隠密〉
□失敗時:チャレンジ・ペナルティ・チャートを適応する。---------------

【状況2:PC1】

 君との『交渉』の結果、キングはしぶしぶと口を開いた。「依頼人はGって名乗ってた。身元については明かしてこなかったが、ありゃ多分ヒーローだ。ニオイで分かる」「依頼の内容はクリスマスの夜にPC2っていうヒーローを殺せってモンだ。派閥争いかねえ」「アンタに断られた以上、別の誰かを雇ってるはずだ。俺を見逃してくれるってんなら、クライアントが指定した仕事場所を教えよう」「俺はただ自分の仕事をしただけさ。それで殺されちゃ割に合わねえ」 キングはそう君に交渉を持ちかける。 君はキングを殺して自力で指定の仕事場所を探してもいいし、ここで彼を見逃して情報を得てもいい。あるいは情報を得た後、やっぱりキングを仕留めてもいいだろう。君はどうする?

【状況2:PC2】

 君は占拠されたホテルの周囲を調べまわり、君なりの『侵入経路』を見つけ出した。君はホテルへの侵入に成功する。 ホテル内はドール達によって完全に制圧されており、スタッフやガードマンは軒並み殺されていた。 客は人質に取られ、最上階のレストランに集められているようだ。 完全武装した大量のドール達と、真正面から一人で衝突するのはいくら君でも危険だ。上の階を目指す方法を考えていた君のもとに、上階からゆっくりと足音が近づいてきた。

【状況2:PC3】

 君はドール達の隙を突き、レストランから抜け出した。 配送を完了するのに一番手っ取り早いのは、このトラブルを解決してしまうことだが、神楽町を支配するブローカー・ドールハウスを敵に回すことになる。 あるいは、レストランに集められた人質の中から、受取人を捜し出してもいい。しかし受取人が人質の中にいるとは限らない……。 さて、どうしたものか。思案を巡らせながら、ドール達の追っ手を撒き、一旦下のフロアを目指していた君は……物陰に潜む、何者かの気配を感じ取った。

【エンドチェック】

□PC1がホテル「コンチネンタル」へ向かった□PC2がホテル「コンチネンタル」に潜入した□PC3がレストランから抜け出した

【解説】

 PC2とPC3の状況2でそれぞれが感じている気配はお互いのものだ。 チャレンジ・ペナルティ・チャートでシチュエーションに合わないようなもの、PLやGMにとって過度に楽しめないものが出た場合は、もう一度チャートを降り直しても良いし、その場に即したデメリットをGMが採用し適応してもよい。 PC1のシーンで出てくる「頭文字G」「おそらくはヒーロー」という要素は、グリムフェイスに対するミスリードだ。●キングは知っていた? 分からない。知っていたかもしれないし、知らなかったかもしれない。ここでPC1がキングを報復の対象に含めるか否かは、そのPCの設定や、復讐に向ける感情によって変化するはずだ。

【チャレンジ2:サンタから愛をこめて】

登場:PC全員舞台:ホテル『コンチネンタル』内部

【状況1】

 上階から降りてきたPC3と、物陰に潜んでいたPC2は鉢合わせることになる。 立場も目的も異なる君たちは、顔を合わせた時、まずどんなリアクションを取るだろうか? 一方そのころ。元・依頼人の仕事場所が、獄門街神楽町にあるホテル『コンチネンタル』であることを掴んだPC1もまた、現地へと急行していた。剣呑な雰囲気に満ちたホテルへと飛び込み、依頼人を探る。 そんな時、君もまたPC2とPC3の姿を見つけることになる。さて、楽しい『おしゃべり』ができる相手だといいのだが。
---------------■【チャレンジ判定】※この判定には全員が挑む必要がある
【PC1/PC2/PC3判定】 殺し合え/生き残れ ……任意の技能-20%
失敗時:3d6点のダメージを受ける---------------

【状況2】

 戦いの火蓋が切って落とされるPC1、PC2、PC3。その戦いの中で、君たちは互いの実力と立場を理解していくことになる。 誰かが命を落とすまで続くかに思われたバトルロイヤル。それを遮るように、声がかけられた。「手に負えないのがいるというふざけた報告が上がったから来てみれば……面白い組み合わせを見つけてしまいましたね」 落ち着いた声に視線を向ければ、そこにはドールハウスのボス、Dr.クラリックが立っていた。 彼はPC3の姿を見て、「噂には聞いていますよ、腕の良い運び屋がいるとか……今夜もお仕事中でした? それは悪いことをしました、申し訳ない」 と言い、PC2の姿を見て、「これはこれは、お待ちしておりましたよPC2様! あなたの命が本件の最終目標なのです、手間が省けて助かります」 と言い、そしてPC1の姿を見て、やや困惑したように首を傾げた。「そしてあなたは……引退したはずでは? 何故ここに、殺し屋・PC1」

【エンドチェック】

□チャレンジを達成した□Dr.クラリックと遭遇した

【解説】

 PC達の合流シーンを兼ねたチャレンジイベントだ。各PCが全員チャレンジに成功すれば、PC達は一進一退の攻防を繰り広げたということになる。どんな戦いをしたのかを格好良く演出してもらおう。PL達が満足した頃合いを見計らって、Dr.クラリックを登場させ、話を進めてしまうのが良い。 PC達が同士討ちをしそうにないメンバーの場合は、チャレンジ判定の内容を「襲ってきたドール達を撃退する」というものにしてしまえばいいだろう。戦いを通して腕と立場を知る事になるのだ。この時の判定内容は、同じ判定内容を流用してしまって構わないはずだ。

【クエリー1:プレゼント・フォー・ユー】

登場:PC全員(メイン:PC1)舞台:ホテル『コンチネンタル』内部

【状況1】

 Dr.クラリックは、ふむと考えを巡らせるように、ホテル内の装飾品であるクリスマスツリーの周りをゆっくりと歩き始める。(PC1の事情を知った場合「たかだかペット一匹のためにここまでやる理由は分かりませんが……」)「……運び屋の存在、制裁、ふむ……」 そしてPC1へ視線を向け、にこりと胡散臭くフレンドリーな笑顔を浮かべた。「そういうことなら、我々はここで手を引いてあげても構いませんよ」「あの依頼人は不審な動きも見えますし、どうにもツキに見放されていそうだと思っていたところなんです。大金は頂戴しましたが、我々を二番手にしたというのは癪に障る。それに……ここだけの話、私はあなたのファンだったんですよ、伝説の殺し屋『PC1』」「ドール達の教育でも、いくらかあなたの伝説を参考にしております。名高いあなたが頭を下げてくださるのなら、こちらも面子が立つというもの。いかがです?」 PC2にとってみれば、ドールハウスが手を引けば、家族の安全はひとまず保証される。 PC3にとってみれば、ドールハウスが手を引けば、自分の仕事は元通り、やりやすくなる。 だがPC1、君にとってはどうだろう? 皆の注目が、君に集まった。

■『頭を下げず、交戦を選んだ』

 Dr.クラリックは忌々しげに舌打ちをした。「ああクソ、生意気生意気生意気生意気……」「良いでしょう。あなたがその気ならこちらは名を上げるまでのこと。すぐに可愛いペットと再会させてあげますよ」「ティラノ! 後処理は任せました、私は依頼人と話をしてきます」 そういうと、Dr.クラリックは物陰に控えていたドール達をけしかけ、自身は立ち去っていく。 PC達の前に立ちはだかるように、凶悪な爪を構えた改造少女、ドールの『ティラノ』が立ちはだかった!「クラリック様の言うことを聞かない悪い子には、あの世行きのチケットをプレゼントだ!」

■『頭を下げ、撤退を促した』

「素晴らしいッ! あの伝説がッ! 僕に頭を下げている、この僕にッ! なんて気持ちいいッ!」 Dr.クラリックは興奮したように声を上げ、歓喜に身を震わせる。しかしすぐに冷徹なブローカーのトップとしての顔を取り戻し、落ち着き払って告げた。「よろしい、取引は成立です。ドール達にはこちらから指示を出しておきます。その場にはいますが、最早ただの背景と思って頂いて結構。何なら何人か楽しみますか? 折を見て我々も撤退するとしましょう」「我々からのプレゼントです。それでは、メリークリスマス」 そう言って、Dr.クラリックは上機嫌にその場を去っていった。

【エンドチェック】

□Dr.クラリックの問いに答えた□成長点ボーナス1点を得た

【解説】

 Dr.クラリックはグッド・ラックからの依頼を受けて、この強襲に関わった。依頼金に見合うだけの戦力を貸し出した後、自身が開発した新型爆弾のテストも兼ねて生体爆弾をグッド・ラックに貸し与えた。彼がこの日、ホテルにいたのは、自身の開発した爆弾のテスト結果の確認を兼ねてと、ちょっとしたクリスマス休暇気分でだ(彼にとってはそれだけ楽な仕事という認識だった)。 しかしそういったビジネス上の関係は、PC1が居合わせたことで形を変える。伝説の殺し屋PC1の行いの数々をクラリックは知っており、ブランクがあるとはいえ警戒を示している。 また、PC2が居合わせたことで、依頼人が証拠隠滅の為に不穏な動きをしているということにも察しをつけている。

【マスターシーン:Mr.グッド・ラック】

舞台:ホテル『コンチネンタル』登場:なし(マスターシーン)

【描写】

 獄門街に於いて、法治は消えて久しい。 この街を支配しているのは正義や倫理ではなく、悪人同士のパワーバランスと、欲望の眼差し。 ……だというのに! ホテル『コンチネンタル』の外は警察車両で溢れていた。普段はロクに拝めもしない警察官たちが忙しなく行き来し、その中には黒いコートを身に纏った特別捜査官・ブラックジャケットの姿もある。 あまりに迅速な行動だ。たかだか、『あの』獄門街の、『あの』神楽町のホテルが一つ、封鎖されただけじゃないか! その光景を高層階のスイートルームの窓から見下ろし、忌々しげに爪を噛む男がいた。「ああ、クソ、どうなってやがる! ツイてないツイてないツイてない…!」「何のために高い金を払って、ドールハウスに筋を通したと思ってんだ、クソォッ!」 スイートルームの片隅に、男が脱ぎ捨てたヒーロースーツが干されていた。 男の名はグッド・ラック。G6に所属するヒーローの一人であり、PC2の命を狙い、この事件を引き起こした首謀者であった。 本来ならば万全を期して、伝説の殺し屋に仕事を任せるつもりであったのだが…。「コンチネルタルを占拠したあと、PC2をぶっ殺して、奴に全ての濡れ衣を着せて撤退するはずがよォ! なァんでPC2の野郎が時間通りに現場に居やがらねえンだよォ~、ヒーローの癖に遅刻してんじゃねェぞォ~!!」「PC1の野郎はこの俺様の仕事を断りやがる! しかもあの爆弾で生き残っただと!? どうなってやがる、全然使えねえじゃねえかドールハウスッ! クソックソッ、ふざけやがってッ! 使えねえ奴らばっかりでマジイラつくぜェ!」 悪態を吐き捨て、苛立ちに任せて椅子を蹴り飛ばすグッド・ラック。 その部屋の扉が静かにノックされ、涼しげな顔をしたDr.クラリックが姿を現した。

■『クエリー1で交戦を選んでいる場合』

 部屋へと入ってきたDr.クラリックは、そのまま指を鳴らす。控えていたドールが目にも止まらぬスピードでグッド・ラックへ接近し、その首を締め上げた。「ひぃっ、クラリック!? どういうことだ!?」「はあ、本当に役に立たない……支払いが良かったので手を貸してやっていましたが、事情が変わりました。ここからは私が指揮を執ります」「話が違うぞ!」「あの『運び屋』の荷物に、我々が気づいていないとでも?」 Dr.クラリックの言葉に、グッド・ラックがびくりと肩を震わせて息を呑む。 クラリックはそれを鼻で笑い飛ばすと、通信機を立ち上げ、現場のドール達へと繋いだ。「ルナティック、事情は分かっていますね? そこにPC2の家族がいます、ティラノが時間を稼いでいる間に屋上までお連れしなさい」「伝説のPC1を打ち取ったとあれば、我々の名にも箔がつくというもの。……ええ、ええ。上手く出来た暁には、たくさん褒めてあげますよ」

■『クエリー1で撤退を促されている場合』

 部屋へと入ってきたDr.クラリックは、そのまま指を鳴らす。控えていたティラノが目にも止まらぬスピードでグッド・ラックへ接近し、その顔面を殴り飛ばした。「ぎゃあッ!?」「口を閉じなさい、汚らわしい……あの『運び屋』の荷物に、我々が気づいていないとでも?」 Dr.クラリックの言葉に、グッド・ラックがびくりと肩を震わせて息を呑む。 クラリックはそれを鼻で笑い飛ばすと、通信機を立ち上げ、現場のドール達へと繋いだ。「ルナティック、状況は分かっていますね? 撤退の準備を。こちらも『最後の仕上げ』が済み次第、帰り支度を整えましょう。ああ、運び屋の荷物にはくれぐれも触れないように。下衆が移りますよ」「ま、待て、待ってくれ! 俺とアンタの間には不幸な誤解がある、そのはずだ!」 抵抗を示すグッド・ラックの両腕を少女達が押さえ込む。それを見下ろし、最後の仕上げに思いを馳せながら、Dr.クラリックは酷薄な笑みを浮かべた。「だとしたら、あなたちょっとツイてなさすぎですね」

【解説】

 PC1への制裁や、PC2への襲撃を行ったエネミーの種明かしシーン。また、PC3の運ぶ荷物がストーリーに関わっているらしいことをPLへ示すシーンとしての役割を持つ。 グッド・ラックはG6所属の汚職ヒーローだ。金稼ぎの能力に長けているが、本人の性格は三下。ドールハウスが残るにしても、去るにしても、Dr.クラリックの方が強いのだと力関係が分かることが望ましい。●PC2への恨みの理由 恨みの理由は、PC2の設定次第で変わるはずだ。 PC2が誰に恨まれても違和感がないような外道であるのならば、どんな理由をつけてもいいだろうし、この世界では珍しいほどの品行方正なヒーローであるのならば、嫉妬や逆恨みを買ったのかもしれない。 GMとして進行する際は、マスターシーンでグッド・ラックの正体と目的が明かされたあたりで、どんな理由で狙われたのかをPLと相談して好きに決めてしまうのが楽な方法だろう。もちろん、PC2の設定を見た上で、GMが独自に決定してしまっても、それはそれで構わない。

【クエリー2:プレゼントの中身は】

登場:PC全員舞台:ホテル『コンチネンタル』最上階レストラン

【状況1】

 君たちはドール達とティラノを退け(あるいはDr.クラリックと契約を交わし)、ついに最上階のレストランへと辿り着いた。 人質達はレストランの一角にまとめられていた。しかしその中にPC2の家族の姿はなかった。人質達が言うには、少し前にルナティックというドールによって、屋上まで連れて行かれたのだという。 人質達の中に、PC3の依頼人と思しき人物はいなかった。先程の口振りからするに、Dr.クラリックやドールハウス達も違うのだろう。となると残るは、この事件を引き起こしたという『依頼人』とやらが、配送先である可能性が高そうだ。 PC3が運んでいたスーツケースは変わらずそこにある。この事件の首謀者が配送先である場合、君もまた罠にハメられている可能性が高い。 中は見ないようにしろ、と依頼主は君に厳命していた。珍しい話ではない。君は一度はそれを承諾したのだが……。 君はこのスーツケースを開いてもいいし、開かなくてもいい。 さて、どうしよう?

【状況2:スーツケースを開いた】

 スーツケースを開くと、中から姿を現したのは、今にも死にそうなほど衰弱した一匹の仔犬だった。 仔犬の首には、小さな装置が付けられていた。よく見れば、それは仔犬の心音に反応しているようだ。 PC1はその装置に見覚えがある。君の愛した仔犬につけられ、君の自宅を吹き飛ばした、あの特殊な爆弾だ。あの時と同じ状況だというならば、この仔犬が息を引き取った瞬間、この爆弾は爆発することになるのだろう。 だが、これではっきりした。君に荷物の配送を依頼したのは、この事件の首謀者だ。首謀者は一連の事件の証拠隠滅の為に、君にこの荷物を運ばせたのだろう。時間通りに荷物を運びきることに定評のある凄腕の運び屋は、タイマーに丁度良かったに違いない。 ルールは破られた。荷物は消え、君の仕事はここで終わった。 君たちはこの仔犬を窓から放り捨ててもいいし、命を繋げられるよう努めてもいい。或いは、この先の戦いにこの仔犬を利用してもいいだろう。 さて、君はどうする?

【状況2:スーツケースを開かなかった】

 君はルールを守り、スーツケースを開くことを避けた。 君がスーツケースから身を離そうとした時、その中から、ピッと何かの機械音がした。同時、君の背筋を冷たい直感が走る。 PC3は<操縦>か<霊能>で判定を行う。成功した場合、そのスーツケースをとっさに窓の外に投げ捨てることが出来る。 投げ捨てられたスーツケースは最上階から地上めがけて落ちていき、その半ばで凄まじい爆発を起こした。ビルが激しく揺れ、人質達の悲鳴があがる。凄まじい威力だ。あんなものを間近で受けていたら、人質たちも君自身も、ひとたまりもなかっただろう。 だが、これではっきりした。君に荷物の配送を依頼したのは、この事件の首謀者だ。首謀者は一連の事件の証拠隠滅の為に、君にこの荷物を運ばせたのだろう。時間通りに荷物を運びきることに定評のある凄腕の運び屋は、タイマーに丁度良かったに違いない。 ルールは破られた。荷物は消え、君の仕事はここで終わった。 ではこの先、君は一体どうしようか?
【判定に失敗している場合】 失敗した場合、間に合わない。ホテル内で爆弾は爆発する。 爆弾はその場にいたドールや人質たちを巻き込み、さらにホテル内に隠されていたいくらかの爆弾を巻き込むことで凄まじい威力となる。ホテル『コンチネンタル』の最上階は火を吹き、瓦礫が地上の警官隊達を襲う。崩壊していくホテルの中で、君たちもまた、運が良ければ、辛くも一命を取り留めることが出来るだろう。そして遅れて、全てを知ることになるのだ。 PCは全員、2d6+6点のダメージを受けること。

【エンドチェック】

□荷物をどうにかした□成長点ボーナスを獲得した

【解説】

 PC3の荷物を巡るクエリーだ。そしてここまで(おそらくは)積極的に事件に介入する動機の少なかったPC3に、改めて行動動機を与えるシーンとなる。 クエリーの選択によっては、大きなダメージが発生することにもなりかねないが、それはそれ。カルマの成功率上昇やふり直し、ダメージ軽減をうまく使って生き残ってもらおう。ダメージ軽減パワーを採用するか否かは、そのパワーのGM解釈に委ねる。

【リーサル:ラッキー・メリークリスマス!】

登場:PC全員舞台:ホテル『コンチネンタル』屋上

【状況1】

 君たちは連れられていかれたPC2の家族と、最上階に待つ首謀者を追い、ホテル『コンチネンタル』の屋上へとたどり着く。 そこには緊急用のヘリが何機か停まっており、そのうちの一機が飛び立とうとしている所だった。 運転席に座っているのは、PC2ならば見覚えがある。グッド・ラックというG6のヒーローだ。君は彼の恨みを買っている自覚があってもいいし、なくてもいい。 PCたちの到着に気付いたグッド・ラックは、歯軋りをしながら、側にいた誰かを屋上から地上へと突き落とした。それは……PC2の家族だ!「愛する家族と共に死ね! PC2ーっ!」 ヘリコプターは飛び立とうとしている。急いで後を追わなければ、逃げられてしまうだろう。
---------------■【リーサル判定】※一つの判定を複数人で行ってもよいが、一人が複数の判定を行うことは出来ない。
【判定1】 襲ってくるドールたちを退ける……〈白兵〉-10% or 〈射撃〉-10% or 〈霊能〉-10%(ドールハウスと取引済であれば、この判定は割愛して良い)
【判定2】 突き飛ばされたPC2の家族を助ける……〈生存〉 or 〈意志〉(この判定には挑んでも良いし、挑まなくても良い。意図的に挑まない場合、デメリットは発生しない)
【判定3】 ヘリを発進させ、グッド・ラックの後を追う……〈操縦〉
失敗時:チャレンジ・ぺナルティ・チャートを振る。---------------

【状況2】

 君たちは無事にヘリを発進させ、獄門街の上空へと飛び立った。 遥か眼下、ホテル周辺に集まった警官隊やパトカーの明かりがよく見える。 地上で待機していたブラックジャケットの捜査官達が、夜空を飛び立つヘリを見て鼻を慣らし、皮肉げに軽口を叩いた。「見ろよ、サンタが二人も飛んでいきやがった」

【エンドチェック】

□リーサル判定を終えた

【解説】

 最後のイベントだ。3種類の判定に挑む必要があるが、PCの選択や傾向によっては、極論判定は一つだけで済むだろう。 チャレンジ・ペナルティ・チャートでシチュエーションに合わないようなもの、PLやGMにとって過度に楽しめないものが出た場合は、もう一度チャートを降り直しても良いし、その場に即したデメリットをGMが採用し適応してもよい。●判定2に挑んでも良いし、挑まなくても良い 要するに、見捨てたければ見捨てても良い、ということだ。意図的に見捨てるのであれば、リーサル失敗のデメリットは発生せず、この判定を行わずに済んだ分だけ、他の判定にリソースを割くことが出来る。 PC2が足手まといを切り捨てるタイプのキャラクターならば、当然、その選択肢は存在し得るはずなので。●サンタが二人も PC3の活躍を想定しての判定3および空中戦舞台だが、実際の決戦においてデータ上の影響があるわけではない。 PLたちが空中戦ではなく、ヘリを墜落させることを選ぶのであれば、飛び立とうとしていたヘリはPC達の妨害によって失敗し、かろうじて屋上に不時着した、として、屋上を舞台に決戦に移れば良いだろう。

4.決戦フェイズ

【戦闘情報】

【エネミー】

『エネミー構成:ドールハウスが撤退していない場合』・Dr.クラリック(基本ルールブック108ページ)…エリア4・ルナティック(基本ルールブック109ページ)…エリア4・ティラノ(基本ルールブック108ページ)…エリア3・グッド・ラック…エリア3・改造少女×2(基本ルールブック109ページ)…エリア3
『エネミー構成:ドールハウスが撤退している場合』・グッド・ラック…エリア4・ルナティック(基本ルールブック109ページ)…エリア4(1R目終了時に戦場離脱)・ティラノ(基本ルールブック108ページ)…エリア3(1R目終了時に戦場離脱)・改造少女×4(基本ルールブック109ページ)…エリア3(1R目終了時にランダム人数戦場離脱)

【エリア配置】

■PC初期配置 エリア1・エリア2■エネミー初期配置 エリア4:(Dr.クラリック)、(グッド・ラック)、ルナティック エリア3:(グッド・ラック)、ティラノ、改造少女

【勝敗条件】

勝利条件:エネミーの全滅敗北条件:味方の全滅

【備考】

■ドールハウスが撤退している場合 1ラウンド終了時点でルナティック、ティラノは戦場を離脱する。改造少女たちも、「1d[その時点で戦場にいる人数]」分撤退する。
■ドールハウスが撤退していない場合 改造少女達のステータスに『生体爆弾』のパワーを追加する。

■改造少女追加パワー

■生体爆弾属性:攻撃 判定:なし タイミング:特殊射程:1 目標:1体 代償:なし効果:君が[死亡]した直後に使用できる。   目標は<生存>+10%で判定を行う。   この判定に失敗したキャラクターは1d6+6点のダメージを受ける。──Dr.クラリックが発明した特殊爆弾。設置した生物の生命反応が消えるのを合図に爆発する。

■グッド・ラック(ドールハウスが撤退していない場合)

【エナジー】ライフ:15 サニティ:20 クレジット:30

【能力値・技能値】

【肉体】20 運動:30% 生存:30%【精神】40 心理:75%【環境】40 科学:60% 経済:80%

【移動適正】地上


【パワー】

■幸運を祈る属性:強化 判定:なし タイミング:特殊射程:1 目標:1体 代償:クレジット10効果:行動順ロール直後に使用できる。目標を<熱狂:30>状態にする。──お前の幸運を祈るぜ、他ならぬ俺のために。「グッド・ラック!」
■ハードラック・ダンス属性:攻撃 判定:経済80% タイミング:行動射程:3 目標:1体 代償:ターン10効果:目標は<経済>で判定を行う。失敗で2d6点のスティグマと<BS:朦朧>を受ける。その後、君は目標が受けたスティグマと同じ値だけクレジットを回復する。この朦朧はラウンドの終了時に回復する。──何故か運が悪くなり浪費が激しくなり尽くツキを逃し命に悪影響を及ぼす。
■ドッグマイン属性:攻撃・装備 判定:心理75% タイミング:行動射程:3 目標:1エリア 代償:ターン10効果:君は1d6を振る。出目が1〜2であったなら君のいるエリアを目標とする。3〜6であったなら任意のエリアを目標とする。3d6点のダメージを目標に与える。──そうだ犬ども、奴らを殺せ!……奴らを狙えよ!?

【戦法:ドールハウスが撤退していない場合】

 グッド・ラックのパワー「幸運を祈る」は、BS大凶がついている関係で自分には使用できない。ドールハウスのエネミー達の中で、ダイス判定を必要とするのはルナティックのみなので、彼女に対して使用すると良いだろう。運が絡むが回避不可の高火力エリアダメージ技「ドッグマイン」は、逆に言えば運が悪ければ自分のみならず味方を巻き込む自爆パワーだ。せいぜい幸運を祈ろう。 ドールハウスのメンバーは、あまり難しいことは考えず、素直に持っているパワーを使っていくだけで良い。普通に戦っていけば、どう足掻いてもDr.クラリックが一番強敵になるはずだ。
●グッド・ラックの戦い 強化状態・未強化状態を問わず、良くも悪くもダイスの出目によって戦場が大きく左右されやすい構成となっている。 熱狂の効果以下の出目をルナティックやグッド・ラック自身が出し続ければ、彼らは非常に強力な敵となるだろう。ドッグマインが任意のエリアに命中すれば、回避不可の3d6点ダメージがPCを襲う。タイミング次第では致命傷にもなり得るはずだ。 反面、このドッグマインは当然自身や味方を巻き込む。ダイス判定で失敗し、自分のいるエリアを目標にしてしまえば、改造少女やティラノを巻き込んで(ティラノは成功していたとしても巻き込まれるかもしれないが…)手痛いダメージを味方へとバラ撒くことにも繋がるだろう。 ましてドッグマインにクリティカルした上で、自分のいるエリアにばかり攻撃が飛んでしまえば……何もしてないのに勝手に沈んだ、なんてことになるのも、よくある話だ。

■グッド・ラック(ドールハウスが撤退している場合)

【エナジー】ライフ:100 サニティ:70 クレジット:50

【能力値・技能値】

【肉体】20 運動:30% 生存:30%【精神】40 心理:75%【環境】40 科学:60% 経済:80%

【移動適正】地上


【パワー】

■幸運を祈る属性:強化 判定:なし タイミング:特殊射程:1 目標:3体 代償:クレジット10効果:行動順ロール直後に使用できる。目標を<熱狂:50>状態にする。──お前の幸運を祈るぜ、他ならぬ俺のために。「グッド・ラック!」
■ハードラック・ダンス属性:攻撃 判定:経済80% タイミング:行動射程:3 目標:1体 代償:ターン10効果:目標は<経済>で判定を行う。失敗で3d6点のスティグマと<朦朧>および<大凶>を受ける。その後、君は目標が受けたスティグマと同じ値だけクレジットを回復する。──何故か運が悪くなり浪費が激しくなり尽くツキを逃し命に悪影響を及ぼす。
■ドッグマイン属性:攻撃・装備 判定:心理75% タイミング:行動射程:3 目標:1エリア 代償:ターン10効果:君は1d6を振る。出目が1〜2であったなら君のいるエリアを目標とする。3〜6であったなら任意のエリアを目標とする。3d6点のダメージを目標に与える。──そうだ犬ども、奴らを殺せ!……奴らを狙えよ!?
■ドッグマイン・フィンガークロス属性:強化 判定:心理75% タイミング:特殊射程:なし 目標:自身 代償:クレジット10効果:『ドッグマイン』を使用する直前に使用できる。『ドッグマイン』の1d6判定を1d6+1で行えるようになる。(出目7には出目3〜6時と同じ効果を適応する)──当たりますように!
■生体爆弾属性:攻撃 判定:なし タイミング:特殊射程:1 目標:1エリア 代償:なし効果:君が[死亡]した直後に使用できる。目標(味方除く)は<生存>で判定を行う。この判定に失敗したキャラクターは1d6+6点のダメージを受ける。──Dr.クラリックが発明した特殊爆弾。『最後の仕上げ』だ。

【戦法:ドールハウスが撤退している場合】

 グッド・ラックのパワーは撤退していない場合に比べて大きく強化されている。またBS『大凶』の効果も外れているので、「幸運を祈る」は自分とルナティックを目標とすると良い。 「幸運を祈る」と「ドッグマイン・フィンガークロス」の効果でクレジット減少が激しい為、クレジットが少なくなってきたら「ハードラック・ダンス」でスティグマ攻撃をしつつ回復していこう。
●グッド・ラックの戦い 強化状態・未強化状態を問わず、良くも悪くもダイスの出目によって戦場が大きく左右されやすい構成となっている。 熱狂の効果以下の出目をルナティックやグッド・ラック自身が出し続ければ、彼らは非常に強力な敵となるだろう。ドッグマインが任意のエリアに命中すれば、回避不可の3d6点ダメージがPCを襲う。タイミング次第では致命傷にもなり得るはずだ。 反面、このドッグマインは当然自身や味方を巻き込む。ダイス判定で失敗し、自分のいるエリアを目標にしてしまえば、改造少女やティラノを巻き込んで(ティラノは成功していたとしても巻き込まれるかもしれないが…)手痛いダメージを味方へとバラ撒くことにも繋がるだろう。 ましてドッグマインにクリティカルした上で、自分のいるエリアにばかり攻撃が飛んでしまえば……何もしてないのに勝手に沈んだ、なんてことになるのも、よくある話だ。
●最後の仕上げ マスターシーンの最後で言っていたもの。あの短時間で、グッド・ラック自身にも爆弾がインプラントされた。 その為、グッド・ラック自身も、戦闘時は精神的に追い詰められているだろう。「いやだ、死にたくない、死にたくなァーい!」「PC2、お前がさっさと死んでりゃ良かったんだ! さっさと死ね!」「わかったよ、代わりの犬を用意する! それでいいよな!?」

5.余韻フェイズ

【シナリオの結末(一例)】

『PC1』

(ドールハウスが撤退していない場合を想定)「犬は喋らないから愛せるのですよ」「どれだけあなたに文句があろうと、あなたがそれを耳にすることは決してない」「血塗れの汚い手で撫でられて、本当に相手が喜んでいたと? そんな都合の良い幻想、私にはとても信じられませんね」 自嘲するように吐き捨て、Dr.クラリックは息絶える。
 戦場に立つ敵は消え、君の復讐は終わった。 君は再び、カタギとしての生活へ戻っても良い。あるいは再び、伝説の殺し屋・PC1として復活を遂げても良い。 いずれの結末を迎えたとしても、獄門街の裏社会には再び語り継がれることになるだろう。聖夜に起きた、一人の殺し屋の新たな伝説が。

『PC2』

 君は聖夜のホテルジャック事件を見事解決したヒーローとして、世間から大きく評価されることとなる。 警察に合流し、後処理を行う君の肩を軽やかに叩く者がいた。振り返ればグリムフェイスの姿があった。「よ! まさかこんなことに巻き込まれるなんて、お前もツイてねえなあ」「後のことは全部やっておくよ、お前は年末休暇を楽しむといい。やれやれ、忙しくなるぞぉ」「……ああ、コッチのことは気にするな。お前のおかげで、随分『助かった』から」 グリムフェイスはニヤリと笑い、君の背を押した。 その笑みが意味深なものに見えたのは君の考えすぎか否か。「メリークリスマス、ヒーロー」

『PC3』

 君は無事、君の仕事を成し遂げた。ルールを破ればどうなるか、それを知らしめた君の名は、この聖夜の事件を切っ掛けとして、獄門街の中で更なる評価を受けることになる。 ふと気づけば、空からちらちらと雪が降り始めていた。それを見届けながら、君は再び、獄門街の闇の中へと消えていった。新たな仕事を受ける為に。

【シナリオ成長点】

シナリオ基礎経験点:6点成長点ボーナス:2点-----------------------------------合計=8点

6.NPCとシナリオ背景

【NPCとシナリオ背景】

■グッド・ラック

 G6所属のヒーロー。オリジンはミスティック。 元々はそのヒーローネームの通り、本当に幸運を操作することのできる呪術師だった。彼はその能力を主に金稼ぎに利用していた。G6での立場もミスティックとしての実力ではなく、金を使って手に入れた面が非常に大きい。 しかし、彼の幸運はやがて原因不明の陰りを見せ始め、グッド・ラックは徐々に立場を危ういものとしていく。そうした過程の中で、何らかの理由によって(派閥争いかもしれないし、彼の逆恨みかもしれない)PC2に恨みを抱き、PC2の家族を巻き込んだ殺人計画を立ち上げた。 伝説の殺し屋PC1を雇い、確実に仕留めるつもりであったが、PC1に断られたことで、計画の露呈を恐れてPC1を始末しようとする。ドールハウスから仕入れた新型爆弾を使い、確実に仕留める予定であった。 PC1に断られたことで、神楽町の主であるドールハウスを代わりに頼ったグッド・ラックだったが、ドールハウスに以後も脅迫され続ける可能性を危惧した彼は、PC3を利用してDr.クラリックを亡き者にしようとしていた。Dr.クラリック亡き後のドール達であれば、如何様にでも処分できると踏んでのことだ。 彼は自身の幸運を操る能力を以ってすれば、それら全てが可能であると信じていた。しかし、それは全て叶わなかった。その日の彼は、とにかくツイてなかったので。

■グリムフェイス

 G6のジャスティカ代表ヒーロー。詳細は基本ルールブックを参照。 グリムフェイスはグッド・ラックの資金稼ぎ能力に一目置き、彼を利用してその恩恵に与っていた。しかしそれによりグッド・ラックが徐々に増長していることにも気付いていた。その為、グリムフェイスはグッド・ラックを見限り、切り捨てることにした。グッド・ラックに対してこっそりと「運の尽き」をはじめとしたパワーを使用することで彼の幸運を奪い、PC2に干渉することでその計画を少しずつ邪魔したのだ。「コンチネンタル」にブラックジャケットをはじめとした警察を呼び出したのもグリムフェイスの仕業である。 グッド・ラックはPC2が処理するだろうと考えており、ついでに、『運が良ければ』、その背後で糸を引いているドールハウスにも手を伸ばせるかもしれないと考えている。 そうなれば世間も少しだけ綺麗な新年を迎えられる、それは実にラッキーな話だ。 当然だろう? だって彼はヒーローなんだから。

■Dr.クラリック/ドールハウス

 神楽町を支配する人身売買ブローカー。詳細は基本ルールブックを参照。 このシナリオに於いては、グッド・ラックによって雇われた傭兵としての側面が強い。 グッド・ラックは金払いは良かったので、この仕事を儲かる楽な仕事と捉えている。ついでにグッド・ラックに自身の開発した兵装を貸し与えることで、その威力のテストも兼ねていた。Dr.クラリック本人がホテルにいたのはその為だ(ついでに言うなら、コトが起きる前までは、たっぷりコンチネンタルのサービスを楽しんだ。クリスマスなので) しかし、PC1という凄腕の殺し屋の介入、PC3という不審な運び屋の存在を受け、報酬が釣り合わないと判断。グッド・ラックのことを都合よく見限るか、利用して自身の売名の役に立てんとするかは、PC達の動きによって変わっていくだろう。 ドール達のサンタコスチュームはDr.クラリックの趣味だ。