Seven Doors.


──ふと気が付いた時には、何も覚えていなかった。──ここが何処なのか、ここで何をしているのか、そして……自分が誰なのか。
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1.エントリーとシナリオ概要

【シナリオ概要】


 ブラックジャケット本部が存在する獄門街唯一の刑務所「プルガトリオⅦ」。 その刑務所の中で原因不明のバイオハザードが発生。 市民の平和を銘打って、焼却処分を迫るG6を前に、 今、三人の生き残りたちが立ち上がった!

【事前情報】


 クエリー:3 チャレンジ:1 リーサル:1 リトライ:2
 想定時間:3時間 推奨経験点:0点〜10点前後。より経験豊富なPCがいる場合、エネミーを随時強化すること。

【GMに要するルールブック】


・基本ルールブック(BJR)

【エントリー】

【PC1:記憶喪失の誰か】

 君が目を覚ますと、そこは見知らぬ独房だった。 君には自分の記憶が一切なく、自分が誰なのか、何故ここにいるのかも思い出せない。 君の全身は分厚い防護服で覆われている。手には奇妙なジュラルミンケースがあった。 君は自分の記憶を取り戻す為、檻の外へと出ることにした。(※PC1が新規か継続かでシナリオの真相が分岐します)(※このPCはヴィランネーム、本名が不明の状態でスタートします。継続の場合、忘れているという形で進行します)

【PC2:壊滅!ブラックジャケット!】

 君は獄門街刑務所「プルガトリオⅦ」内で、突如として発生したバイオハザードに対応しているBJ捜査官だ。 同行していた捜査官は死に、本部との連絡も取れず、生き残ったのは今や君だけ。 どうにかしてこの事態を乗り切り、生き残らねばなるまい。

【PC3:G6の捨て駒】

 君はG6所属のヒーロー、あるいは今回の事件への対処の為にG6に雇われた誰かだ。 プルガトリオⅦへの突入第一陣となった君達に、陣頭指揮を執るグレート・ワンが一つの追加命令を下した。

【PC1について】 このシナリオは、PC1が継続PCか新規PCかでシナリオの真相が分岐する。 継続PCの場合、このシナリオの間、そのPCは完全に記憶を失っているという形で進行する。もし他PCと面識があったとしても、防護服を着ている関係上、クライマックスまで確信には至らない(すれ違いや、普段のそのPCでは出来ないロールを楽しむと良いだろう) 新規PCの場合、そのPCはヴィランネームと本名が不明の状態でスタートする。覚醒についてなども空白とするのが良いだろう。オリジンやパワー、性格については自由に設定してかまわない。そしてやっぱり、防護服を着ている関係上、外見についてもクライマックスまで謎のまま進行することになる。作者的には新規をおすすめする。

2.導入フェイズ

【エントリー1:記憶喪失の誰か】

舞台:謎の独房登場:PC1

【状況1】

 ふと気が付いた時には、何も覚えていなかった。 ここが何処なのか、ここで何をしているのか、そして……自分が誰なのか。 右手には懐中電灯、左手にはジュラルミンケース。 全身を包み込む防護服は重く、視界を遮るマスクはカビ臭い そして、ここはとても薄暗い。
 君が目を覚ますと、そこは見知らぬ独房だった。 君には自分の記憶が一切なく、自分が誰なのか、何故ここにいるのかも思い出せない。 目の前には血まみれのテーブルが置かれており、手には鍵のかけられたジュラルミンケースが手錠で繋がれている。開き方が分からない。 いま、君はカビ臭い防護服を着ているようだ。 よく見ると、独房の鍵が僅かに開いている。外に出ることが出来そうだ……。

【状況2】

 君は独房エリアの外に出る。周囲には多くの独房があったが、どれも中に人の姿はなかった。 やがて君は広いフロアに辿り着いた。人一人が踊り狂ってもなお余裕がある広さだ。 自動販売機が部屋の隅に置かれており、休憩室のような雰囲気だ。 この部屋から他の部屋に進むことも出来そうだが……。 次の行き先について悩んでいた君の前に、ダクトから怪物が這い出てくる。 怪物は「プルガトリオⅦ」と書かれた看守のような制服を身に着けていた。

【エンドチェック】

□部屋を出た□怪物に遭遇した

【解説】

 PC1がどういう状況かを説明するためのシーン。 ジュラルミンケースと防護服はギミック上、ストーリーが進行するまで外せない。

【エントリー2:壊滅!ブラックジャケット!】

舞台:プルガトリオⅦ登場:PC2

【状況1】

 君はいま、戦いの中にいる。 珍しいことではない。BJ捜査官である君は、囚人となってからも戦いの連続だ。 珍しいことといえば、今の戦場が、まさに君が普段生活を送っている監獄・プルガトリオⅦであるということか。 プルガトリオⅦ内で異変が報告され、状況確認の為にBJ捜査官として現地へ派遣された君だったが……今や周囲に広がっているのは、先ほどまで共に戦っていたBJ捜査官たちの死体、目の前にいるのは囚人服や看守服の残骸を身に着けた怪物だ。 本部との連絡も取れない、絶体絶命だ。どうしよう?

【状況2】

 君がこの状況に対処しながら監獄の中を進んでいると、まだ怪物になっていない人間を見つける。PC1だ。 PC1は怪物と対峙している。このまま放っておけば死ぬかもしれない。

【エンドチェック】

□プルガトリオⅦの状況を認識した□PC1と遭遇した

【解説】

 プルガトリオⅦがどういう状況かを説明するシーン。 PC1との遭遇・合流シーンをどうにかして作ろう。 PC2が現役の囚人ではないという設定の場合は、都度描写を調整すること。

【エントリー3:G6の捨て駒】

舞台:プルガトリオⅦ登場:PC3、グレート・ワン

【状況1】

 君はいま、封鎖された刑務所・プルガトリオⅦの前で突入の合図を待っている。 なんでも、プルガトリオⅦ内でバイオハザードが発生。G6へ救援の依頼が届いたのだという。「どうせブラックジャケットどもが何かしでかしたんだろ」「犯罪者どもなんて放っておけばいいのにな」 回りには共に突入予定の雇われ者やG6の下級ヒーロー達が好き勝手な憶測を交わしている。

【状況2】

「諸君、ご苦労」 そこに、この作戦の陣頭指揮を執るハービンジャー・ロード、グレート・ワンが現れた。「突入を控えた君たちに、もう一つ伝えることが出来た」 彼女は一枚の写真を見せる。そこには一つのジュラルミンケースが写されていた。「このケースを発見した場合、優先的に確保しろ」「諸君らの健闘を祈る」

【状況3】

 かくしてプルガトリオⅦへと突入した君たちであったが、事態は君たちの予想以上だった。 刑務所内にいた看守や囚人たちは軒並み死亡するか、大きく肉体を変質させた理性のないクリーチャーへと変貌していたのである。 突入隊は連携を乱され、一人、また一人と怪物たちに屠られる。 撤退しようにも外部との連絡は取れなくなり、入ってきた入口は崩落により塞がれてしまった。 別の出口を探す必要がある。これからの動向を思案する君は、君のいる場所めがけて走ってくるPC1とPC2の姿を目にする。 そして……その後ろには……ひときわ巨大な怪物が、二人を追って、君のいる場所まで走ってきている!

【エンドチェック】

□追加命令を受けた□PC1・2と合流した

【解説】

 グレート・ワンが怪しいということを伝えるためのシーン。 グレート・ワンは自分たちが関わっていた証拠を極力隠滅したいと考えている。 その為、PC3たちがケースを本当に見つけた時は、積極的に始末するつもりだ。

3.展開フェイズ

【チャレンジ1:Three Doors.】

舞台:プルガトリオⅦ登場:全員

【状況1】

 クリーチャーが襲い掛かってきた! 対処しろ!
---------------【チャレンジ判定】 同一人物が複数の判定を行うことはできない。■判定1:クリーチャーの攻撃を躱す…運動■判定2:クリーチャーの弱点を探す…作戦■判定3:クリーチャーへ有効な攻撃を…白兵-10% or 射撃-10% or 霊能-10%
□失敗時:全てのエナジーを0にする---------------

【状況2】

 互いの立場を認識せよ。

【エンドチェック】

□チャレンジに成功した□合流した

【解説】

 クリーチャーとの戦いを好き勝手に演出しながらPC同士で楽しくやってもらおう。事実上の合流シーンだ。 このシナリオのクリーチャー達は、監獄の囚人や看守たちが姿を変えたものである。

【クエリー1:Four Doors.】

舞台:プルガトリオⅦ登場:全員(メイン:PC2)

【状況1】

 君たちが出口を求めて監獄を進むと、やがて外へと続く非常階段へと辿り着いた。 しかし非常階段へ進む扉の前には、一人の看守が背を預けて座り込んでいた。 PC2の知っている看守だ。 いつも君たち囚人へ意地悪な態度を取っていた嫌われ者だと君は認識している。 看守はPC達に気付くと、弾かれたように叫んだ。「こっちへ来るな!」 看守の背後、扉の先で、何かの影が蠢いているのが目に入る。

【状況2】

「この階段にはモンスターがいる。使うのは無理だ」「離れるんだ、近づくんじゃないぞ。俺はもう無理だ。……やられたよ」 看守の両足の膝から下は失われていた。血がドクドクと床に流れている。「助ける義理なんてないだろ。ホラ、さっさと行け!」 追い払うようにシッシッと手を振る看守。 君はどうする?
【看守を助けようとした】 助けようとした目の前で看守がクリーチャーに食われる。
【看守の言葉に従った】 背後から断末魔が聞こえてくる。

【エンドチェック】

□選んだ□成長点ボーナスを1点獲得した

【解説】

 PC2のクエリーシーン。 ホラー映画っぽく演出するといいかもしれない。

【クエリー2:Five Doors.】

舞台:プルガトリオⅦ登場:全員(メイン:PC3)、フォーカスライト、グレート・ワン

【状況1】

 混乱状態のプルガトリオⅦを駆け抜けた君は、かろうじて使える通信機器の残された部屋へと辿り着いた。 G6との無線を繋げようと、特定の周波数に調整した時、そこから人の話し声が聞こえてきた。それはフォーカスライト(生きていたのだ!)とグレート・ワンの声だった。『まだ生きていたとはな、フォーカスライト』『貴様、何をしでかした?』『おかしなことを言う。それはこちらの台詞の筈だが』『我々が気付いていないとでも? ハービンジャー派閥(クリーク)が囚人達を使って妙な動きを見せていたことは此方も把握している。 その矢先にこの事件だ。貴様、“第七扉”の先で何をしていた?』『そこまで分かっていながら、辿り着けなかった貴様の負けだ』『……ッ!』『市民の安寧の為にも、これ以上のバイオハザードの拡大を見過ごす訳にはいかないよなぁ? 突入部隊が壊滅した以上、此方からのこれ以上の関与は危険と判断する。 プルガトリオⅦへの焼却消毒を行う。これは決定だ。 ヒーローとして、当然の判断だろう? お前と話せなくなるのは残念だよ、フォーカスライト。平和の為に死んでくれ』 嘲笑するような声とともに、グレート・ワンは通信を終えようとする。 君は声を上げてこの会話に混ざっても良いし、混ざらなくても良い。

【状況2】

 君の通信に気付き、グレート・ワンは訝しげな声をあげる。『PC3? 生きていたのか』『すまないが、話は聞こえた通りだ。君たちの尊い犠牲を残念に思う』 君がPC1のこと、PC1が持つケースのことを告げたなら、グレート・ワンは狼狽えた様子を見せる。『……あるのか? それが? そこに?』『本当に完成していたのか……』『……状況が変わった。君がここで連絡をしてくれて助かったよ。 お前たちは絶対に生かして返す訳にはいかなくなった。 徹底的に消毒作業を進めるとしよう。お前たちに対しては、殊更に。 間違っても生き残ってくれるなよ、潔く死んでくれ』 グレート・ワンは君に明瞭な殺意を向ける。 さて、どう答えてやろうか。

【エンドチェック】

□グレート・ワンから見捨てられた□成長点ボーナスを1点獲得した

【解説】

 PC3のクエリーシーン。 グレート・ワンとフォーカスライトのやりとりを聞き、PC3が完全にグレート・ワンから見捨てられたことを理解するシーンとなる。 PC3が沈黙を選んだ場合、グレート・ワンが自発的に気付いたと言う形で「状況2」に続くと良いだろう。 『第七扉』とは次のイベントで出てくるプルガトリオⅦの地下施設へ続く扉の名だ。

【リーサル:Six Doors.】

舞台:プルガトリオⅦ登場:全員、フォーカスライト

【状況1】

 グレート・ワンの通信が絶えた後、君たちにフォーカスライトが語りかけてくる。『お前たちは生存者か』(『ジュラルミンケース? ……それは……なるほど、そういうことか……』)『我々ブラックジャケットも、多数が犠牲になったが、辛うじて本部内に篭城することで生き残っている。だが、戦力は乏しい。外にG6の部隊がいる以上、脱出は不可能だろう。蜂の巣にされるだけだ』『今、お前達の現在位置を特定した。そこで、一つ提案がある』『このままでは我々は揃ってグレート・ワンによって全滅だ。それを回避する為にも、プルガトリオⅦ内で起きているバイオハザード鎮圧の為にも、ある場所に向かってもらいたい』『“第七扉”……プルガトリオⅦの地下第七層へ続く扉の通称だ。その先へ向かえ』『今、動けるのはお前たちだけだ。断れば……我々は同じ墓穴で眠ることになるな。どうする?』 選択肢など、あるはずがない。
---------------■【リーサル判定】 この判定には誰が何回挑んでも構わないが、一人がリーサル判定を行うたびに1d6を振ること。 1d6の出目の合計が7以上になったタイミングで、G6による焼却消毒が開始される。 PCは全員<生存>判定を行い、失敗で1d6点、成功で1点のライフを失う。 以後、この生存判定はリーサル判定を行う都度に発生する。(例:判定1を行う(成功)→1d6=5  →判定2を行う(失敗)→1d6=1→別PCが判定2を行う(成功)→1d6=3  →合計9となったので<生存>判定を行い、対応するライフを減らす  →判定3を行う→<生存>判定を行い、対応するライフを減らす)
【判定1】第七扉への最短ルートを見つけろ!…知覚+10% or 作戦
【判定2】判定2:第七扉まで駆け抜けろ! 迫るクリーチャーを倒せ!…白兵 or 射撃 or 霊能
【判定3】第七扉に辿り着いた! ゲートを開け!…科学 or 操縦
失敗時:チャレンジ・ぺナルティ・チャートを振る。---------------

【状況2】

 君たちはプルガトリオⅦの最深部、『第七扉』の先へと辿り着く。 その先は研究室になっていた。粉々に砕け散った強化ガラスの檻の中では、何かの生物研究が行われていたらしい。随所に倒れている死体は皆、PC1と同じ防護服を身につけていた。 PC1はそこで、ずらりと並べられたジュラルミンケースを目にする。君が持っているものと同じものだ…! その時、頭上から凄まじい熱光線が室内を襲った!

【エンドチェック】

□リーサル判定を終えた

【解説】

 フォーカスライトはグレート・ワンの動きから、地下の実験室にワクチン等がある可能性が高いと踏んでいる。 グレート・ワンは地上から地下7階まで施設を溶かしながら降りてきた。PC3達を完全に殺す為にだ。

【クエリー3:Seven Doors.】

舞台:プルガトリオⅦ登場:全員(メイン:PC1)、グレート・ワン

【状況1】

 姿を現したのはグレート・ワンだった。彼女は室内の様子と、PC達の様子を見回し、最後にPC1へと視線を留め、目を細めた。「……まさか本当に生きていたとはな」「そうか、記憶を失っているのか」「真実を知りたいか?」

【状況2(継続PCの場合)】

「ここでは我々、異界からの友人達のために、ちょっとした研究を行っていてね」「寂しさを埋める為のささやかなプロジェクトだよ。大母結界(グレート・マザー・バリア)に閉じ込められた私達が、少しでも故郷を懐かしむ為の、健気な研究だ」「……故郷の食料を、生き物を、自然を、この星で再現するための計画さ。プロジェクト名称は『コード:メサイア』」「だが、その計画を嗅ぎ回る不埒な鼠がいたらしくてな。そいつはこの研究室から、『メサイアの胞子』を盗み出した……その騒動のせいで、この大惨事に至ってしまったという訳だ」
 君は全てを思い出す。 君はPC1という存在だ。ある日、プルガトリオⅦで行われている非合法研究の情報を得た君は、(金か、組織の命令か、それ以外の目的で)その証拠を得る為にプルガトリオⅦに潜入した。 そこで見事、情報と証拠となるジュラルミンケースを手に入れたのだが……君に気付いた職員と乱闘となり、その余波で『メサイアの胞子』と呼ばれるウイルスが流出。命からがらラボを抜け出した君だったが、職員に襲われた際に頭部を強く打ち付けたことが仇となり、意識と記憶を失っていたのだ。 君の手に繋がれたジュラルミンケースに残されているのは、グレート・ワンをはじめとしたG6ハービンジャー派閥がこの研究を行なっていたという決定的な証拠である
 全てを思い出した君に、グレート・ワンが凍てつくような眼差しを向けた。「さて……この責任をどう取ってくれるつもりかな、PC1?」「くれぐれも言葉を選び、媚び諂って私の機嫌を伺う努力をすることだ。 私は今、貴様に対し、腹の底から怒りを抱いているのだから…!」

【状況2(継続PCの場合)】

「ここでは我々、異界からの友人達のために、ちょっとした研究を行っていてね」「寂しさを埋める為のささやかなプロジェクトだよ。大母結界(グレート・マザー・バリア)に閉じ込められた私達が、少しでも故郷を懐かしむ為の、健気な研究だ」「……故郷の食料を、生き物を、自然を、この星で再現するための計画さ。プロジェクト名称は『コード:メサイア』」「そして、その研究はついに完成した」「お前だよ。お前が『コード:メサイア』の完成形──私の同胞だ」「さあ、その顔をよく見せておくれ」 グレート・ワンの目から光線が放たれ、それがPC1の身を覆っていた防護服を焼き、裂いた。 強固な特殊防護服の下から出てきたのは……グレート・ワンと良く似た、瓜二つの顔をした存在だ。
 君は全てを思い出す。 君はプロジェクト『コード:メサイア』によって作り出された、グレート・ワンの故郷の生物と全く同じ体組織を持つ存在だ。君は『メサイアの胞子』と呼ばれる特殊な胞子と、多くの地球生物の細胞を組み合わせることで、人為的に再現されたハービンジャーである。 君が産まれた時、君は酷く混乱していた。目を覚ますと同時、君の強大な力は職員とラボを焼き、地上の刑務所へと『メサイアの胞子』を流出させるに至った。 君は混乱しながら、目に映る同じような形をしたものたちを無意識に真似、地上へと逃れた。だがその途中で力尽き、意識を失い──目を覚ました時には全てを忘れていた。
 全てを思い出した君に、グレート・ワンは慈母のような眼差しと共に手を差し伸べる。「怖かっただろう、こっちへおいで」「大丈夫、もう何も恐れる必要はない。私が導き、守ってあげよう──我が愛しき友、我が故郷の胤(たね)よ」

【エンドチェック】

□思い出した□グレート・ワンの言葉に返事をした□成長点ボーナスを獲得した

【解説】

 動植物を勝手に外国に持ち込んではいけません。 継続時/上手くいけば自分の同胞を作れるかもしれなかったのに、PC1のせいで台無しになってしまったので、スーパー激おこ。 新規時/寂しさを拗らせた末についに友達(もしかしたら子供)を自作し始めた。やったねお前がグレート・ツーだ。 新規PCルートの場合でも、基本的にはPCがNOと答えることを想定している。YESと答えた場合は、グレート・ワンが紛い物のPC1に結局耐えられないという形で決戦フェイズに突入するといいだろう。
(台詞例)「……何故だ、こんなに似ているのに、見た目は同じなのに! どうして違う!?」「余計なものが混ざってしまったせいか? ああそんな、そうに違いない、これじゃダメだ」「もう、いい。お前はもういらない。もう一度だ、もう一度やり直さなくては…!」

4.決戦フェイズ

【戦闘情報】

【エネミー】

・グレート・ワン(P.132)・B級ヒーロー×4(P.136)・メサイアの胤(下記)

【エリア配置】

■PC初期配置 エリア1・エリア2■エネミー初期配置 エリア4:グレート・ワン、メサイアの胤 エリア3:B級ヒーロー

【勝敗条件】

勝利条件:エネミーの全滅敗北条件:味方の全滅

【備考】

・特に無し

【解説】

 グレート・ワンが実験場所にプルガトリオⅦを選んだのは、プルガトリオⅦが設立されて間がない新しい刑務所だからである。あるいは刑務所の設計段階から、彼女達の計画は既に進められていたのかもしれない。実験体となる囚人はいくらでも補充できるし、たとえ何かが起きてもブラックジャケットや獄門街のせいにできる、そんな目論見だった。 『メサイアの胞子』に関しては詳しい設定は特にない。卓のメンバーと相談しながら、好き勝手に不思議で便利なアイテムとして悪用してしまおう。

■メサイアの胤

【エナジー】ライフ:25 サニティ:12 クレジット:10

【能力値・技能値】

【肉体】「メカ鮫(P.117)」のデータを使用する。【精神】「メカ鮫(P.117)」のデータを使用する。【環境】「メカ鮫(P.117)」のデータを使用する。

【移動適正】「メカ鮫(P.117)」のデータを使用する。


【パワー】

■メサイアの胞子属性:攻撃 判定:なし タイミング:行動射程:2 目標:3体 代償:ターン8効果:目標は<意思>判定を行う。この判定に失敗したキャラクターは3d6点のショックおよび[BS:束縛]を受ける。さらに目標は、このイベントの間、全ての移動適性を失う。──生物の肉体を変質させる特殊な胞子。

5.余韻フェイズ

【シナリオの結末(一例)】

【シナリオの結末】

 研究所に残ってたワクチンのお陰で事態は甚大な犠牲を払いながらも無事に治まる。 グレート・ワンは殺すも逮捕もご自由に。 この事件の影響でハービンジャー派閥は大きくその勢力を削がれる事になるだろう。 PC1のその後の処遇についても好きに決めていい。囚人じゃないので釈放されて自由になってもいいし、グレート・ワンの後釜についても良いし、BJ隊員になってもいいだろう。 PCたちに自由に演出を行わせ、余韻とすること。

【シナリオ成長点】

基本:5点クエリー:3点=合計:8点