ブラックジャック・リミット


──ブラックジャック(英語: Blackjack)は、トランプを使用するゲームの一種。  カジノで行われるカードゲームではポーカーやバカラと並ぶ人気ゲームである。  カードの合計点数が21点を超えないように、プレイヤーがディーラーより高い点数を得ることを目指す──

1.エントリーとシナリオ概要

【シナリオ概要】


 君たちはブラックジャケット捜査官だ。 超人傭兵部隊ネバーモアと日本政府の交渉の席「麻神学園」の警護任務を担うことになった。 囚人である君たちがそんな場所を任された裏には、組織同士のパワーゲームがあるらしい。 しかし会談の前日、ネバーモアの交渉役であった「葬送法師」が死体となって発見され、「鍾馗」という人物が指名手配を受ける。 君たちは事件の捜査を担うことになった。

【事前情報】


 クエリー:3 チャレンジ:1 リーサル:1 リトライ:2
 想定時間:3〜4時間

【GMに要するルールブック】


・基本ルールブック(BJR)

【エントリー】

【共通エントリー】

 君たちはブラックジャケット捜査官だ。 超人傭兵部隊ネバーモアと日本政府の交渉の席「麻神学園」の警護任務を担うことになった。 囚人である君たちがそんな場所を任された裏には、組織同士のパワーゲームがあるらしい。 しかし会談の前日、ネバーモアの交渉役であった「葬送法師」が死体となって発見され、「鍾馗」という人物が指名手配を受ける。 君たちは事件の捜査を担うことになった。

【PC1:ネバーモアの交渉役】

 一週間前の打ち合わせのことだ。 顔を合わせた葬送法師が君に話しかけてきた。「これより一週間後、拙僧は死ぬでしょう」

【PC2:スニークの呻き】

 葬送法師殺人事件の調査を行う君たち。 ともに調査を行うスニークが、目の下に隈を作りながら愚痴ってきた。「葬送法師も、鍾馗も、誰なんだよこいつら!」

【PC3:重要参考人・火霞羅州】

 君は鍾馗と繋がりがある重要参考人として、火霞家当主・火霞羅州の確保任務にあたった。 訪れた君たちと対峙しながら、火霞羅州は頑とした態度を貫く。「話せることは何もない。お引き取り願おう」

2.導入フェイズ

【シナリオトレーラー】

 カードは配られる。 限られた手札。見極めるは21の極限。 引き際を誤れば死、されど臆せども死。 デッドラインを見極めた先、逆境にこそ栄光は宿る。
 ブラックジャケットRPGキャンペーン『レイド・ゲーム・ジョーカー』 第一話『ブラックジャック・リミット』
 ──正義が意味をなくした世界で、悪党たちの饗宴が始まる。

【共通エントリー:ブラックジャケット】

登場:全員舞台:プルガトリオⅦ・フォーカスライト執務室(二ヶ月前)

【状況1】

 最近、ブラックジャケットが騒がしい。 囚人である君たちにも、詳しい情報は齎されこそしないものの、その奇妙な空気は伝わって久しい。 何か大きな動きでもあるのかと、どことなく張り詰めた空気が続いたある日のこと。 君たちは、ブラックジャケット隊員として、マスター・フォーカスライトの執務室へと呼び出された。「日本政府からのご指名だ」 フォーカスライトは少しも面白くなさそうに、淡々と任務内容を告げる。「来たる某日、己護路島(おのごろとう)・麻神学園にて、超人傭兵部隊ネバーモアと日本政府の会談の席が設けられる。 要人の警護はG6が、会場の警備を我々ブラックジャケットが担うことになった。 お前たちにはこの任務のチームリーダーを務めてもらう」
Q.G6は誰が担当?「G6の要人警護担当者は、エンハンスド代表ヘルムズマンが担うことになった」「第一派閥のハービンジャー・ロードが担当とならなかったのは、地球外生命体である彼女たちに、日本政府要人の警護を任せることに対する不安視の声があがったからだそうだ。差別意識に端を発するのは間違いない。 その結果、白羽の矢が立ったのは、旧世代と超人種の中間ともいえる立場であり、かつ先のファクト壊滅作戦において大きな戦果を上げた人物であるヘルムズマンだったそうだ」
Q2.会場警備をブラックジャケットが担当していいの? 犯罪者だよ?「今回の会談に於いて危険視されたのは、特定の立場・組織に利益が偏り過ぎないようにすること……要は談合対策だ。我々が任務を受けるに至ったのは、G6のこれ以上の勢力拡大を危険視する声があった為。日本政府も一枚岩ではないからな」「そもそも、G6とネバーモアはその役割の違い上、水と油だ。我々は緩衝材として貧乏籤を引かされたということだろう」
Q3.なんの話をするの?「ネバーモアは日本政府に対し、麻神学園内部に『防衛科』の設立を要請するつもりでいるらしい。実力があり、かつその力の使い道を見出せない超人種の若者たちの一つの選択肢として、というのが建前だ」「だが、日本は固有の戦力を持てない国だ。交渉は易々とはいかないだろう」
 この案件、ずいぶんと大きなものになりそうだ。 そんな予感が君たちの脳裏によぎった。 それが今から、二ヶ月前の話だ。

【状況2】

 そして今。 明日に会談当日を控えたこの日に、事件は起きた。 ネバーモア交渉役である「葬送法師」と名乗る人物が、東京・神田川にて死体となって発見された。 要人暗殺──剣呑な事件の容疑者は、警察の手により、早く容疑者の名と顔が挙げられた。 容疑者の名はヴィラン「鍾馗」。 回ってきた手配書を見つめ、目を細めたフォーカスライトは、君たちへ新たな任務を与えた。「任務内容を変更する」「これより我々は、葬送法師殺害事件の調査を行う。犯人は何者で、どんな理由を以てこの一件を引き起こしたのか……」「……この件には、様々な組織のパワーゲームが大きく関わっていた。おそらくは目に見えるよりも大きな範囲でこの事件は広がっている。組織同士の騙し合いがこれから始まるはずだ」「少しでも気を抜けば、我々は騙され、真犯人をとり逃すことになるだろう。くれぐれも、油断をするな」

【エンドチェック】

□葬送法師が死んだ

【解説】

 事件の始まりと、交渉の席の詳細を説明するエントリー。 己護路島とは、相模湾に浮かぶ日本最大の超人種自治区の人工島。麻神学園はその中にある超人種の為の学校だ。BJRにおいては基本ルールブック79ページにその名前が登場する(DLHを遊んでいるプレイヤー向けに言えば、この世界の麻神学園にはヒーロー科は存在せず、その代用として防衛科の提案がなされたと考えれば良い) GMはここで、76ページ〜79ページあたりの、獄門街以外のBJRの世界観についてPLと共有できると良いだろう。

【エントリー1:交渉役の予言】

登場:PC1舞台:事件開始の一週間前・己護路島

【状況1】

 時は、事件が起こる一週間前に遡る。 ブラックジャケットとネバーモアの打ち合わせの席に、君は同席していた。 主な交渉はフォーカスライトやザ・ハートレスが行い、君は現場担当者として、会場見取り図を見ながらいくらかの意見を出す。それだけの退屈な時間だった。 意義があったとすれば……君はその席で初めて、葬送法師と顔を合わせた。 僧服を身に纏った、奇妙に存在感の薄い男だった。一見すれば旧世代と変わらないが、ネバーモアの一員ということは、超人種ではあるのだろう。無骨な傭兵集団の交渉担当者が僧侶というのは、どうにも奇妙な取り合わせではあったが、彼らはそのことに然程の違和は抱いていないようだった。 打ち合わせはつつがなく進み、やがて終わる。 解散し、現場の整理を進める最中、君に葬送法師が声をかけてきた。「もし、そこの御仁。あらためて、ご挨拶をさせていただきたい」「ネバーモア交渉役、葬送法師と申します。この度はどうぞ、お見知りおきを」

【状況2】

 何の変哲もない顔合わせの挨拶。 そう思われたそれは、話の中、葬送法師が告げた奇妙な言葉で意味を変えた。「これより一週間後、拙僧は死ぬでしょう」 まるで何でもないことのように葬送法師はそう告げる。そして君を見て、にんまりと笑った。「その暁には、どうぞよろしくお願い申し上げます」 それだけを告げ、葬送法師は君の元を去ってしまった。 そしてその言葉は一週間後、事実となった。

【状況3】

 あれから一週間後。君は今、神田川に浮かんだ葬送法師の死体の写真を見下ろしている。 写真の中で青い顔をして目を伏せている男は、確かにあの日、顔を合わせ、会話をした男に他ならない。 この男は一体何者なのか? あの言葉の意味とはいったい何なのか? 大きな陰謀の気配を察しながら、君はブラックジャケット捜査官として、調査に乗り出した。

【エンドチェック】

□葬送法師の予言を聞いた□捜査に乗り出した

【解説】

 PC1の個別エントリー。 この葬送法師は、実際はネバーモアに雇われた影武者だ。しかし本物の葬送法師の洗脳下におかれている。このエントリーをきっかけとして、PC1もまた、本物の葬送法師の術の影響を受けることになる。しかしこの段階ではそのことはPLには明かさず、謎めいた導入シーンとして処理してしまおう(この謎が完全に解けるのは第三話に入ってからだ)

【エントリー2:スニークの呻き】

登場:PC2(PC1やPC3がいてもよい)舞台:ブラックジャケット本部

【状況1】

 葬送法師殺人事件の捜査を行う君たち。 しかし調査は一向に捗らない。そも、容疑者とされる男にも、被害者である男にも、あまりにも謎が多過ぎたのだ。「えーん、コーヒーちょうだいコーヒー。砂糖とミルク山盛りにいれたやつ」 君の傍、共に調査を行なっていたスニークが、目の下に色濃い隈を作りながら泣き声混じりに愚痴ってきた。「葬送法師も、鍾馗も、こいつら誰なんだよぅ!」

【状況2】

「ネバーモアが秘密主義なのは知ってたけど、まさかここまで痕跡を残さないなんて。心が折れそう」「一応、葬送法師に関していくつか断片的に得られた情報はあったけど……これが何を意味するのか、正直、僕も判断に迷ってる」
■葬送法師の死因「彼の死因は『胸部を鋭利な刃物で貫かれたことによるショック死』とされてる。 この刃物が物理的な凶器なのか、超人種の力によるものなのかは判断が出来ないらしい。 現場には凶器の類は無くて、死体は死後、川に突き落とされたみたい。 実際の殺害現場がどこなのかは分かっていないね。目撃者もいないみたいだ」
■葬送法師の死体「水で多少死体に傷みはあるけど、葬送法師を知る人物から、本人であるという確証は取れてるみたい。 実際PC1も顔を合わせたことがあるらしいよ。 肉体な特徴は旧世代と変わらない……ってことらしいんだけど、 ネバーモアの重要関係者な以上、本当に旧世代なわけないよね。 ミスティックか、死後痕跡が消えるタイプの超人種の方向で捜査は進められてるみたいだ」
■葬送法師という人物「なーんも分かんない!!!!!!!!!! 本名が何なのか、普段はどこで生活をしているのか、その個人性のほぼ全てが謎に包まれてる。 ただ、唯一記録を発見できた。正直眉唾なんだけどね。 1946年頃。戦後、敗戦国になった日本で、米軍の撤退交渉に同名の僧が活躍したと記録されてるんだ。その後、米軍が撤退したあとの土地が、超人自治区としてあてがわれていったらしい。 でもこの時、どんな交渉をしたのかについての記録は残ってない。名前が少し登場するだけ、それだけなんだ」「葬送法師がその頃から生きてて、老いが表に出ないタイプの超人種だったのか。 あるいは葬送法師という名称が、そもそも特定の役職を示す用語に過ぎないのか。 現時点では、そのどちらとも言い難いってのが本音」

【状況3】

 更に容疑者とされる「鍾馗」に関しても、何者であるのか、どのような罪状を持ったヴィランなのか、何故指名手配されるに至ったのかの経緯が、まるきり謎だというのだ。「そりゃ、警察とヒーロー、ひいてはブラックジャケットの折り合いが悪いことなんて百も承知だけどね……これはちょっと異常だよ」「で、今朝、警察からの依頼で、ある超人種の身柄拘束に協力して欲しいなんて通達が来た。どの口がって感じだよねえ」 スニークはそういうと、ふてくされたようにパソコンを操作する。そこには警察からの捜査協力依頼とともに、一人の青年の写真が写し出されている。「重要参考人の名前は火霞羅州。鍾馗の弟子……とされる人物、だってさ」

【エンドチェック】

□警察の動きに不穏なものを感じた□葬送法師と鍾馗のことを知った□捜査に乗り出した

【解説】

 警察とブラックジャケットの関係についてはBJR77〜78ページ参照。 戦後の葬送法師の設定に関してはDLHからの設定を利用しているが、本編に大きく関わってくる訳ではないので、『このキャンペーンではそういう設定となっている』程度の認識でも構わないだろう。

【エントリー3:重要参考人・火霞羅州】

登場:PC3(PC1とPC2がいてもいい)舞台:火霞家邸宅

【状況1】

 君たちは鍾馗と繋がりを持つ重要参考人として、火霞家当主・火霞羅州の確保任務にあたった。あくまで任意同行が目的ではあるが、わざわざブラックジャケット捜査官を向かわせるということは『そういうこと』を期待されているのだろうと、君たちにも察せられた。 火霞家は人里離れた山奥にある、歴史を感じさせる大きな日本家屋だ。話によれば、古くから日本に暮らすミスティックの一族であるのだという。 現当主であるという火霞羅州は、大柄ではあるが生気の薄い顔をした若者だった。羅州は表情一つ動かさずに言い放つ。「話すことは何もない。お引き取り願おう」

【状況2】

 君たちの詰問を受けながら、羅州は淡々と告げる。「その鍾馗とかいう輩と我々の間に、一体どんな関係があるって? 証拠があるならいざ知らず、それすら示さんままに身柄を拘束するというのは随分と横暴なように思うがね」 羅州の言葉は当たらずとも遠からずだ。彼が何故鍾馗と繋がりがあるとされたのか、その理由に関して、ブラックジャケットは警察から未だに情報を得られていない。 超人種の重要参考人を確保する為に、超人種の捜査官が動員されることは珍しい話ではない。だが、それがヒーローではなく、ブラックジャケットにもたらされたというのも意味深だ。 君たちの組織間の軋轢を見透かすように、羅州は告げる。「順番が違うんじゃないかい、ブラックジャケットさんよ。それとも本当に、あんたらは今の状況に疑問を抱かないような、噂通りの飼い犬なのか?」
 君たちはここで羅州を強引に重要参考人として連行しても良いし、この場は一旦引いても良い。(君たちが強引に連行しようとするのであれば、羅州も抵抗を諦めて同行に同意はするだろう) 捜査はまだ、始まったばかりだ。

【エンドチェック】

□羅州と言葉を交えた□捜査に乗り出した

【解説】

 PCたちが火霞一族の屋敷を訪問するシーン。羅州はこのシーンでは頑なに鍾馗のことなど知らないと主張する。そして、それを翻せるだけの証拠は、まだ見つかってはいない。 反面、ブラックジャケットはそうした合理性をある程度無視して動けるからこそ有益な組織でもある。このシーンでPCがどちらを選ぶかは、PC自身の判断で自由にしていいだろう。

3.展開フェイズ

【クエリー1:国家権力】

登場:PC全員(メイン:PC3)舞台:警察署

【状況1】

 羅州の件を報告するため、君たちは警察署へと向かった。 担当刑事の元へと向かえば、その刑事はデスクで漫画雑誌を読みながら煙草を吹かしていた。書類に混ざって競馬券が散乱しているのも目に入る。明らかに仕事の出来ない不良警官だ。
(羅州を連れてきていない場合)「任意同行に失敗したァ? ったく、何のためにオメーらを送ったと思ってやがる、使えねえな」(羅州を連れてきた場合)「はーいはい、ごくろ〜さ〜ん。じゃ、あとはこっちでやるから、お前達はさっさとおうちに帰りな」
 火霞羅州の連行に関する顛末を聞いた担当刑事は、すげない態度で君たちを追い払おうとする。 しかし、そういう訳にもいかない。君たちは刑事から、どんな手を使ってでも情報を聞き出さんとする。何をしたっていいだろう。

【状況2】

 君たちの尋問に、刑事はようやく折れ、口を開いた。「分かった、話す、話せばいいんだろ! 俺が話したって言わないでくれよ……。 正直、警察でも掴んでる情報は少ない。鍾馗って奴を指名手配・捕まえろって言ってきたのはな、公安だよ。「公」共の「安」全と秩序を守るための警察。 テロ組織やスパイなんかを調べるのがお仕事のおっかな〜い奴ら……要は国だ」「俺も厄介ごとに首を突っ込む気は無いんでね。それ以上は知らねえよ。知る気もないね」 刑事は面倒臭そうに吐き捨てると、君たちへ告げた。
「おい犯罪者ども。やさし〜いやさし〜いおまわりさんからの助言だ。 余計なことは考えず、鍾馗捜索に全力をあげろ。 お前たちだってこれ以上、理不尽に罪状を増やしたかないだろ? 国家権力を敵に回すってのは、そういうことだ」 さて、何と答えよう?

【エンドチェック】

□刑事の言葉に答えた□成長点ボーナス1点を得た

【解説】

 PCたちが不良刑事の口から、公安、ひいては日本政府が裏で糸を引いていることを明かされるシーン。 ブラックジャケットや超人警察機構は国際的な組織ではあるが、あくまでその拠点は日本国内に存在し、超人大国としての性質上、日本が最も強い発言権を有している。つまり、どうしても無視できない存在なのだ。 PCの設定によっては、PCは囚人ではないかもしれない。しかしこの刑事はPCのことなんて大して知らないので、BJ捜査官=犯罪者、というレッテルを貼って決めつけてくる。

【チャレンジ1:葬送法師は誰だ】

登場:PC全員舞台:日本国内

【状況1】

 警察からの脅迫を受けようと、君たち自身の価値観が如何なるものであろうとも、確かなことは一つ。ブラックジャケット総司令官・フォーカスライトという男は、その程度の理由で手を引くような男ではないということだ。 ブラックジャケット捜査官たちは調査を続ける。葬送法師は何者で、一体どうして死んだのかを。
---------------■【チャレンジ判定】※このチャレンジ判定は、『判定1』をクリアした後に『判定2』が、『判定2』をクリアした後に『判定3』が出てくるものとなる。1度判定を行ったPCが、その後の判定に参加することはできない。
【失敗時】リトライを1点失う。すべての情報を得るまで次のシーンに進めない。リトライが0未満になった時、PCたちはこれ以上捜査を続ける権利を失い、調査は打ち切られる。任意のバッドエンドを向かえ、第二話へ進む。---------------【判定1】 葬送法師の身元を調べよう。…〈白兵〉or〈隠密〉or〈追憶〉『情報』 葬送法師と呼ばれた人物の身元が判明する。 その正体は、超人種自治区在住のミスティック男性だ。---------------【判定2】 ミスティック男性が何者かについて調べよう。…〈交渉〉or〈追憶〉or〈運動〉-20%『情報』 ミスティック男性には裏の顔があった。 彼はG6に所属せずに、正体を隠して活動を行なっていた、フリーランスのヒーローだ。---------------【判定3】 そのヒーローとネバーモアの関連を調べよう…〈隠密〉or〈経済〉or〈霊能〉『情報』 超人自治区在住であったことを除けば、男性の生活周りにネバーモアとの関連は見られない。 つまり……間を介した第三者がいるということだ。 彼はどうして葬送法師となったのだろうか?

【エンドチェック】

□チャレンジを終えた

【解説】

 PCたちが葬送法師の身柄を調べ、新たな疑問へと対峙していく、情報収集チャレンジ。 G6が圧倒的な権力を有している世の中に於いて、ヒーロー事務所に所属するでもなく、正体を隠したフリーランスのヒーローとして活動するその人物は、バスターバースに於いては「気の狂った馬鹿」か「頭のおかしい英雄気取り様」だ。 名前や人物設定に関して大きな設定があるわけではないので、GMはDLHなどの自分のPCを適応してもよいし、ネームチャート表を振って名前をランダムに決定してもよい。

【クエリー2:盤の上】

登場:PC全員(メイン:PC2)舞台:火霞の家 or 取調室

【状況1】

 スニークからついに情報が入り、鍾馗なる人物の情報を掴んだと一報が入る。 しかし会いに行ったスニークはひどく不機嫌だった。彼はふてくされながら、PCたちへ一枚の写真を見せる。「僕がどれだけ散々調べ回ったと思う!? 本当に本当にほんとーーーーに情報はなかったんだ! それなのに! 軍曹が突然やってきて、『じゃあこれを調べろあとはよろしく』だよ!? どこから来たんだよこの写真! もー!!」 どうやらハッカーとしてのプライドが刺激された結果だったらしい。 君たちに提示された写真は、古い古い写真だ。和室の中で、何らかの儀式が行われている部屋の一角に、鬼の面を被った男の姿がぼんやりと写り込んでいる。「どうも、明治期の陰陽寮? の写真みたいだよ。その、鬼の面の男が、当時鍾馗って呼ばれてたらしい」「その横にいるのは、当時の火霞一族の当主だ。まあ、これだけじゃ証拠にはならないんだけど……逆に言えば、『何の関係もない』ってのは嘘にはなったよね」「だから、ここからは僕たちのやり方でやろう」 スニークはニヤリと怪しい笑みを浮かべ、パソコンを捜査する。そこにはどうやって作り出したのか、火霞邸の3D見取り図が作り出されていた。「ちょっと探してきてよ、ブラックジャケットのやり方で、さ」 潜入しろということだ。
■陰陽寮とは 陰陽寮(おんようりょう、おんようのつかさ)は、日本の律令制において中務省に属する機関のひとつ。占い・天文・時・暦の編纂を担当する部署。「うらのつかさ」とも呼ばれた。 中務省とは天皇の補佐や、詔勅の宣下や叙位など、朝廷に関する職務の全般を担っていた省庁。 明治期に解体され、その役割は現在の宮内庁へと引き継がれていった。

【状況2】

 君たちは火霞邸へと潜入する。本当に繋がりがなかった場合、強制捜査はブラックジャケットの立場を悪くすることに繋がる。あくまでこっそりと、潜入という形でその調査は行われた。 奇妙に老いた男のいない火霞一族の広大な屋敷の中を捜索すれば、君たちはやがて鍾馗と羅州の繋がりを示すいくらかの証拠を掴むことができるだろう(それは羅州が何かの教えを受けたらしい巻物であるとか、何らの金銭取引が為された痕跡であるとかだ)。 しかし、調査を行う君たちの側で、誰かの気配がした。「誰かいるのか?」(口調は設定に応じて変更しよう) それは『第二話のPCの中から1d3で決定した人物の特徴』を持つ人物だった。 向こうはまだ君たちに気付いていないらしい。さて、どうしよう?

【状況3】

 かくして、君たちは羅州と鍾馗の繋がりを示す証拠を手に入れた。 火霞羅州をエントリーで捕らえていないのであればその足で、捕らえているのであれば取調室に向かう形で、君たちは羅州と再度接触する。 羅州は先日同様、頑なな態度だった。しかし君たちが鍾馗と火霞の繋がりを辿ったことや、公安絡みの件と突き止めていることを知れば、一つの問いを君へと向ける。「そこまで分かっているのなら、何故手を引かん。 公安に宮内庁、明らかに貴様らのような逸れ者には不釣り合いの事件だろうに。 それともお前達の長は、その程度のことも判別できないような大うつけか?」「そんな大うつけに使い潰されることがお前達の本懐か?」

【状況4】

 君たちの答えを聞き、羅州は皮肉げに笑う。「吠えるじゃないか、首輪付き。だがそうまで吠えるなら、この面の下を見透かせるか否か、お前達をひとつ試してやろう」「この面の下、俺がどんな表情を浮かべているのか。サテお前達に分かるかね」 そう言う火霞羅州は、面など掛けていないように見えるのだが…?
■判定:霊能(チャレンジイベントではない為、失敗してもデメリットはない)
【成功した】 君は羅州の姿が心綺楼のように歪み、その下に全く別人の姿が現れた様を見る。 それは火霞羅州本人ではなく、術を用いて彼の影武者として動いていた、火霞の家の別の者だった。「お見事でございます」「皆様がここまで見抜かれたのであれば、火霞もまた皆様を認めましょう。口を開くもやぶさかではございませぬが、それはあくまで『警察』ではなく、『皆様』だからこそ。どうか、御内密に願います」「……当主様は本件に際し、首座様と共に既に動き始めていらっしゃいます。 皆様とは異なる盤外の領域にて…。 ここまで来ればお分かりでしょう。今起きているのは、そうした事象」「どうか、目に映るものに騙されませぬよう。盤上の領域はお任せ致します」 火霞の影武者は、それを告げると静かに頭を垂れた。
【失敗した】 君が見透かせぬことを見て取り、羅州は肩を竦めた。「やれやれ、目に映るものが全てだと思っている輩はこれだから。……分からんなら、話せることはない。せいぜい後は自力でやりな」 釈然としない思いを抱えながらも、君は羅州のもとを去ることになる。

【エンドチェック】

□羅州の問いに答えた□成長点ボーナスを1点獲得した

【解説】

 第二話のPCと第一話のPCがニアミスをするシーンだ。盤外視座や陰陽師たちのことを、PCたちが薄々と知るシーンでもある。ニアミスシーンはPLたちへ「どうしたいか?」を聴きながら、PL同士に演出を委ねてしまえば楽で良い。 後半の羅州(偽)との問答は、第一話の葬送法師の真相および、キャンペーン全体の伏線にもなっている。

【クエリー3:余所者】

登場:PC全員(メイン:PC1)舞台:神田川

【状況1】

 羅州との問答を終え、調査を進める中、時刻はすっかりと夜を迎えていた。 まもなく、日付が変わる。 そうした夜道の中、君たちは、死体の発見現場へと足を向けることにした。 状況は遅々として進展してはいない。ミスティック男性は何故、葬送法師を名乗っていたのか? 鍾馗という人物は何故公安によって指名手配されたのか? 葬送法師は何故死んだのか? 死体発見現場周辺は、警察の手によって隔離されており、人の気配はなかった。時刻も時刻だ。 キープ・アウトのテープを抜け、中へと足を踏み入れた君たち。 ……その頭上から声がかけられた。「見つけたぞ」 次の瞬間、空からPC(1d3で目標のPCを決定)を地面へと叩きつける影があった! それはG6ハービンジャー代表、グレート・ワンだ!

【状況2】

「警察からG6に依頼があってな。BJ捜査官に扮したヴィランが悪事を働いている、と。今頃フォーカスライトにも連絡が行っているだろう」「PC1、貴様は今から十二時間前に、浅草を来訪した某国重役の誘拐首謀者。 PC2、貴様は今から五時間前に、新宿で発生した無差別毒ガス散布事件の首謀者。 PC3、貴様は今から四時間前に発生した、ロックウェイブ超人種監獄の脱獄首謀者だ。 身に覚えがない? だろうな。だが諦めろ、『そういうことになった』んだ」「お前たちには黙秘権があり、弁護士の立会いを求める権利があり、必要であれば公選弁護人を付ける権利もある。 なお、ここでの供述は法定でお前にとって不利な証拠として用いられることもある。 もっともここで私に逆らえば、その罪はさらに重いものとなるだろう」 グレート・ワンは冷たい声でそう告げる。従うか、逆らうか……君たちの中で天秤が揺れた時、しかし、グレート・ワンは肩を竦め、緊張感を緩め、悪辣な笑みを浮かべて言った。「もっとも──私の対応は、お前たちの出方次第だがな?」

【状況3】

「つくづく、この星の住民は都合が良いやつらばかりだ。今に始まった話ではないが」「差別意識から我々の献身を正しく評価しなかったかと思えば、掌を返したようにご指名ときた。厄介事を丸投げされている事ぐらい、馬鹿でも分かる」「私はこの国に尽くしてやる理由はない。だが、手を貸してやらない理由もない。だからお前たちの出方次第なのさ、ブラックジャケット」「お前たちが私に利益を齎せるならば、この場を見逃して……いいや、手を貸してやったってもいい」「おっと、勘違いするなよ。私はこの件には本当に興味がないんだ、当然だろう? これはお前たちという『個人』への問いかけだよ」「お前たちは私のために何ができる? せいぜい良いセールストークを向けて、私の機嫌を取ってみせろ」 グレート・ワンは打算的にそう口にする。その反面、彼女は君たちに、具体的に何をしろとは一言も言わない。……試しているのだろう。自分にとって、君たちがどのような利益をもたらせるのかを。 君たちはここで、グレート・ワンの取引に応じてもいい。あるいは応じずに、彼女と一戦を交えてもいい。さて、どうしよう?

【状況4】

 取引に応じたのであれば、邪悪で円満なやりとりの末に。一戦を交えたのであれば、戦い中で。 グレート・ワンは君たちの頭の中へと直接語りかけてくる。彼女の共感者としてのテレパシーだ。『聞け、ブラックジャケット。声と表情には出すな、誰が見ているかも分からん』『件のフリーランスのヒーローがいただろう。G6のチェインから、そのヒーローに対し、依頼が出されていた。公的な記録には残されていない依頼だ。依頼人については、私の口から告げる気はない。だが、調べるなら勝手にしろ』 グレート・ワンは君たちへ一つのデータデバイスらしきものを忍び渡す。 地球の規格外の、ハービンジャーの技術によって作られたものだった。『……死んだヒーローは、個人的な知り合いでね。G6非所属(部外者)らしい、まっとうなヒーローだったよ。地球に来たばかりの私に、ヒーローになれなどと宣った大馬鹿だ。だから死んだんだろうがな』 皮肉るようなグレート・ワンの言葉。だがその口ぶりには、どこか寂しさが滲んでいた。 しかしその寂しげな雰囲気も、瞬きを一つする頃には溶けて消える。それは現実の時間にして、コンマ数秒のやりとりだったのだ。 深夜の0時を告げる時報が遠くで響く。頭の中のグレート・ワンが静かに言い放った。『リミットは今日の21時。私が時間を稼いでやろう。それ以降は無理だ、せいぜい身の振り方を考えておくんだな』

【エンドチェック】

□グレート・ワンと会話をした□成長点ボーナス1点を得た

【解説】

 グレート・ワンがPCに手を貸したのは、描写の中でも言っているように、個人的な感情と気まぐれからだ。彼女は本当にこの件に関して関与する気はない(国際組織G6の第一派閥の長である彼女にとって、地球という惑星の一つの国で起きている案件など、些事に等しい)。 PCが取引に応じる場合は「都合の良い手駒になる」と判断して、取引に応じないのであれば「権力と脅迫に屈しない人物」として、PCを見込んだグレート・ワンは秘密裏に情報を渡し、21時間の猶予を言い渡す。正面から情報を渡そうとはしないのは、彼女自身のプライドと、派閥争い激しいG6内で弱みとならないようにする為だ。 『見た目に騙されるな』というテーマの一側面でもある。

【リーサル:ブラックジャック・リミット】

登場:PC全員舞台:BJ本部など

【状況1】

 グレート・ワンの言葉通り、ブラックジャケット本部にも、国の圧力はかかっているらしかった。 本部内は慌ただしく、電話口に向かって何かを弁明しているレディ・レンズたちの姿や、スニーク他BJオペレーターたちが悲鳴を上げながら何某かの情報操作に勤しむ姿がある。 フォーカスライトもまた、険しい顔でどこかへと出ようとする所だった。彼は君たちが戻ったことに少し驚きの表情を浮かべ(珍しいことだ)、問う。「……何を知った?」

【状況2】

「よくやった!」 君たちからの報告を受け、本当に珍しく、フォーカスライトはそうした褒め言葉を向けた。「スニーク他情報解析部門はこのデータ・デバイスの解析に全力をあげろ。 その間に他の捜査官たちは警察及びG6への対応を、外部で動いているハートレスと連携を取りながら何をしてでも時間を稼げ。 私はお偉方との交渉の席へ向かう。口先に自信のある者は同行しても構わん。 21時間以内に決着をつけるぞ!」 君たちは法に、権力に、正義に縛られぬ無頼漢の寄せ集め。 ──だからこそ、君たちは、『何でも』できる。 いざ、ブラックジャケットの出動だ!
---------------■【リーサル判定】※この判定は同一人物が複数の判定を行うことはできない。【判定1】ハービンジャーのデータデバイスを解析する:科学 or 霊能【判定2】警察やG6に応対する:隠密 or 心理 or 白兵-20% or 射撃-20%【判定3】権力者と交渉する:交渉 or 経済
【失敗時】決戦フェイズでエリア1と2に「ダメージゾーン4」を追加する。---------------

【状況3】

 多くの時間稼ぎと、解析の末、君たちはついに核心的な情報を得る。 被害者であるフリーランスのヒーローは、チェインを介して、ヘルムズマンから依頼を受けていた。それは「葬送法師の影武者を担う」というものだった。影武者として葬送法師に扮したヒーローは、葬送法師として死んだ。つまり、本物の葬送法師は生きているのだ。 しかし、PC1だけはその情報に違和感を覚えるだろう。君は事件が起きる一週間前に、葬送法師と話をしている。その葬送法師もまた影武者であったとして……何故彼は自身の死を予言するようなことを言い、そしてその通りに死んだのだろうか?

【状況4】

 全ての情報を知るヘルムズマンの身柄を捕らえ、情報を引き出さなければならない。それが明らかとなった時、ハートレス軍曹から通信が入る。『こちらザ・ハートレス! 獄門街・荒夜髭神社にてヘルムズマンと交戦中、至急救援を求……ぐわァッ!』 斬撃音を最後に、ノイズと共に通信は途絶する。君たちは荒夜髭神社へと向かった。 ──その地が指名手配中の男と、それに連なる者たちに、どのような意味を持つ場所かを知らぬまま。

【エンドチェック】

□情報を得た□ハートレスの通信受けた

【解説】

 ブラックジャケット全体に冤罪がかけられ、組織をあげての対応に追われるシーン。言及はされていないが、このシーンの裏で、G6や日本警察の手により多くのBJ捜査官たちが逮捕・拘束されている。人手はとにかく足りていない。 スニークは判定1のPCのサポートをするだろうし、レディ・レンズは判定2で外部の人間を説得しているだろうし、デッド・エンドは判定2で遅いくるG6のヒーローたちを催眠音波で撃退しているし、フォーカスライトは判定3でお偉いさんたちの対応をしている。無頼漢まみれのBJが、めずらしく組織単位で動いているシーンとすると盛り上がるだろう。 ハートレス軍曹は、独自に捜査官を率いて、G6の調査に当たっていた。その結果、ヘルムズマンの急襲を受けることになる。

4.決戦フェイズ

【決戦:荒夜髭神社炎上】

登場:PC全員舞台:荒夜髭神社

【状況1】

 君たちが荒夜髭神社に到着した時、歴史ある荘厳な神社は火の手に包まれていた。 崩れ落ちていく能舞台の前で、傷ついたハートレスが倒れている。倒れ伏したその身に、ヘルムズマンが無情に刃を振り下ろし、その首を撥ねんとする──!

【状況2】

「──……」 現れた君たちに、ヘルムズマンは何も言わず、静かに大剣を構え戦いの構えに入る。 それに応じるように、ヘルムズマン派閥のヒーローである、機械化されたエンハンスドたちの姿が現れた。 その中に、君たちは一際異様な存在を見る。首のない和装の男の姿があった。見たことのない姿だった。 彼らは炎上する神社の中、静かに君たちへ武器を向け、殺意を向ける。 戦って無力化するより他、なさそうだ。

【戦闘情報】

【エネミー】

・ボス:ヘルムズマン×1・幹部:首のない人形(黒不浄のデータを使用する)×1・ヘンチマン:B級ヒーロー×3

【エリア配置】

■PC初期配置 エリア1・エリア2■エネミー初期配置 エリア4:ヘルムズマン エリア3:B級ヒーロー、首のない人形

【勝敗条件】

勝利条件:エネミーの全滅敗北条件:PCの全滅

【備考】

『猛火』 エリア1・2・3を「エリアタイプ:ダメージゾーン2」として決戦フェイズを開始する。(リーサルに失敗している場合、エリア1・2のダメージゾーンは4となる)

※※※重要※※※

 GMは戦闘終了後、この時点での第一話のPCたちのキャラクターシートを回収しておくこと。オンラインセッションの場合は、経験点付与によるリビルドをしないでもらうようお願いしたり、スクリーンショットを撮ったりしておくと良いだろう。この時点でのPCのデータは、第三話でエネミーデータとして使用する。※※※※※※※※

【解説】

 ヘルムズマンやB級ヒーロー、首のない人形(黒不浄)は不気味な沈黙を保ったまま、戦闘を続ける。ヘルムズマンやB級ヒーローたちは既に死亡した存在だが、戦闘が終わるまではそれが明らかとなることはない。 状況1の描写ではPCの介入を促すような描写になっているが、GMやPLがよりハードな世界観でこのキャンペーンを楽しみたいと思うのであれば、PC達の目の前でハートレスの首を撥ね飛ばして死亡させてみても良いだろう。 決戦に於いては特筆した注意事項はない。ヘルムズマンは無理に前へ出るのではなく、PCがエリア3まで来るまでは、自分に装甲をつけたり、隠密判定を試みたりしてみても良いかもしれない。 黒不浄の体は戦闘後にBJ捜査官が回収したことにしても良いし、荒夜髭神社の炎に飲まれてしまったことにしても良い。

5.余韻フェイズ

【余韻】

【状況1】

 戦いが終わり、君たちはヘルムズマンを捕らえる。「────」 しかし、捕らえられたヘルムズマンは、突如として不自然に崩れ落ちた。それと同時、君たちは彼らの肉体から異臭を嗅ぎ取る──死臭だ。さきほどまで存在しなかったはずのそれが、当たり前のように彼の身に満ちていた。 ヘルムズマンの体を調べれば、エンハンスドとして機械化された彼の体の中、残されていたはずの本来の生物としての部位が死亡していることが分かる。それも、彼が死んだのは、おそらくは一週間は前のことになるだろう、とも。 かくして、葬送法師暗殺事件は謎を深めながら進展を迎える。現場担当であったヒーローの奇妙な死という事態に、ブラックジャケットも未だ捜査権を所持したまま、この事件の調査を進められることとなった。 ヘルムズマンは何故死んだのか? 回収された首のない人形の正体は? 葬送法師は生きているのか、それとも…? 多くの謎を残しながら、遠く、21時を告げる鐘が鳴った。 獄門街の夜は更けていく。

【状況2】

 PCたちもまた、ブラックジャケット捜査官として引き続き捜査に追われることになる。複雑な事件だ、報告書の作成ですら夜更けまでかかる。「何か飲み物でも持ってきますね」 君たちのサポートをしていたレディ・レンズがそう言って席を外す。 しばらくの時が経った。レディ・レンズが戻らない。 皆が奇妙に思いながらも、無関心に仕事を続けていたその時──PC1は、一発の銃声の音を聞く。

【状況3】

 レディ・レンズが地面に倒れていた。 胸から吹き出した赤い血が、地面をしとどに濡らす。 先ほどまで陽気に振る舞っていた少女の顔は、今は見る影もなく青白い。 ブラックジャケット本部がざわめく。警戒と混乱が渦巻く本部の中、PC1は走り去っていく人影を目にする。 (第三話のPCのうち、誰か一人の特徴を描写しよう)。 夜闇の中、月明かりに一瞬だけ垣間見えた腕章。炎を纏う狼のエンブレム。 ──グラッジドッグス。 PC1は、それを見る。

【第二話『ボーダー・ポーカー』へ続く】

【解説】 状況2・状況3で銃声やグラッジドッグスのPCの姿を見るのは、このシナリオのPC1固定となる。エントリー時に葬送法師の接触を受けたことにより、都合よく認識を操作されてしまっているのだ。その為、PC2やPC3は、銃声や襲撃者の姿は見えない。 PC1が決戦で死亡している場合は仕方ない、描写されていないどこかで接触を受けたとして、PC2やPC3が目撃したことにしても良い。どのみち、この時点でのPL視点では、こうした背景は分からないはずだ。 レディ・レンズの生死に関しては曖昧な描写にとどめた。GMやPLがよりハードな世界観でこのキャンペーンを楽しみたいと思うのであれば、この時点でレディ・レンズが死亡していることにしても良い。

【シナリオ成長点】

シナリオ基本成長点:5点成長点ボーナス(クエリー):3点------------------------------------------------=合計:8点