北飯豊 えぶり差岳

 

・朳差岳(1,636.4m)日本二百名山、新潟県、農作業具を担いだ人の雪形が由来

 

・実施日 8月30日(土)〜31(日)

・参加 5名

 

・行動記録

8月29日 武蔵浦和22:10一東北自動車道一福島JCT一南陽高畠IC

→飯豊山荘駐車場3:45

8月30日 5:50出発 丸森尾根経由→地神山北峰→頼母木小屋12:30着(泊)

8月31日 頼母木小屋4:00→えぶり差岳6:10→頼母木小屋8:30→飯豊山荘13:35→温泉梅花皮荘南陽高畠インター経由一浦和インター経由→武蔵浦和21:07着

 

•山行記録

29日 22時過ぎに武蔵浦和を出発。飯豊山荘駐車場に到着、バス停横に駐車し仮眠する。

 

起床して寝ぼけまなこで準備をする。「あれ?シュラフがない…」。ザックの中を全て出すが無い。車内を見る。シートの下に転がってないか。車のまわりを3周して確認するがない。メンバーも探してくれた。

青空にうっすらオレンジ色が差している。

スタートから迷惑をかけた自分の気持ちを振り払う。

 

飯豊山荘は営業を休止しているようだったが、外のトイレや水は使えた。

 

5時50分出発。登山者カードのポストに計画書を入れ、登山口から丸森尾根に向かう。

いきなりの急登、しかも長い。「あそこまで登ればなだらかになる」と励ますも、甘くはなかった。しつこい程続く岩稜の急登に汗が吹き出る。

 

時折り顔を出すきのこ達。白いもの、大きなもの、パンケーキにそっくりなもの。きのこを見つけのが楽しく、登る力を貸してくれた。

 

最後尾を歩く代表から「ツェルトを使うと良いよ」と声がかかる。登りながらシュラフがない私のことを心配し対応法を考えてくれていたのだと感謝しながら聞いた。

 

『ノゾキ』に着き、深呼吸。何が見えたかと言うと…山々と滝。

 

8時、夫婦清水着。

少し降りたところの川の湧水で手のひらを冷やし、喉を潤す。

 

空は晴れ、足元にはピンク色の可憐な花。

暑さに堪えて歩く。

少し風を感じると、両手を広げて風を受け、「もっと吹け!」と念じた。

思いが通じたのか、風が吹き心地よい。次第にガスが広がり雨まで降った。

カッパの上着を着ると雨はやみ、しっとりと濡れた花々を見ながら歩く。

 

9時50分丸森峠着。藪のような草の中を歩く。アザミの葉が痛かった。

ガスで景色は見えないが、ハクサンイチゲ、ヤマハハコ、トリカブト、ニッコウキスゲ、アキノキリンソウ、マツムシソウ、名を知らぬ可憐な花々。

お花畑に心踊った。

 

岩あり、さらさらの砂の道あり、ザレた道あり、ふわふわのクッションのような道もある。

そんな山道の変化を楽しんだ。

ごろごろした石の中に真っ白な石があり、磨けば大理石になりそうだと想像した。

 

地神北方を越えると雨が本格的に降って来る。カッパの上着を着てザレ場を歩く。

頼母木山からの下山を始めたところで、急に風雨が強くなる。岩色をしたカエルが横切る。次第に暴風雨となり、今までに経験した台風よりも強い風に体を倒される。

足を一歩前に出すとバランスが崩れ、体を小さくかがめ注意しながら前に進んだ。

草の多いところでは草色のカエルが。その後も雨を喜ぶカエル達に出会う。

 

ズボンも靴の中もグッショリ濡れ、身体の冷えと明日の山登りへの影響を考え、頭の中を不安が占めた。

 

11時35分、頼母木小屋に到着!

ガスに包まれ景色は見えないながらも、流しっぱなしの四つの蛇口を見て自然の恵みを感じた。

ここの豊かな水は飯豊で二番目に美味しい水らしい。

 

避難小屋の中はきれいで梯子を上った2階には、シートで仕切った着替えコーナーもある。

ただ、この梯子は垂直よりもやや手前に斜めに立っていて、荷物を上げる時は用心しないと落ちそうだった。

 

濡れた服を脱ぎ、たくさんあるハンガーにかけた。替えを持って来ていないので、ズボンはカッパのズボンに替えた。意外に暖かく、濡れたインナーのままでも寒くはなかった。

 

トイレはバイオトイレ。

きれいな個室に自転車が置かれている。

使用後は前に20回、後ろに10回以上ペダルを漕ぐ。そうすることで尿等がおが屑で撹拌される。

トイレへの道、足元には鈴の音を鳴らしそうなハクサンシャジンがひっそりと咲いている。

 

小屋で冷えた缶ビールを購入(お札もびしょ濡れで干したくなった)。

13時、お楽しみの乾杯をして食事を取る。

夕食は17時で、それまでは食べる飲む喋る寝るという過ごし方だそうだが、前日早番で寝不足だった私は2階で眠りについた。

 

目覚めた時「ここはどこ?4時半!皆さんは何してるの?」と慌てて階下を覗く。急いで食べ物を準備をして下りた。

小屋内は登山者が増えている。

小屋のストーブを背中に、温かい食べ物を味わう。代表より「ツェルトは被るのではなく中に入ると良い」と教えて頂く。

 

18時半に床に着く。周りの方々は既に眠っている。なかなか眠れない。腹がキュルキュルと鳴り、小屋内に響く。ツェルトの中は全く寒くなかった。

 

2時半起床。

残念ながら、ズボン、靴下、手袋、ハンカチ、帽子、全て濡れたままだった。

濡れた靴にしぶしぶ足を入れようとすると、メンバーから靴下を履くことを勧められた。濡れていても履く。仕方がない。

 

4時出発。

意外にも、濡れた靴内だと感じることなく快適に歩けた。

ヘッドライトを付けて暗闇を歩く。

どんな景色の中を歩いているのか想像も出来ないが、少しずつ明るくなり太陽の方向が分かる。

雲の中から太陽が見えると歓声。足を止めてカメラにおさめる。

5時半鉾立峰では日差しを浴びて写真撮影。

 

木が山道にはみ出た『ハードル』が5本続いたりと、飽きさせない。

可愛らしい形の朳差小屋が見えた。

オランダの景色のようだ。

 

そこから45分。朳差岳に登頂し、握手を交わす。よく見ると鋼?の鳥居がとても小さい。人形のリカちゃんなら通れる。撮った写真でその大きさが伝わるだろうか。

 

朳差小屋から10分のところに水場があると聞き、行ってみたいと思った。しかし往復20分、そんなに待たせる訳にはいかない。

 

帰路は花々を散りばめた草原を軽快に歩いた。

下りが苦手な私は火山らしい砂の道に腰が引けた。

途中とんぼとツバメの競演に見とれる。

眼下に折り紙のように真四角の雪渓?が見えた。

藤野の『緑のラブレター』のよう。気になりながら歩いた。

 

避難小屋で会話したご婦人達とすれ違い、代表が話を聞いている。ひとりの方は81歳。年齢を感じさせない歩きに驚く。

他の若い女性からは、熊の新しい糞があったと聞き、ぞっとした。

 

大石山より先、流れるガスに合わせて笹がキラキラと揺れる姿が美しい。

低木と笹の葉の映し出す緑の濃淡は、周りの山々も立体的な美で覆っていた。

 

デポをしていた避難小屋に戻る。

荷物を積み、冷たい水を汲んだ。

避難小屋の一年を写した写真集を手早くめくる。

美しかった。

 

避難小屋の主人と話をする。

「時々は下山しているのですか。食べ物を運んだりして大変ですね。」との声かけに「それよりも早く風呂に入りたい」との返事。

そこで私は失礼にも「臭いませんよ」と返した。

それにしても親近感がわくのは何故だろうと考え、答えが出た。

あさイチの司会者に似ていた。

 

頼母木小屋を後にし、歩き出す。

振り返ると緑の中にぽつんと赤い屋根。

『メルヘンの世界だね』との代表の言葉に大きく頷いた。

 

昨日の暴風雨で撮るのを諦めた可憐な花々達、何故か咲いていなかった。

頼母木山から先は草もみじに彩られ、秋の始まりを感じることが出来た。

 

10時半丸森峰。

きれいなトリカブトに誘われながら歩く。

きのこ達も顔を見せ出す。

やっと夫婦清水に着き、喉を潤した。

 

よくこんな岩場を登ってきたなと驚くような難しい道を下山。

高度を下げると暑さが身に堪える。

 

鼻の頭から汗がポタポタ垂れる。手の先が痺れてきた。生あくびも出る。

熱中症なのかも知れない。

なんとか下山しないとという焦りもあり、苦しいラストになった。

 

膝が痛み、ドタバタと足を運ぶ私。

先頭を歩くKさんは、涼しい顔をしてきつかったと話している。

 

車に乗ると「冷たい飲み物を飲みたい、そしてベタベタの汗を流したい」

それ以外は何も考えられなかった。

 

近くの低温の温泉「梅花皮荘(かいらぎそう)」に到着。

今日のお湯の温度が低いので、料金500円のところ300円で良いとのこと。

殆ど貸し切り、ちょうど良い湯加減。300円がありがたくてアイスクリームを購入する。

広い浴槽の上はガラスの窓。青空と流れる白い雲がよく見えた。

 

9キロ近い長さの栗子トンネルを抜け、渋滞がないという高速道路をすいすいと走って21時過ぎに武蔵浦和駅に着く。

解散し、膝と靴擦れの痛みに耐えながら帰った。

 

膝が痛いのに月に8回の山登りを実行してくださるF代表の我慢強さ、責任感、会の仲間への思いを痛感した。

体を労わりながら長く会を引っ張って頂きたいと願う。

 

今回も感謝しています。

楽しい二日間をありがとうございました。

 

ご一緒した皆さまにもたくさんお気遣いして頂き、ありがとうございました。 

 

記: 濱田