南岳~大キレット~北穂高岳
2024年8月19日(月) ~ 21日(水)
参加者8名
◆行動記録
8/19 22:00新宿西口集合 - (中央道~松本IC経由)→ 1:35沢渡駐車場
8/20 4:30起床5:00 → 6:00 上高地出発 6:00 → 9:12 横尾 → 12:23槍沢大曲 →
14:21 天狗池 → 17:37南岳 → 17:42 南岳小屋
8/21 4:00 起床 5:00 →6:26長谷川ピーク →7:52飛騨泣き →8:45北穂高小屋→ 9:20 北穂高岳 →11:42涸沢ヒュッテ → 14:14 横尾→ 17:30 上高地→ 18:00 沢渡→ 18:30梓湖畔の湯 19:00 → (松本 IC経由~中央道)→ 22:30 新宿西口、解散
◆ 山行記録
今回は、穂高連峰の核心部分の一つであり、三大キレットの中でも最難関と言われる大キレットをハイライトに、上高地~大曲~南岳3033M~大キレット~北穂高岳3106M~涸沢~上高地という約42kmのロングルートを一泊二日で踏破する計画です。結果は、二日間で計24時間20分(休憩時間を除いても20時間超)に及ぶ激闘の末に予定のルートを無事制覇しました。
月曜日夜、夕刻からの大雨が寸前に止んで、予定通り22:00新宿西口を出発。目指す穂高方面は今週天候不安定の模様で車中では不安を口にしながら、01:35 に沢渡駐車場に到着。断続的に雨が降るも、幸いテント設営時、撤収時ともにギリギリ雨は止んでいた。翌朝、タクシーで上高地バスターミナルに移動し、予定通り06:00に登山スタート。天候は曇天に僅かに青空が覗いている状態で、やはり降雨が心配。スタートしてすぐ、小梨平から明神まで災害で梓川左岸歩道が通行止めとの標識あり、やむなく右岸歩道を通って明神に到着。若干遠回りとなりやや出鼻をくじかれた感あり。
その後は、順調に徳澤園、横尾、槍沢ロッジを経て、登山道に入っていく。スタートから5時間半近くで大曲の分岐に到着。ここから一気に斜度が上がって行くが、大曲を少し過ぎたところで遂にパラパラと雨が振り出し、レインウエアを着こむ。天狗原の長い岩稜の大斜面を経て、天狗池に到着。晴れていれば槍ヶ岳が映るという水面も曇天では何も映らず。雨は降ったり止んだりの繰り返し。レインウエアは着ると雨が止み暑くて脱ぐを繰り返したが、天狗池を越え3度目には本降りとなり、そのまま南岳の山頂を目指し、岩稜地帯の激登りが始まる。本降りもそれほど長く続かなかったが、既にスタートから10時間近く歩いており、疲労が蓄積している状態で最後の激登りは大いに堪えた。しかし途中、流れる雲、ガスが切れて、雄大な北アルプスの山岳風景が眼前に現れると、自分がその真っ只中にいることに感動を覚えた。南岳小屋には予定より40分程遅れて5時半過ぎに到着。小屋の夕食時間を過ぎていたので、レインウエアを脱いで、ザックは整理もせず玄関にそのまま置いた状態で食堂で即、夕食開始。小屋の人からは無事到着を労ってもらった。ここは日が落ちると岩場の事故が多いとのこと。20:00消灯、就寝。
二日目朝04:00起床。小屋の外に出てみると、満月に星空も見える、今日は天気が良さそうだ。風はやや強い。前夜準備してもらったお弁当を食べ、寒さ対策にレインウエアを着て、ハーネスを装着して、5:00南岳小屋をいざ出発! 美しい朝焼け、壮大な雲海の向こうに南アルプスや富士山の山頂が頭を出す絶景に囲まれて、今回のハイライト、大キレットに向かう。先ず、殆ど垂直に近い急斜面の激下りからスタート。早速出てくるクサリにビナ通しで安全を確保しつつ慎重に下っていく。1時間余りで最低鞍部に到着、しばし休憩。ここから激登りの核心部分に入る。ここのクサリは太いため、ビナ通しには大きめの安全環付きカラビナが必要。しかし、クサリは途中からもう一段太いクサリが出てきて、クサリ全体にカラビナを通すことは出来ず、クサリの輪っかの一つにカラビナを掛けて、ハーネスに付けたローブスリングの長さで動ける分だけ移動して、次のクサリの輪っかにカラビナを掛け替えるという動作を繰り返して安全を確保する。自分はこのようなビナ通しは初めて。F代表の的確な事前指導無しでは、危険度極めて高く、恐怖感も倍増していたに違いない。長谷川ピーク、飛騨泣きという有名な難所も順調にクリア。足元、手元にひたすら集中して進むも、少し足場のよい場所に出て顔を上げて振り返ると、通過してきた迫力ある稜線の全貌が見える。その向こうに僅かに見えていた槍ヶ岳の山頂も高度を上げるに連れどんどん大きくなる。
スタートしてから4時間弱で大キレットを完走して、08:45遂に北穂高小屋に到達。F代表との握手にも力が入る。小屋のテラスからは歩いてきた稜線が北に見え、南東にはこれから向かう涸沢が遥か眼下にクッキリと見えた。ハーネスも外し栄養補給の後、小屋からすぐの北穂高岳山頂に登り、その後、長い下山に向かう。下山も決して油断の出来ない岩場がこれでもかと続く。おまけに天気が良過ぎて暑い。それでも、涸沢ヒュッテに到着した時点で、計画より早く行動が進んでいるため、当日中に新宿に戻るべく予定変更を決定。17:30上高地バスターミナル帰還。タクシーで沢渡向かい、短時間ながらも温泉でしっかり汗を落として、終電に遅れることが無きよう急ぎ新宿に向かう。天気予報では東京は大雨だったが、渋滞なく、雨にも会わず、見込みより早く22:30 に西新宿に到着、解散。
大キレットは、山登りを始めた多くの人にとっていつかは行きたい目標であり、一つの憧れのような存在だと思いますが、絶好の天候に恵まれ、これ以上ない最高の山行となりました。大キレットに向かう途中、メンバーの1人から「私は今、感動の渦の中にいます」とのつぶやきがありましたが、皆な似たような心境であったと思います。大キレットの特徴を熟知されているF代表の緻密な計画と安全対策、状況に応じた計画の変更からタクシー手配の細かな対応に至るまで、感謝に堪えません。厚くお礼申し上げます。また、参加者の皆さんにもあれこれお世話になりました。特に、初日高山病の症状に悩まされながらも、二日目にはしっかり大キレットを通過し下山のハイペースもキープされたメンバーの1人には頭の下がる思いでした。自分も単なる疲労だけで弱音を吐けないという気分になりました。
記録TT