赤岳真教寺尾根
2024.3.9〜10
参加者4名
【行動記録】
3/9 新宿7:00発→(中央道渋滞)長坂IC→サンメドウズ12:00(駐車)→牛首山14:40(テント泊)
3/10 牛首山(テント)5:10→真教寺尾根分岐12:00→赤岳12:20→牛首山17:15→
サンメドウズ(駐車場)19:34
赤岳真教寺尾根ルート概要(無雪期)
赤岳の真教寺尾根は大門沢を挟んで赤岳山頂から県界尾根と平行に東に延びる長大な尾根です。
このコースには水場や山小屋が無い上、標高差が1,300mほどあり、しかも鎖場が連続します。
格段に困難とまでは言えませんが、登山初心者には不向きです。一方で、真教寺尾根ルート上部は赤岳頂上までの約1時間ほどの区間が森林限界を越えた岩登りとなり緊張感がある反面、展望は素晴らしく八ヶ岳屈指のお勧めコースと言えます。(引用:日本アルプス核心部登山ルートガイドH P)
約7時間行動の末,赤岳山頂に到着した時に,Hリーダーが「価値ある山行でしたね」とつぶやいた。まさに,今回の山行を表す言葉だったと思う。極寒の中でのテント泊,ワカンを使ったラッセル,トレースが無い中でのルートファインディング,雪壁の登降やトラバース,ロープを使った登降…雪山へ登るために必要な様々な要素が詰まった山行となった。
記録
朝出発の土日山行は,渋滞につかまることが多い。今回も,事故渋滞に巻き込まれ到着予定時刻を過ぎて現地へ到着した。メンバーは,遅れた時間を取り戻すため,サンメドウズスキー場のリフトを使って,ゲレンデの山頂へ向かった。そこから,ワカンを履き牛首山を目指す。トレースは全くないと予想していたが,うっすらと残っていた。先客がいたのだろう。ありがたい。そのトレースをたどり,14時40分にテント設営予定地である牛首山へ到着した。夏道であれば1:15のコースタイムであるが,今回は2:40かかっている。雪が少ないと言われている年だが,しっかりと雪は積もっていた。やはり,雪があると時間がかかる。
3/9の天候は,曇り。風が強いとの予報だった。テントを設営し始めると,強い風が吹きかかる。Hリーダーから「テント設営時は,すぐに防寒対策をとってください」と指示があったが,ダウンをすぐ取り出せる場所にしまっていなかったために,体が一気に冷えた。そして,テント設営や荷物整理の為に,インナーグローブで作業をしていると,雪で手袋が濡れ,一気に冷え,指先がジンジン痛んできた。(今でも指先が痺れている泣)あまりの寒さに,何も考えることができなくなってしまい,荷物の整理やテント設営で必要な準備を自分自身何もできなかった。非常に不甲斐ないことになってしまった。事前に十分な想定をして準備をしておく必要性を感じた。さて,その日の夜は,4人で鍋をつっついて楽しく食事をとった。夜になっても,風は依然として強く「20mはあるんじゃないのかな?」とOさんは言っていた。「いや,そんなに強く無いでしょう」とHリーダー。明日の天候は良いはず,そう願って一同は就寝した。
朝3時起床。昨夜の鍋の残りに,うどんと餅を入れて朝食をとる。昨日の風は嘘だったかのように,パタリと止んでいた。朝食後,アタックザックに荷物を詰め,テントをすぐに撤収できる準備をして,5時10分に出発した。朝日が昇り,目の前には赤岳が見えてきた。雪がしっかりとついた,その岩峰をこれから登るのかと,ワクワクと不安とが入り混じる。
まずは,ワカンで樹林帯を進む。ワカンを履くのは今回で2回目である。前回は,歩くたびにワカンが取れてしまって,ワカン恐怖症になっていた。そこで今回は,ワカンの紐を事前に調整してきた。そのおかげで,一度もワカンが取れることは無かった。「ワカンレベルが上がりましたね」とOさんからお褒めの言葉までいただいた。ワカンを使って,ラッセルも行った。登りでトレースが無いと,柔らかい雪で足がズルズルと下がってしまう。Hリーダーのラッセルを見てみると,膝で雪を固める→ワカンで蹴り込む→ワカンで押し固めるという手順でトレースを作っていた。また,Oさんもピッケルで雪をかき,ワカンで押し固めていた。とても,良い勉強になった。けれど,自分はうまく出来なかった。残念!
ふわふわで膝まで足が沈む雪質から,下に固い雪の層がある雪質に変わってきた。そこで,ワカンからアイゼンに履き替えた。さて,真教寺尾根の核心部がはじまった。先行していた登山者が「雪が少なくて,技術的に登るのが難しそうだ」との情報を得て,Hリーダーがロープを出してルート構築を始めた。雪山でのロープワークは寒さとの闘いでもある,モタモタしていないで手早く作業したい。もっと,自分のロープワーク技術を向上させなければいけないと感じた。真教寺尾根では,2回ロープを使った。2回ともロープが無いと難しそうだった。下山では懸垂下降を2回行った。その為,安心して登ったり降りたりすることができた。安心,安全な登山を楽しむ為にも,登山技術を向上させる必要がある。
下山は順調だった,しかし予定時刻よりもだいぶ遅れていた。スキー場のリフトも止まっていたので,登山道で下まで下山することにした。下山していると,Hリーダーが「あまり遅い時間になると,駐車場を閉められてしまって,車を出すことができないかもしれない!」と言った。それはマズイ!車を出せないと,今日中に帰れない。明日の仕事が!!Hリーダーが「Gさん,先に駐車場に行って車を出せるか確認してください」と言われ「わかりました!!」と急いで駐車場へ向かう。雪に足を取られながら,必死に駐車場へ到着。巡回の車がちょうどいたので「駐車場開いてますか?」と聞くと「まだ,大丈夫ですよ。あの車ですね。遅い時間まで,登山お疲れさまです」と言ってくれた。広い駐車場に,ポツンと1台。駐車場は閉鎖されていない。良かったとホッと胸をなでおろした。
真教寺尾根は,そこそこ厳しいルートである。雪山では,その難易度はグンと上がるだろう。赤岳山頂から,再び真教寺尾根を下る時に,文三郎尾根へ下る登山者を見て「文三郎尾根ならルンルンで下山できて,いいな!」と心の中でボヤいてしまった。しかし,待てよ。数年前は,冬の赤岳へ自分が行けるようになるとは,思ってもみなかった。F代表が「山は場数を踏め!」とよく言っているが,その通りだと感じている。今回の冬の赤岳真教寺尾根では,自分自身反省する点が多々あったが,それも勉強だと思い次の山行に生かしたい。最後に,一緒に冬の赤岳真教寺尾根に行ってくれた,Hリーダー,Oさん,Iさん,ありがとうございました。また,よろしくお願いします。
G.A