晩秋の甲斐駒ヶ岳
実施日:2024年11月3日(日)(前夜発)
参加者:9名、体験1名
【行動記録】
11月2日(土):新宿22:00→中央自動車道→諏訪IC経由→戸台仙流荘1:30▲
11月3日(日):起床5:00・チケット購入→仙流荘6:05→南アルプスバス→北沢峠7:10→双児山9:00→駒津峰10:00→甲斐駒ヶ岳11:40→駒津峰13:15→仙水峠14:20→15:45北沢峠16:00→南アルプスバス→仙流荘16:40→温泉経由17:50→中央自動車道→伊那IC経由→初狩SA解散(中央道渋滞のため)→20:00新宿22:40
【山行記録】
南アルプス北端に聳える甲斐駒ヶ岳は標高2,967m、全国に20座を超える駒ヶ岳の最高峰で、日本百名山の一座に数えられています。ピラミッドのように尖った山頂部と、白く輝く花崗岩質の岩肌はとても魅力的で、その様子から「南アルプスの貴公子」と称されています。甲斐駒ヶ岳山頂へは日本三大急登・黒戸尾根からのルートもありますが、今回は最も一般的な、北沢峠から登るルートを歩きました。
11月2、3日は、もともとは平ヶ岳の山行が計画されていました。ところが2日の新潟魚沼方面は台風の影響による雨予報で、雨中の長時間行動によるリスクを考慮して中止、1日延期して甲斐駒ヶ岳日帰りに変更されました。これも出発前日まで最終実施判断が待たれる状態でした。雨は出発日の22時頃まで降っていて、戸台仙流荘を目指す車中でも時々雨が降ったり止んだりしていましたが、駐車場に着いた頃には雨は止んでいました。バス乗り場に一番近い駐車場に駐車し、乗り場にストックを置いて順番を確保した上で車内で仮眠しました。
翌朝5時、目覚めてみれば満天の星空。これは期待できそうだ、とウキウキしながらチケット売り場に並び、無事にチケットを購入して始発バスのうち2台目に乗り、北沢峠に到着しました。20分間で朝食とトイレを済ませて集合し、F代表から本日のルートについて、北沢峠から山頂を目指すルートのうち双児山経由のルートは急で、前日までの雨で滑り易くなっていて下るのは危険なため、こちらを登りに使用し仙水峠経由のルートから下山する、と説明されました。登山口で集合写真を撮り、先頭をUリーダー、最後尾をKサブリーダーが勤めてくださって、出発。
登山口からしばらくは樹林帯を登っていきました。登山道はしっとり湿っていて、途中、登山道の上を水が小川のようにちょろちょろ流れている箇所もあり、前日までかなりの雨が降ったことが伺えました。登山開始から30分後に登山道の脇で衣類調整、1時間後にUリーダーが小休憩に選んだ場所は、絶好のビューポイントでした。遠くに連なる中央アルプスや独立峰の御嶽山が、雲の上に浮かんでいました。少し前に追い抜いてきた、休憩中のパーティが追いついてきて「しまった!ここまで頑張って、ここで休憩したら良かった!」と大袈裟に残念がっておられたのが可笑しかったです。Uリーダー、グッジョブです。その後も樹林帯を進み、双児山に到着すると、正面に聳える甲斐駒ヶ岳の白い山容と、その手前に緑のハイマツ地帯に伸びる1本道が姿を現しました。後ろを振り返れば鳳凰三山のオベリスク、北岳、仙丈ヶ岳の姿も。ここで高度計は2,600mを示していました。山頂まであと300m強、もう少しっ・・・と思ったのですが、これは間違いでした。ここから先、アップダウンの繰り返しでなかなか高度が稼げないのです。時々姿を現す富士山や、北岳を中心とする南アルプスの山々から元気を貰いながら、駒津峰からハイマツ帯の一本道、やせ尾根、急な岩場などを頑張って登り切り、山頂直下の花崗岩のザレ場に辿りついたところで、Uリーダーが無線機を取り出し「代表、直登しますか〜?」。直登とは、山頂までの最短距離を三点支持でよじ登る岩稜ルート。いやいやいや直登は無理でしょ、と内心焦っていると代表から迂回指示が返ってきたようでホッ。キラキラ輝く真っ白い雪のような山肌を、ルートを示す赤い杭を目印に、滑らないように注意しながら登ってゆき、出発から4時間30分で山頂に到着しました。
山頂は想像していたよりも広く、富士山、北岳、仙丈ヶ岳、八ヶ岳連峰などが見渡せるパーフェクトな360度パノラマビューが展開していました。山頂標識の前で記念撮影をした後、16時の最終バスに間に合わないと大変なので、名残惜しいですが15分程で山頂を後にして、駒津峰を経て仙水峠経由のルートを下山ました。樹林帯の中を下り、鎖場や大岩がゴロゴロする地帯、渡渉や木橋、沢沿いの林道歩きなど、このルートはバラエティに富んだ楽しいルートでした。最後の林道では、バスに乗る前にトイレに行く時間が取れるようにとの配慮から、F代表から「もう少しスピードを上げて。」と檄がかかり、そのお陰で、最終バス発車15分前に北沢峠に無事辿り着きました。
バスの最前席に陣取った私の隣にF代表も座られて「登山人生長いけど、林道バスの最前席に座ったのは初めてだよ。」と笑っておられました。私もこれが人生最後の最前席になるかもしれません。
仙流荘の温泉で汗を流し、コンビニで調達した夕食を車内で食べながら帰路につきましたが、途中、自然渋滞の影響で2台の車が揃って新宿に到着するのは困難だろうということで、初狩SAで解散となりました。
甲斐駒ヶ岳は個人的に、以前から登りたいと密かに願っていた山のひとつでした。今回、お天気の悪戯で思いがけなく願いが叶いました。しかも最高のお天気に恵まれて、最良の思い出になりました。F代表、ご一緒させて頂いた皆さま、楽しい山行をありがとうございました。
記録:M.K