五竜岳〜鹿島槍ヶ岳 八峰キレット 山行記録
活動日:2023年9月30日〜2023年10月1日
参加者 :8名(体験者1名含む)
工程:9/29(金) 22:00 武蔵浦和駅発 → 所沢IC → 上里SA → 東部湯の丸SA →
長野IC→ 9/30(土) 1:30 大谷原駐車場到着(仮眠)
9/30起床 3:00 → 大谷原駐車場出発 4:15 → 高千穂平 7:38 → 冷池山荘 9:44 → 布引山 11:09 → 鹿島槍ヶ岳(南峰) 12:09 → 鹿島槍ヶ岳(北峰)13:06 → 八峰キレット14:28 → キレット小屋到着 14:48
10/1起床 4:00 → キレット小屋出発 5:11 → 口ノ沢のコル 6:34 → 北尾根の頭 7:03 → 五龍岳山頂 9:12 → 五竜山荘10:00 → 白岳山頂 10:28 → 西遠見山11:23 → 大遠見山 12:02 → 中遠見山 12:37 → 小遠見山 12:55 → 地蔵の頭 13:36 → アルプス平駅13:49 → タクシー 14:30 → 大谷原駐車場 → 上信越自動車道→ 関越自動車道 → 武蔵浦和駅 21:04
山の情報 : 。
<鹿島槍ヶ岳(双耳峰)> – 日本百名山、花の百名山、新・花の百名山
山域 :北アルプス(飛騨山脈)北部(後立山連峰)
都道府県:富山県、長野県
標高 :2,889m(南峰)(北峰 2,842m)
日本百名山の著者である深田久弥は、その著書の中で「鹿島槍は私の大好きな山である。」と書いている。久弥はこの鹿島槍ヶ岳に昭和9年(1934年)の夏に初めて登ったが、北峰と南峰の両峰がキッとせり上がっていて、その二つをつなぐ、やや傾(かし)いだ吊尾根、その品のいい美しさは見飽きる事が無く、久弥の心を擒(とりこ)にしてしまったらしい。
(日本百名山より抜粋)
名前の「鹿島」は、平家の落武者が住んだと伝えられている麓の集落の地名である。
<五竜岳> – 日本百名山
山域 :北アルプス(飛騨山脈)北部(後立山連峰)
都道府県:富山県(山頂部)
標高 :2,814m
後立山連峰中央部にあり、雄大な山容をもち、鹿島槍ヶ岳と共に連峰の重鎮的な存在。鹿島槍ヶ岳から五竜岳にかけての主稜線は、八峰の稜線と呼ばれる鋸(のこぎり)歯状 の突起を連ね、縦走の醍醐味が味わえる。名前の由来は越中側と信州側で異なっており、諸説あるのでどれが正解かはっきりとしていないが、有名な信州側の説を紹介すると、この地域は戦国時代に武田家の版図にあり、「菱形」の雪形が武田家の紋章に通ずることから、「御菱(ごりょう)」と呼び、この「ごりょう」が「ごりゅう」に転訛したというもの。
(9/30)晴天
武蔵浦和駅を全日22時に出発し、途中ドライバー交替・トイレ休憩を行いながら登山口のある大谷原駐車場に9/30(土)1:30に到着。車2台の間に素早くテントを1張設営し、テント組と車中泊組に別れ仮眠をとる。3シーズン用のシュラフに潜って寝ても、暑いと感じなくなった。寒さを意識する季節がすぐそこまで来ていると感じた。
夕食や翌日の弁当注文の関係上、キレット小屋に遅くても15~16時には到着する必要がある為、3:00に起床しヘッデンを灯し4:15に大谷原駐車場を出発。駐車場先の大冷橋を渡りしばらく沢沿いの林道を歩き、砂防ダムのトンネルを潜った川の対岸(西俣出合)(≒標高1,400m)から赤岩尾根の急登がはじまる。オオカメノキ、リンドウ、ツクバネソウらが我々を優しく迎えてくれたことが途中途中の癒しであった。
標高2,049mの高千穂平に差し掛かった辺りから、登山道周辺や同標高以上にある遠くの広葉樹が黄色や赤に紅葉し始めていた。また、この高千穂平からは視界が開け、冷乗越近くまでこれから向かう鹿島槍ヶ岳の双耳峰をきれいに眺める事ができた。
冷乗越に到着して更に感動したのは、後立山連峰の鹿島槍ヶ岳頂上付近は既に下から上がったガスで覆われてしまっていたが、黒部渓谷を挟んだ対面(冷乗越から西北西方向)に立山連峰が一点の曇りもなくきれいに見えた事だ。この景色は北峰登頂まで続いた。天気予報によれば、1日目は晴天予報だが2日目は風が吹く雨天。明日は今日の様に景色を眺めて余韻に浸る事は期待できないので、今日この景色を目に焼き付けて歩こうと励まし合った。
冷池山荘に9:44到着し、ここで水の補給(500ml 100円)、トイレ等の休憩を入れて疲れを癒す。
鹿島槍ヶ岳へと続く景色のいい稜線をしばらく歩き、布引山を越えた辺りで稜線を吹く風が強くなり肌寒く感じるようになった。開けた所で休憩を兼ねて重ね着を行い行動食も摂った。同時にHリーダーからヘルメットと簡易ハーネス装着の指示有り。この時、簡易ハーネスの結び方、長さ、鎖へのカラビナの連結方法や万一の滑落時の衝撃について説明があった。
鹿島槍ヶ岳 南峰を抜けて吊尾根に向かう頃から、徐々に危険な岩場が顔を出し始めた。皆集中して登り北峰山頂を通過。そしていよいよ1日目のクライマックスが最後にやってくる。日本三大キレットの一つ「八峰キレット」がキレット小屋の手前に構えていた。一人ずつ慎重に集中して鎖場や梯子、一本丸太を通過。高いところが苦手な私としては、キレット小屋手前の垂直な鎖場が一番目を覆いたくなったが。キレット小屋到着は予想より1時間以上も早い14:48。
夕飯は17時からでそれまで時間があり喉はカラカラ。欲求を抑える事が出来ず先ずはキレット小屋で缶ビールを購入し皆で乾杯。我々の正面には立山連峰の山々が見え、その中でも明らかに山容の違う剣岳が凛として聳(そび)え立っていた。これを眺めながら飲むビール、「最高」であった。至福のひと時を苦労した仲間と分かち合える登山というスポーツに感謝である。
夕飯はハンバーグ定食。味も量も(キャベツてんこ盛り、アスパラ2本品質良し、みそ汁お替り可)大満足。19時半まで食堂で焼酎をお茶割あるいは割らずに(キレット小屋 水500ml 500円のため焼酎にはもったいなく購入断念)を飲み20時前に就寝。翌日4時起床、5時出発予定とHリーダーより指示有り。
(10/1)雨天 → 曇り
起床予定時刻前に窓ガラスにあたる雨粒と風の音で目が覚めた。4時に起床しひと通りの身支度を整え終わった後、前日購入した弁当に箸をつけるが、まだ目覚めていない胃がそれをすんなりと入れてくれない。有難いことにご飯がしっかり敷き詰められており、私は半分で満腹になってしまった。
雨具を着て、ヘルメット、ヘッデン、簡易ハーネスを装着。Hリーダーより、雨天で岩が非常に滑りやすく、且つ風があり(体感的に風速6~7m/S, Max 12m/s)風に煽られやすいので、十分注意して進むよう指示が有り、キレット小屋を5:11に出発。
キレット小屋を出発してすぐ岩稜地帯の上り下りが現れ、梯子や鎖場が連続する。歩き始めてすぐに感じたのは、昨日まで「滑り」を感じなかった岩が、非常に滑りやすくなっているという事だった。一歩一歩絶対に油断はしてはいけないと自分に言い聞かせた。また、時折強い風が吹くので、特に狭い稜線で片側或いは両側に墜落の恐れがある崖を通過する際も、風に煽られない様に気をつけた。
夜が明けても霧雨状の雨で五竜岳の全容を見る事が出来ず不安な気持ちが湧き上がって来る事があったが、そんな中唯一私達を癒してくれたのが雷鳥の出現であった。YAMAPかヤマレコの記録で、その方の前にも雷鳥が現れたらしく、雷鳥が「まるで自分達の道案内をしてくれた様に歩いてくれた」とコメントしているのを読んだことがあるが、まさにそんな感じで現れてくれた。雷鳥は、体は小さいが全体として曲線美があり、また顔が凛々しいのがいいと思う。異なる場所で3回見る事が出来た。
北尾根の頭を通過すると、今回の山行で一番険しい岩稜地帯と思われる「G5」と書かれたエリアに突入。急こう配や鎖場が出現。加えて雨で岩が滑りやすいので集中度を更に一段階上げた。
通過後緩やかな道が続き安堵していたが、頂の手前に再び岩稜の急斜面が出現。そして五竜岳登頂を9:02に果たす。集中して登ってきただけに疲労感は昨日よりあった。残念ながら周りの景色は霧雨で見えなかったが達成感は十分にあった。
記念撮影を済ませ9:20に五竜岳を出発。五竜山荘、白岳、西遠見山、大遠見山、中遠見山、小遠見山、地蔵の頭を経由し、全員無事にロープウェイ乗り場のアルプス平駅に13:49到着。タクシーの待ち合わせ時間14:30にも間に合い大谷原駐車場に戻る事が出来た。
お風呂は大町市内の「湯けむり屋敷 薬師の湯」へ。洗い場、湯温、露天風呂の全てが心地よく満足できた。帰りは上信越自動車道 上田-碓井軽井沢間のリニューアル工事渋滞に大きく影響される事なく計画書とほぼ同じく21:04に武蔵浦和駅到着。
Hリーダー、Gサブリーダー、計画書作成、安全対策等ありがとうございました。また、写真撮影を積極的に引き受けてくれたAさんにもお礼申し上げます。最後に、皆さんのおかげで今回も素晴らしい楽しい山行となりました。どうもありがとうございました。
K.S