【南岳南陵から北穂高岳 大キレット縦走】

2023年8月5日(土)~7日(月)  

  参加者6名

【行動記録】

8月4日(金)新宿西口22:00集合→中央高速松本インター経由→沢渡第2駐車場 (仮眠)

8月5日(土)4:45起床→タクシー移動→5:55上高地バスターミナル 6:02出発

→6:40明神館→7:37徳澤園→8:38横尾→10:17槍沢ロッジ→

→11:04ババ平テント場 →11:38大曲→12:52天狗原分岐→13:45天狗池

→16:41南岳→16:55南岳小屋泊▲

 8月6日(日)5:50出発→8:07長谷川ピーク→9:45北穂高小屋10:46→北穂高岳経由→13:18涸沢ヒュッテ→15:57横尾→18:45上高地バスターミナル

→20:00沢渡第2駐車場→温泉入浴後→21:30道の駅アルプスの里泊▲   

8月7日(月)▲5:30→松本インター経由→11:00新宿

 

大キレットは、長野県・岐阜県境(飛騨山脈)の南岳と北穂高岳の間にあるV字状に切れ込んだ岩稜帯です。三大キレットの一つとされ、痩せた岩稜が連続し、長谷川ピークや飛騨泣きといった難所が点在、国内屈指の難易度を誇るルートといわれています。今回このルートを南岳から北穂高に向け縦走しました。

まず1日目。この日は上高地から天狗原を経由し、南岳山荘までの予定。タクシーで上高地に入ると、大正池の辺りは朝霧が立ち込め真っ白。お天気大丈夫かな、予報では午前中は晴れのはずだったんだけど‥と思っていると、F代表から朝霧がみられる日は天気が良くなると教えて頂く。上高地バスターミナルから歩き始めると、段々霧は晴れ、美しい山の稜線が見える。順調に横尾山荘を過ぎ、ここから先は梓川を左に見ながら、樹林帯を登っていく。槍沢ロッジで給水を行い、広場にある双眼鏡で槍を確認し(私には見えなかった・・)、ババ平へ向け出発。段々気温も上がり、緩やかとはいえ登りが続き暑い‥。ババ平に到着するとすぐさま水場に向かい、手拭いを水に濡らし、しばし涼を得る。ババ平から先は樹林帯も薄くなり、石がゴロゴロする登山道を登っていく。太陽は益々輝き暑さを増すが、時折吹く冷たい風と登山道に咲く花々に癒されながら、なんとか天狗原の分岐にたどり着く。分岐を左に進み天狗池に向けて岩の斜面をトラバースしていく。この辺りはチングルマの花が沢山咲いていたのか、稚児車が辺り一面を覆っている。きっと見事な花畑なのだろうなと思っていると、眼下に天狗池が見えた。代表から反対側に回ると、逆さ槍が見えると教えて頂き、反対側へ回ってみると水面に槍ヶ岳がくっきりと映る。美しい風景に感激である。「みんなにこの景色を見せてあげたかった。」と代表はおっしゃり、この景色を見られて本当に良かったと感謝した。記念撮影を終え、南岳に向けて出発。少しずつ辺りが暗くなり、行く先には灰色の雲。ポッ・・、雨粒が落ちてくる。「早めにレイン着よう。」とザックに手をかけた瞬間ザーッと雨が降り出し、アッと言う間に土砂降り。ザックも身体もびっしょり。加えてここから先の道は、巨石が連なる岩稜帯で、事前の調べでは体力が削られるとレポートする人が多数。心が折れそうになりながらも、安全第一で手元、足元に気をつけながら進んでいく。途中雨も止み、うっすらと虹が出たかと思えば、また降り出したりと天気は順調ではなかったが、何とか梯子まで辿り着く。ここを超えればあと20~30分で小屋だと思いながら梯子を登り、来た方角に目をやると見事なWレインボーが眼前に広がる。あと少し、頑張れと励まされているようで嬉しくなる。南岳を過ぎ、小屋が見えた時にはやっと着いたとホッとした。夕食を済ませ、その後は各人思い思いに過ごし就寝。

8/6天気は晴れ。代表のご配慮で、小屋でしっかり朝食をとり、明るくなってから出発する。

5時50分装備を整え小屋を出発。周囲の山々や富士山もよく見える絶好の山行日和。獅子鼻からの景色は素晴らしく、これから向かう大キレット、北穂高岳の小屋も遠目に見える。これを行くんだと思うと緊張感が増し、身体に変な力が入るのを自覚する。足も妙な緊張が入り、スムーズに動かない。代表に緊張が伝わったのか、緊張をほぐすように話しかけてくださる。心を落ち着け、まずは獅子鼻から大キレット最低鞍部(2.748m)まで一気に下っていく。1歩1歩確実に、3点支持を守りながら進む。鎖場はビナ通しし、手元、足元に集中しながら進む。垂直の梯子を2つ下り、その後は最低鞍部まで、ここでは歩きやすい道を歩く。振り返ると巨大な岩壁が迫る。次の長谷川ピークまでは約100mの高低差を行く。ピークに近づくにつれ、狭くなっていく岩場を登っていく。飛騨側斜面から信州側に大きな岩を抱くように回り込むとそこに長谷川ピークの看板。ここからが大キレットの核心部、ナイフリッジ。代表から気を引き締めて進むよう檄が飛ぶ。鎖にビナ通ししながら、信州側から飛騨側へ右足のステップを頼りに移動し、そしてまた信州側へ。高度感がものすごい。天気が良すぎて、底の底まではっきりと見える。怖いと思うと先に進めなくなる。前を見よう、前だけ見ようと心に決める。行く手には大きなカラビナでもビナ通し出来ない程太い鎖が出てくる。代表から鎖の輪にカラビナをかけながら進むよう指示がある。足元を確認しながら、片手でカラビナを操作する。横への移動が終わると、飛騨側にあるコの字の鉄杭を頼りにまた移動。細い岩稜上を歩き、飛騨側にあるコの字の鉄抗を数段降り、足場がわかりやすい鎖を降りると、簀の子状の板を超え、A沢のコルに着く。一旦休憩を取り、次の難所飛騨泣きへ向かって進む。途中離れた場所ではあったが、激しく落石する音が聞こえ、男性の「ラク、ラク、ラーク。」という叫び声が聞こえる。あんなのが落ちてきたら一溜まりもないと背中に冷たいものが走る。その後もう1回激しめの落石音と「ラク。」の声が聞こえたが、けが人が出なかったか心配になった。同時に自分が今いる場所も落石多発地帯だということを思い出し、より慎重に登っていく。飛騨泣きへの登りはI字鉄杭に足をかけ、鎖を掴みながら登り始める。1つ1つの岩が大きく、より全身を使っての登りとなる。ひたすら登り、やっと登り切った先に展望台の表示が見える。ずいぶん近くなったものの、北穂高山荘は見上げる先にある。「キタホ200m」の表示が出てくるが、距離?標高?どっちかな。調べてみると滝谷展望台2.930m、北穂高岳3.190mで標高差の表示のようです。確かに200mも登り上げるこの道は、身体に堪えました。5時間弱かけて北穂高岳山荘に到着。代表と握手を交わし、みな無事に大キレットを制覇できたことを称え合いました。しかしここで終わりではありません。これから北穂高岳から涸沢を経由し上高地まで下山が控えています。各自水分、栄養補給をし、ハーネスを外し出発。北穂高岳山頂で記念写真を撮ったら、一直線に下山開始。足元は浮石が多く、また急な下りです。緊張を保ちつつ、真下に見える涸沢まで降り、涸沢ヒュッテで一息つき先を急ぎます。ゴールの上高地には全員19時半までには辿り着き、無事沢渡駐車場まで戻ることができました。

 今回も様々なご配慮をいただいた代表、ご一緒してくださった皆様とこの山行に参加できたことに感謝いたします。ありがとうございました。

記録:M.T