安達太良石筵沢遡行

 

2023年8月19日~20日

 

参加者6名

 

行動記録

8/18 22:00 武蔵浦和発 1:30 道の駅ばんだい

8/19 6:10銚子ケ滝駐車場発→7:10入渓→9:15 20m二段の滝→13:10 1300m付近テン場着

8/20 4:00起床→6:20テン場発→8:00 1380m二俣→12:08遡行終了登山道→14:30和尚山→16:30登山口→18:05銚子ケ滝駐車場着

 

山行記録

 

8/19 銚子ケ滝への登山道から石筵沢を渡渉する地点から入渓する。昨晩の雨の影響はあまり無いようで水量も大したことない。今日は晴れ。ただし予報では午後から雨のため、雨が降る前にテン場までたどり着くことを願いながら出発。

しばらくは単調なゴーロが続き、途中にいくつか小滝もあるがどれも簡単に登ることができる。あえてシャワークライムを楽しむメンバーも。時折ある釜の淵をへつってみたり、魚影は薄いが、たまに足元を走る魚を見かけるのは楽しい。やがてこのコース上一番の核心と言われる2段20mの滝に到着。川幅一杯の水量が涼し気で美しい。

 

が、この滝、見た目以上に意外と手強い。1段目上部に岩がせり出しており、ザックが当たりとても邪魔になる、と他の人の記録にあった。また右寄りのルートのほうが簡単そうに見えるが、実際に取り付いてみると全く手掛かりがない。ここはやはり本来のルートで、全員が空身で登ることとした。

まずは先頭をH氏がリードする。柔らかい身体で、中段の棚に大きく足をあげて一気に体を引き上げた。お見事クリア。2番手の私も同様に真似てみるが、とても重い体が上がらない。敢え無く断念。仕方なくロープを固定してもらい、ハーケンにスリングを掛けあぶみにし、ロープを掴んでのいわゆるゴボウ登りでなんとか登ることができた。

2人が1段目の上部に上がり、全員のザックをロープで順次引っ張りあげたが、ザックが岩に当たるため、これが結構しんどい作業であった。

どうにか全員が1段目まで登り、続いて2段目の滝に。一応ロープを張ったが、ここは右側の水流沿いにホールドが沢山あり簡単に登ることができた。

 

この滝を過ぎると、あとは綺麗なナメが続き癒される。

1150m付近に広く綺麗なテン場があったが、ちょっと時間が早いためここは捨てて先へ進む。1280m付近にも手頃なテン場があり今日はここで幕営することとした。

 

テントとツェルトを立て、濡れた衣類を着替え、焚火のための薪を集める。

前日に雨が降ったためか、乾いた木が少ない。一応拾い集めた薪を積み上げ、新聞紙や着火剤で点火するも全く燃えない。業を煮やしてガスバーナーを薪の下において火をつけようとするも、それでもダメ。よっぽど湿っていたのか・・。そのうち雨がぽつりぽつり、と思ったら一気に夕立に。慌ててテントに逃げ込むるはめに。

焚火料理のために皆が持ってきた食材のナス、ピーマン、トウモロコシ、ウインナーなどをどう料理するか。バーナーの上に網を乗せてもほんの中心しか火が回らないし・・、と思案していたら、K氏がごそごそとザックの中から自慢(?)の黒メスティンを取り出し、これをフライパン替わりに食材を炒めたらどうか、とのこと。油が無いので、おつまみに持ってきたじゃがりことナスやピーマンを一緒に炒めるという妙案も出てきて、たいへん美味しく頂いた。メスティン大活躍。

一通り持ってきた食材、お酒も底をつき、沢の音に眠気を誘われてきたところでお開きに。

 

H氏一人はツェルトに、他5人はテントで寝床の準備をする。テントが少し傾いているため、全員が同じ方向で横になるが狭い。寒さ対策のためにと雨具を着込んでシュラフカバーに入るが、狭く密着しているためか異常に暑い。私の横でK氏がしきりに暑い暑い・・とうなされていた(ご本人は全く記憶にないそうですが)。私も暑くて仕方ないのでシュラフカバーも雨具も脱いでようやく眠りについた。

 

8/20 早朝の沢の水は冷たいため、ややゆっくりめにスタート。当初は石筵沢を最後まで詰めて安達太良の西側の稜線に出る予定であったが、急遽安達太良へ直接詰めるルートを選択。沢を一時間半ほど歩いて1380m付近の二俣から右に入り、それからすぐ1390m付近の小さな二俣を左に入り、北方向に安達太良へまっすぐつながるルートをとる。が、これが裏目に出た。

このあと沢筋は次第に狭くなり、やがて頭上に藪が生い茂り四つん這いになるように進む。

そういえば昨晩酔っ払いながら、映画ランボーで泥の中を進むような話をしていたなぁ、と昨日の会話が頭をよぎる。

沢の形状がやがて広い尾根状になるが、進めば進むほどに藪が濃くなる。笹藪はまだ搔き分けられるが、しゃくなげやオオカメノキ、松の木や名前も知らない低灌木がぐちゃぐちゃと濃密に絡み合っているところは、よじ登り、滑り落ち、コケまくり、もがき続ける。

先頭で必死に雄叫びを上げながら藪を漕いでくれるH氏もスマホのGPSを確認して、あれっ?GPSが動いていないかも、と。いいえ、動いていないのは我々です、と心の中でツッコんでみた。

 

安達太良へのルートはあきらめ登山道へ出る最短の方向に進むこととし、藪と格闘すること約4時間。ようやく登山道にでたときには、F代表のズボンは枝に引き裂かれズタボロに。

ここから登山口まではまだ3時間もかかるため、休憩もとらずにもう少し広い所に出るまで進む。

和尚山の少し手前でやっと休憩。ここで沢装備を解き登山靴に履き替える。しかしこれもまた裏目に出た。

これでやっと下山できると、登山道の有難みを噛みしめるのも束の間、歩き始めるとものすごい雷雨が襲ってきた。あっと言う間に全身ずぶ濡れ、せっかく履き替えた登山靴も完全に水浸し、登山道はちょっとした沢のように泥水が流れていく。こんなことなら沢靴のままにしておけば良かったと思ったが後の祭り。覚悟を決めて登山靴のまま泥水の中を進むが、ぬかるんでいて、ここでも何度もコケるはめに。

 

しかし、我々の前には更なる試練が待ち受けていた!

ようやく登山口の渡渉地点にたどり着いた我々が目にしたのは、泥水のような色で増水し激しい流れに姿を変えた石筵沢だった!

 

渡渉地点に、向こう岸に向けてロープが張ってあり、これを使って渡れ、ということのようだが、ちょっと流れが速すぎる。ここからすぐ下流には、日本の滝100選の銚子ケ滝(48m)が待っている。ここで流されたらヤバ過ぎる。

もう一日ここでビバークすることになるのかな、という不安が頭をよぎる。いやいや、この程度の雨なら小1時間もすれば水量は減っていくはず、空を見上げれば、幸い雷雨は去って青空がのぞいている。今の水量ならビバークするまでもない、と心の中で葛藤を繰り返す。

 

代表とH氏とで、もう少し上流を探索してもらったところ、幸い100mほど上流に川幅が広くなり流れが少し緩やかになっている所が見つかった。

登山靴のまま再度石筵沢に入り、対岸に渡りどうにか登山口に生還できた。

 

帰りは磐梯熱海温泉で汗を流した。鏡に写った身体にはあちこちに打撲痕や切り傷でまるで拷問でも受けたかのようだった。

 

今回はかなりハードな山行になりましたが、皆さんよく頑張ったと思います。

自分にとってもとても有意義な山行となりました。

代表ほか皆さまに大変お世話になり有難うございました。

 H.T