裏銀座 烏帽子岳・野口五郎岳
実施日 2023年7月16日(日)〜17日(月)(前夜発)
参加者 6名
【行動記録】
7/15 新宿駅22:00集合→長野自動車道安曇野IC経由→七倉山荘車中仮眠
7/16 タクシー5:15ー→高瀬ダム登山口5:38→烏帽子岳テント場11:28→テント設営12:42→烏帽子岳13:17→烏帽子岳テント場14:57▲
7/17▲2:30→烏帽子岳テント場4:00→野口五郎小屋6:50→野口五郎岳7:03→烏帽子岳テント場10:49→テント撤収11:10→高瀬ダム登山口15:41→タクシー→七倉山荘日帰り温泉17:00→関越自動車道→池袋駅解散21:00
【山行記録】
七倉山荘から高瀬ダムまでの特定タクシーの運賃は2,400円ですが、乗り場の列に並んでいると運転手さんが采配し4人ずつ相乗りさせてくれます。タクシーを降りたら高瀬ダムからスタート。長いトンネルを抜け不動沢吊橋を渡り河原に出ました。何を勘違いしたか私が先頭を切って歩いていて、河原の砂に着いた足跡を辿っているといきなり行き詰まりました。地図アプリを確認し、道を外れていることに気付きました。川を渡る丸太橋を見逃していました。ゴウゴウ音を立てて流れる川の上に掛かった2本の丸太橋を渡るのは、結構おっかなかったです。(翌日には丸太に横木が取り付けられて安全度がupしていました。)川の向こう岸奥のブナ立尾根登山口から、いよいよ北アルプス裏銀座コースの始まりです。
ブナ立尾根は、西黒尾根(谷川岳)、黒戸尾根(甲斐駒ヶ岳)と並び「日本三大急登」と称されています。標高差1,200mのルートはひたすら上りの連続です。登山口から烏帽子小屋までカウントダウン形式で12番からカウント開始。緑豊かな樹林帯の中を縫って険しい登りが続きます。天気が良くて暑いので体力を消耗しますが、時々足元から銀竜草やコケモモ、コイワカガミなどの可愛らしい植物が励ましてくれました。
烏帽子小屋に到着すると小屋の前にイワギキョウが群生していて、真っ青な色が目に飛び込んできました。長くてキツいブナ立尾根を登り切った達成感に浸る間もなく、テント設営スペース探しです。三連休の中日だけあってテント場は一杯で、小屋からどんどん離れて池の手前にようやく程よいスペースを見つけてテントを設営しました。(小屋で買えるPET飲料600円・消毒済天水1L200円・ドリップコーヒー500円)
少し休んだらアタックザックを背負って烏帽子岳を目指します。花崗岩の風化した砂礫の中に奇岩がニョキニョキ突き出す様は、まるで燕岳のような雰囲気でした。白にハイマツの緑が映えて美しい庭園の中を歩いているよう。前烏帽子のすぐ後ろに烏帽子岳のトンガリが見えてから、なかなか辿り着かないのは山頂あるあるかな。ようやく山頂直下。裏に回って鎖に取り付きよじ登って無事登頂。記念撮影をしてテント場へ戻りました。戻る途中でパラパラと小雨が降り出して心配しましたが、テント場に戻る頃には止んでいました。
明るいうちからテント傍で晩餐会。この日は、山岳遭難で亡くなられた元会員さんの命日が近いということで、故人がお好きだった獺祭をIさんが持ってきてくださり、全員で献杯しました。そして今日1日の行動を振り返り、感想や反省を語り合いました。話は尽きませんでしたが明日も早いので、夕日を見ないうちに就寝しました。
2時半起床、テントの中から空を見上げると星が瞬いていました。星が示唆した通り、この日は稀に見る好天に恵まれました。アタックザックを背負って野口五郎岳へ往復6時間の稜線散歩に出掛けました。ヘッドライトで足元を照らしながら歩くうち、だんだんと山際の空が白み、辺りも薄明るくなってきました。雲海の一部がオレンジ色に染まりつつあるのを気に掛けながら歩き、日の出の瞬間を拝むことができました。Aさんがご来光に向かって両手を合わせる姿に感化されたか、私も思わず涙がこぼれました。明るくなってからは、花崗岩とハイマツと、コマクサ、ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲ、チングルマ等たくさんの高山植物が花咲く美しい稜線散歩を楽しみました。遠くに視線を移せば北アルプスの名立たる名峰の数々が、さらに遠くは八ヶ岳や富士山まで見ることができて感無量でした。野口五郎小屋を経て野口五郎岳山頂に立った後、テント場に戻り撤収作業をして、ブナ立尾根を下山しました。ゴールの高瀬ダムへ到着後タクシーで七倉山荘へ戻り、山荘の日帰り温泉で汗を流した後、高速道に乗る前にコンビニで夕食を調達し帰路につきました。
6月24日の八海山での体験登山に参加させて頂き、千本桧小屋でリタイアしてしまったにも関わらず、フレスコへ入会致しました。入会後初となる今回の山行で記録係を承りましたが、山行中は自分のことで精一杯で、思い返せばあちこち記憶が飛んでいます。また、当日は忘れ物をしたり、テント設営や荷物の詰替えなどで要領を得ずあたふたしたり、下山時は体力不足で歩けなくなってしまい、F代表とIさんに荷物を分けて持って頂いたりと、皆様にたくさんご迷惑をお掛けしてしまいました。その節は本当に申し訳ありませんでした。そんな私が烏帽子岳と野口五郎岳の山頂に立つことができ、無事に下山できたのは、ひとえに導いてくださったF代表と、同行してくださった会の皆様のお陰です。上りも下りも辛く苦しかったブナ立尾根、北アの大パノラマに心が躍った稜線歩き、夜明け前の闇に広がる幻想的な雲海、神々しいご来光・・・どれをとっても、今までの私の世界には無かったものでした。山岳会登山ならではの良さ、有り難さを心の底から実感しました。尊く得難い経験をさせて頂きました。本当にありがとうございました。
記録(M.K)