【初夏の八海山  屏風道~新開道】

2023年6月24日(土)

   

 参加者11名


【行動記録】

6月23日(金)武蔵浦和西口22:00集合→関越道塩沢石打経由→道の駅南魚沼

6月24日(土)道の駅南魚沼4:00起床→2合目登山口5:05→→千本桧小屋10:59→大日岳12:49→2合目登山口17:30 →ロープウェー駅17:50→温泉経由→六日町インター経由→武蔵浦和21:30


日本二百名山である八海山は、越後駒ケ岳・中ノ岳と共に越後三山の一つに数えられ、ギザギザの峰が続く八つの岩峰を「八ツ峰」と呼び、山岳信仰の山として崇拝されている。今回は上級者向けコースである屏風道から入り、八ツ峰を経て新開道へ降りるルートで山行が計画された。このコースは「新潟 山のグレーデイング」によると4Dとされ、一泊以上が適当。及び岩稜・ガレ場・鎖場・はしご・渡渉等があり、それに伴う歩行・ルートファインデイング技術が必要となっている。

山行前日、武蔵浦和を出発後、高速上で一時雨が激しくなり心配されたが、道の駅に着くころには雨も止み、テント設営後早々に就寝。

翌朝はどんよりとした曇り空ではあったが雨は降っておらず、このまま降らない事を祈りながら登山口へ急ぐ。柴原駐車場には2張りのテント。大学の山岳会だったようで、新入生も居ることから山行を実施するか否か迷っていた様子。H木リーダーが声を掛けられ、フレスコはロープを携帯し登ることを伝える。登山口で準備を整え、大学生たちより先に体験山行2名を含む総勢11人で出発。鎖・岩の連なる難ルート、気を抜かないよう気を引き締める。

駐車場の左手から屏風沢へ下り1回目の渡渉。水量も問題なく対岸へ。はじめは緩やかな樹林帯を登っていく。登山道は濡れており、草木が生い茂り段々深さを増していく。ポツポツと雨粒も落ちてきて、4合目過ぎの水場で代表の指示があり簡易ハーネスと雨具を着用。その後すぐに雨が強くなる。(え!預言者??)来た道を少し戻り、いよいよ破線ルートに入っていく。ここから8合目まで少しの平場はあるものの、斜度を増しながら登っていく。雨と岩と鎖、どうか滑り落ちませんようにと願いながら進む。雨は降ったりやんだりを繰り返す。岩は濡れてはいるものの、幸いさほど滑らず、3点指示を意識しながら登っていく。

5合目前で1名足がつり、回復まで一旦代表、Oさんと共に列から離れる。5合目を過ぎた辺りで、どんよりした景色の中にパッと明るい色がさす。山つつじが綺麗に咲いている。お花に元気をもらい歩き進めると、イワカガミ、ツガザクラ、サラサドウダン、ベニサラサetc・・沢山の花々が励ますように咲いている。風もなく、レインの中は大汗をかき、加えて虫の襲来もありめげそうであったが、まだまだ先は長いと気を引き締める。そうこうするうちに、一旦離脱した隊も合流し、再び11人で出発。

登山道はやぶ気味で、所々に片方が切れ落ち、草で足元がよく見えないトラバースなど危険個所複数。7合目を過ぎ、「横のへつり注意」の看板の先には足場の悪いトラバースが。設置された鎖にビナ通しし慎重に渡る。一旦鎖が終わり、今度はロープが張られたトラバースに差し掛かる。先行者が足を滑らせ谷側に振られ、そのはずみでロープが大きくしなり私も態勢を崩す。お互いセルフビレイをとっていたおかげで転落することはなかったが、安全確保のための知識と技術の大切さが身に染みた。

8合目に向けての最後の鎖を登りきると、やっと少し歩きやすい道となる。千本桧小屋に到着後、休憩をとりつつ全員が揃うのを待つ。ここで体験山行の方はロープウエイで下山(の予定が、一息ついて不動岳まで登山後下山)、8名で八ツ峰にチャレンジすることになる。いつしか雨は完全に止み、ちらりと青空ものぞく。十分にお腹を満たし、気力も回復したところでまずは地蔵岳へ…、のはずが認識できないまま気がつけば不動岳の表示が・・。ここには「これから先の鎖場は通過が非常に危険です。」「転落すれば助かりません。」と警告の看板。一層気を引き締める。不動岳山頂から長い鎖を降り、そしてまた登って、時にトラバースし、次の山頂へを繰り返す。いずれも高度感あり、アスレチック要素満載で、3つ目の七曜岳(標識は五大岳)、4つ目の白河岳(標識?)、5つ目の釈迦が岳(標識が白川岳と紛らわしい)に到着。前方には摩利支岳のピークが見え、その中腹には梯子がかかっているのが見える。釈迦が岳から鎖を降り、う回路へのエスケープルートの分岐を経て、梯子と鎖を登り返すと摩利支岳に到着。そこから再び鎖を降り、剣が峰は東面をトラバースして通過。このあたりだったろうか、Uさんが空を見て「彩雲(※)が出ているよ。」「彩雲は吉兆の兆候。」と教えてくれました。「彩雲って何??どこどこ?」空を見上げると薄い雲がうっすら色づいて見えました。吉兆の兆候を見た後、本日の最高峰大日岳へ。山頂へは直下にある垂直の梯子を登り、鎖を使って登るのですが、上部の足場が十分でなく、最後のひと登りは手がかりだけ。何十もの鎖場をくぐり抜け、疲れがピークになっており、ここは個人申告でロープ確保してもらい、全員無事登頂。記念撮影と休憩をとったのち、新開道に向け出発。しかし、ここからが後半の苦難の道の始まりでした。

まず大日岳直下から15mの鎖を降り、続く小ピークも10mの鎖を降ります。15mの鎖場は岩がせり出したようになっており、上から覗いただけでは足場が確認できず、鎖を持ち体を倒し、足場を探しながら慎重に降ります。全員が降りた後、ここはロープだったかなとH木リーダーのつぶやきが聞こえたような・・。10mは後半足場が見つけ辛く、ここも個人申告でロープ確保を行い、全員無事に八ツ峰縦走を完了。新開道分岐に向けう回路を歩く。Iさんがヤマップ情報で新開道の梯子に亀裂があり注意が必要との情報を教えてくれる。新開道入口から早速梯子からの降りとなる。どこが壊れかけているのか観察し、一気に体重をかけないようにしながら慎重に降りる。結構長く、また数か所梯子が設置されていた。登山道は急斜面をトラバースする歩きにくい道が続く。鎖ももちろん健在。新開道上部は荒れていると聞いてはいたが、雨の影響もあり、更に滑りやすく、転倒しないように非常に神経を使う。歩けど、歩けどヤマップの地図上の軌跡は進まない。やっとの思いで5合目に到着。まだ5合目、しかし足の疲労は限界に近づく。予定時間をオーバーしており、これ以上遅れると、いや今でも、帰りの風呂は厳しいかもとの声。30分でいいから風呂に入りたい。その一心で歩みをすすめる。せっかく下っていた道をまた登り返し、腰の高さほどの生い茂った草で覆われた登山道を進み、やっとの思いで1.5Km付近の稲荷社が祭られている場所に出る。あとは柴原駐車場まで平坦な道を進むだけ。途中駐車場までショートカットする道があり、元気の有り余る3名はここで一旦お別れ(結構な道だったらしい)。残り5名で林道を歩く。そしてやっと駐車場に到着。無事に帰って来られた安堵感でいっぱいになりました。その後はロープウエイ駅で下山を待っていた代表と体験山行のお二人を迎えに車を走らせ、合流後温泉へ。汗を流し天国にいる気分。温泉のありがたさが身に染みました。

今回の山行を通して、基本の大切さを改めて学ぶとともに、仲間と一緒に登るから長時間に及ぶ難路も頑張れたと思います。ご一緒していただいた皆様、ありがとうございました。

                                                     記録:M.T

※彩雲:上空の比較的薄い雲がその縁に沿うように赤、黄、緑などの色に分かれて見える現象です。この現象は、太陽の光が雲の粒を回り込んで進む(これを回折といいます)ことにより発生します。この際に波長が長い赤い光は波長の短い青い光より大きな角度で雲の粒を回り込むため、光の色によって進行方向が変わり、色が分かれて見えるようになります。また、雲の粒の大きさにより光の回り込み方が異なることから、雲の粒の大きさで雲の色が違って見えます。一般に雲の縁で雲の粒が最も小さく、中心に向かって雲の粒が大きくなりますので、雲の縁から中心に向かって色が変わって見えるわけです。(気象庁HPより)

記録 М・T