日和田実践ロープワーク研修
2023年4月日23日(日)参加者10名
【行動記録】
4/23 晴れ 8:40高麗駅集合→9:00日向登山口
9:20日和田山女岩到着→13:00孫岩ヘ移動→15:20下山→16:00高麗駅解散
高麗駅集合後、日向登山口経由で徒歩40分弱で岩場のゲレンデについた。今回はMさん、Oさんが2時間もみんなより早く来て場所取りをしてくれていた。お陰様で簾の様にロープが垂れ下がっている中でも一等地が確保でき快適に講習会が行えた。改めてありがとうございました!
到着後、クライミング装備を身に着け講習開始、登攀に使用する装備の説明。
・ハーネスの捻じれ、緩みがない事を互いに確認。
・セルフビレイコードの装着についてタイインループの下から入れて上から出してガースヒッチで固定。
・デイジーチェーンの強度はメインは20KNだがポケットは5KN程なので使い方を誤ると墜落の危険性があること、パスは全て20KN程の強度を備えている。
・墜落の際の衝撃について、
(体重+装備)×重力加速度9.82(≒10)×落下距離/100=落下の衝撃力(KNキロニュートン)
例えば装備含め60kgの人が1m落下した場合は凡そ6KN(600kg)の衝撃が加わる。安全上およそ人体が耐えられる衝撃は6KN程、10KN程を超えると致命的なダメージを受けてしまうため単純に考えると落下距離は1m以内に留める。実際の落下の衝撃力はクライミング用のダイナミックロープが衝撃を吸収、固定ビレイでは無理だがボディビレイで上手く体重を移動させることでも衝撃を吸収できる。
・ダイナミックロープの衝撃吸収は、
落下率=落下距距離/ロープの長さが大きく影響する(これは込み入っているので説明を省略)。長くロープが出ている(又は屈曲した中間がある場合にはそこから)ロープが長い程、衝撃力は緩和される。
・今回はトップロープのためロープが張っている(テンションが懸かっている)状態をクライマー、ビレイヤーが維持する事で落下距離が最小限となり衝撃がほぼ緩和されると説明。
その後、ロープの支点構築のためTさん、Mさんと女岩の上部へ移動。Oさん、Aさんも後学のため同行。まずセルフビレイを取って支点構築の説明。
・支点は2カ所以上からとり、支点間のスリングの角度は大きすぎると支点に懸かる負荷が増大するため60°以下とする。
・女岩上部は新しいアンカーボルトのため2点とした。孫岩での懸垂下降は古いハーケン、リングボルトで強度が低いと予想されるため岩等も使い3点とした。
・基本的に垂直にロープが垂れていればクローブヒッチで固定分散。ロープが横に引っ張られるようであれば荷重点が移動するため流動分散とする。
構築した支点2カ所からロープを2本セットして登攀準備をする。登攀前にフィギュアエイトノットをフォールスルーでタイインループに固定しエバンスノットで末端処理をする方法を説明し各自実践。3点支持を守り2回~3回女岩を登攀する。途中、お昼を過ぎ各々お湯を沸かして簡単に食事を済ます。最初はぎこちない方も居たが2度、3度繰り返すうちに要領を得て全員がスルスル登攀できるようになった。その後、Kさんが孫岩を偵察して場所取りをしてくれたので13:00頃より移動して懸垂下降の研修に移る。
・ATCのハイフリクションモード(ATCのギザギザ溝のある側)について説明。緩斜面時はブレーキが効きすぎるのでノーマルモードでの使用も可。ハイフリクションモードは体重差があるビレイや空中懸垂時に使用すると説明。
・カラビナの種類と用途について説明。HMS型は洋梨の形をしており片側のスペースが広いため懸垂下降やクローブヒッチ、ムンターヒッチ時に適す。D型はロープがスパイン側(ゲート反対側)に固定されロープのブレが少なくなりフィックスを張る時等に適す。その他、デバイスとの相性によって使い分ける。
・バックアップのフリクションとして横移動時にはブリッジプルージック、縦移動時はクレイムハイスト。クレイムハイストは巻きはじめが上部となりこの場合、落下方向の下部片側にしかブレーキ効果が無い。
・懸垂下降時のバックアップの位置と注意事項について、下降器の下部に設置する場合は下降器をビレイループから20cm程延長しバックアップに干渉しないように設置。下降器とバックアップが接触した場合、バックアップが機能しなくなる。
・下降器の上部にバックアップを設置した場合、干渉するリスクは減るがブレーキでロックした場合の解除が難しくなる。
・バックアップがブレーキでロックした場合、下降器上部では全体重がかかり強烈にロックする。下降器下部では懸垂下降を右手で押さえる程度の荷重で解除も容易であり使い分けが必要。
・懸垂下降の手順について、ATCにセットした後に腰を落としてテンションが懸かる
事を2人以上で必ず確認、バックアップセット後にブレーキが懸かる事を確認、右手
は絶対に離さず最後にセルフビレイを解除する。
各自、バックアップの位置等を変えて実際にブレーキを効かせ、その効きと適切なセット方法について試行錯誤しながら繰り返し懸垂下降を行う。Mさん、Kさん、Oさんの経験者はカラビナでの懸垂下降、途中停止も試す。最後にバックアップがロックした場合の対処方法について懸垂下降、途中停止、ロープに立ち込んでの解除を実演。Tさんにミュールノットでの途中停止を教わり予定の15:00を過ぎたため説明だけに終わる。
今回はベテランのTさんに温かく見守って頂き、Mさん、Kさん、Oさんも各自勉強されており貴重な意見交換参考になりました。またみな様諸所お手伝い頂き無事故で講習を終える事ができました。ありがとうございました。
記録S・H