雪の三本槍岳・朝日岳・茶臼岳
2023年3月4日(土)
参加者 3名
《行動記録》
3/3 武蔵浦和22時集合−0時道の駅那須高原▲
3/4 起床4:30-大丸駐車場5:30-山麓駅6:07-峠の茶屋駐車場6:24-中の茶屋跡6:47-峰の茶屋跡避難小屋7:18-恵比寿大黒7:58-熊見曽根8:35-1,900m峰剣が峰8:44-清水平8:57-北温泉分岐9:17-三本槍岳9:57-清水平10:30-朝日岳11:28-茶臼岳13:22-大丸駐車場15:01-鹿の湯15:20-武蔵浦和20時解散
《山行記録》
栃木県最北端に位置する那須連山の主峰、茶臼岳。那須連山の中で一番峻険なアルペン的な山容の朝日岳。そして最高峰である三本槍岳の三山を縦走した。
当初予定は三本槍岳のみの計画であったが、時間があれば朝日岳と茶臼岳も行ってみましょうとHリーダー。
私が調べてきた天気予報では晴れ。最高気温は10℃。那須岳は風が強いイメージはあるけれど、今日はるんるんハイキングだとこの時は思っていた。
前夜に到着した時から那須はとても寒く仮眠をするもなかなか寝付けず、S氏も寒かったと言っていた。約一名を除いて。
起床してシュラフを片付けている間にHリーダーがお湯を沸かす準備をしてくれた。ありがたいっ!バーナーをつけてお湯を沸かすと、あっという間にテント内が暖まる。温かい飲み物を飲むと身体が目覚め元気が出てくる。
食事を終えて大丸駐車場へ移動して準備する。
山の方から冷たい風と共に風花が舞う。峠の茶屋駐車場に着く頃には太陽が昇り東の空をオレンジ色に染め、那須連山を照らし出した。
雪に埋もれて屋根だけ残した峠の茶屋駐車場トイレの横から登って行く。
中の茶屋跡でアイゼンをつけた時には雲が増え始め、峰の茶屋跡避難小屋まで登るといきなり爆風となった!
小屋に入り休憩している間もビュンビュンと風が小屋を揺らす。バラクラバとゴーグルをきちんと装着して剣が峰のトラバースへ。
剣が峰の東側に回り込むと風が遮られて無風となった。Hリーダーを先頭に、僅かな踏み跡を頼りに雪に覆われた巨大な斜面を横切って行くも、下を見ると遮る物のない奈落の底。アイゼンが自分の足に引っ掛からないように注意して進む。
恵比寿大黒へ出ると再び爆風に晒される。雪を吹き飛ばしてしまうのでこっち側は岩がゴロゴロしている。注意してアイゼンで岩場を歩くも爆風で倒れる。前に進むことが出来ずにHリーダーのポールを一本借りて耐風姿勢で進む。
1900m峰を登って下って清水平では何度も踏み抜きながらも無事に?三本槍岳登頂。
凄まじい勢いで雲が流れていく。時折太陽が顔を出し瞬間的に明るくなるもすぐさま雲に隠れる。あまりの爆風に直ぐ下山。
「まだ時間があるし朝日岳と茶臼岳も行きたいんですよね。」とHリーダー。
え?この爆風で眺望ゼロなのに…?
確かに時間はまだ10時だ。
ここから鬼畜山行へと突入していく。
朝日岳へと向かう清水平から1900m峰の下り、S氏が左手に持っていたピッケルを引っ掛け倒れた際に左手を負傷。見ると左手中指の第二関節から指が反対側へ曲がっている…。慌てて元の位置へ戻すS氏。「戻った!」と爽やかな笑顔を見せる。世界びっくり人間登場というフレーズが頭に浮かぶ。
大丈夫だという事でそのまま朝日岳を登頂。朝日岳は30分位で登って下りられた。
剣が峰のトラバースへ戻ってくると、強風で飛ばされてきた雪が積もり足跡が全く消えていた。綺麗な斜面に戻っていた。
Hリーダーより、アイゼンを右足の山側は真っ直ぐ、左足は少し角度をつけ外に向けるという事と、ピッケルを雪面に深く刺す!と指導していただき、慎重に進む。
落ちてもおかしくないくらい不安定で崩れやすい足場。一週間分の精神力を使い果たし、100mのトラバースを抜けた。
爆風はますます強くなっている。峰の茶屋跡避難小屋に戻ると「茶臼岳も行っちゃいたいんですけど」とHリーダー。
茶臼岳の山頂は灰色の雲が渦巻きながら猛烈な勢いで雲が飛んでいく。このままではいつか私も飛んでいくのではと危険を感じる。
これって安全で楽しい登山なのか?とHリーダーに言おうとした時、
「行けます!」とS氏。
行くんかーい!と心の中でツッコミを入れ、そして諦める。
そうだ、HリーダーはてんくらCを愛する、鬼軍曹と呼ばれた人だった。
身体が飛ぶ前にやめると約束だけして茶臼岳へ。
歓迎の爆風を浴びながら登る。無心で登る。
決して止まらず登り続けるんだ。
茶臼さえ登れば下山できる。自然と微笑みがこぼれてくる。うふ、うふふふ。
記録 O. T.