冬の西吾妻山


2023年2月12日(日)

 

参加者7名


2/11

22:00武蔵浦和出発→12:00 那須高原SA仮眠▲

2/12

▲ 5:00分出発→6:30グランデコスノーリゾート駐車場→8:20ロープウェイ乗車→8:40出発→西大嶺10:35到着→西吾妻山11:50登頂→ロープウェイ下車14:30 →裏磐梯レイクリゾート(温泉)16:30→コンビニ(食事・車チェーン脱着)→20:30武蔵浦和到着

 

 

西吾妻山は福島県と山形県に接する標高2,236メートルの山です。

裏磐梯側のグランデコリゾートから西吾妻山頂まで往復7km、冬季には雪景色が美しく、広い山頂からは360度の大パノラマ。その行程には、小振りなオモリトドマツが雪に覆わ斜面から多数つきでている。その容姿から「リトルスノーモンスター」と呼ばれ、多くの登山者を引き寄せる。厳冬期の山行でもコースタイム5時間程度で特別困難な山には思えない、、、が。

この山は、フレスコにて過去2回アタックし、いまだ登頂を果たしていない。

昨年22年1月は、経由する1つめのピークである西大巓にて視界不良のホワイトアウトで撤退。さらに、本年1月にはラッセルにおいての時間超過の為に、同じく西大巓にて撤退した因縁のある山だ。2度の登頂を拒まれた、西大巓から先に足を踏み出すことができるのか?その頂を目指すフレスコメンバーは7名。

「第3次厳冬期西吾妻山制覇、リトルモンスターを見にいこう!」という

重いのか、軽いのか分からないスローガンのもと、いくつかの約束事を決めた。

ひとつは、コースタイムの遅れを防ぐ手法として、ワカンの外れたときの対応だ。

1次隊2次隊も、ワカンやアイゼンの外れた際の装着に、タイムロスが全体に影響を及ぼしていたとの事。今回は、男性2名のツイントップと別に最後尾に男性1名を置き、ワカン装着に遅れが出た場合、先頭はラッセルにて進行。最後尾メンバーもワカン装着次第、追随するなど。折り返しデットラインやラッセルでの進行。そして、ホワイトアウトへの準備が確認された。まずは、全員一致で今回の登頂を目指すことを、意思確認し、結束を固めた。

メンバーには、1次2次にも参加し、今回で3回目の挑戦をするF澤女史もいた。

「今回で、因縁を決着させる。。」

とつぶやいている。ゴーグル越しにギラリと眼差しが光る。

グランデコスノーリゾートからも、西大巓と西吾妻山の稜線に早く、厚い雲が北から南に向けて流れているのが分かる。

やはり、本日もあそこは暴風だろうか?

午前中までは、天気が安定している。12:30には、西吾妻に登頂したいところだ。

まずは、スノーリゾートからの西大巓までの樹林帯。

振り返ると磐梯山と猪苗代湖が、いってらっしゃい。と姿を見せている。

西大巓までは、高雲りだが、薄い日は差している。

思いのほか、斜面もしまっている。

すると、どうだろう、おもいっきり深いトレースが樹林帯の間を縫っているではないか。

予測はしてはいたのだが、本日は、日曜日。前日の土曜日が祝日であり、全国的に気温も高く、多くの登山者が入山していたのだろう。ワカン全体を効かせることなくても左右の突き出ているエッジを斜面に突き刺しフラットフッティングしていけば、通常のペースで高度を上げていくことができる。2次隊で参加した会員が、前回はここを直登した。という樹林帯を抜けたゲレンデのような、きれいな斜面にも、くっきりと横に巻くような無理のないトレースがついている。ここも時間と労力も少なく歩行できる。

これは、いいペースでいけそうだ。

西大巓に到着10:35だ。予測より1時間近く早いペースだ。

ただ、やはり視界は効かず、風速も強く、長居はできない様子。ここで、引き返す登山者もいる。我々は、1時間も猶予をいただき、そのままのアドバンテージで西吾妻山を目指す。

晴れていれば、ここは広大な稜線にブルーバックのリトルモンスターの群生が見える西吾妻山を望む見晴らしポイントである。しかし、現実には空の灰色と同化してリトルモンスターは、見えない。

足元の引き続き深いトレースを往く。10分下りを経過したところで、突然トレースが消えた。本来のルートより北に進んでいた。確かに本来はもっと深い下りからスタートするはずだ。先行していたソロ登山者は、登山ルートを外れている事に気づき、きびすを返し、一度西大巓まで戻るという。

我々は、トレースの消えた樹林帯を尾根通しで往き、本来ルートに並行して西吾妻山を目指し、心持ち南東寄りにルート復帰できるよう下りつつ斜め方向に足を進める。

冬山登山のいいところとして、登山道でないルートも縦横に復帰ができるところだ。

もちろんGPSやコンパスを駆使して、現在地のチェックは怠らない。

ここで、ワカン全体が効いた雪山ハイクを楽しむことができた。脛、膝ほどのモフモフの雪道をリトルモンスターを縫うように、ルート復帰を目指す。ときに、先頭はラッセルしつつも、他の登山者ともすれ違うこともなく、樹林帯は風を遮っており、静かな雪山を堪能することができた。

しばらくすると、何人かの登山者を見受けるようになり、ルート復帰した事に気づく。避難小屋を通リすぎた。雪に埋もれても入室できるよう。2階へハシゴから入る仕様になっている。

1時間近く歩いているが、ここまでくれば、あと8分。頂上に近づくにつれ、すでに視界は効かず、風も強くなってきたが、ノンストップで頂上を目指す。斜面が終わり、視界が効かないが、おそらく広大な平地に出た。そのまま足を進めていく。どこが、頂上なのだろう?

GPSを確認する。

「おぉ、ここが頂上だ!」「ほんとだ。レーダーの真上だ!」

爆風の広大な雪山の頂上で、全員が個々にスマホ画面を見て喜んでいる。

シュールな感じである。

西吾妻山、頂上には、これといった目印が無かったのだ。予定より40分早く登頂できた。

第3次厳冬期西吾妻山制覇を達成した我々は喜びのグータッチでそれぞれに健闘を称えあった。登頂が念願だったF澤女史からも「嬉しい。」の声が聞けて、良かった。

西吾妻山の山頂での7名の歓喜は、突風に舞い上がり、曇天の空に吸い上げられた。

厳冬期の西吾妻山行の思い出だけが残された。

 

記録:RK