聖岳
実施日:2023年10月21日(土)〜22日(日)(前夜発)
参加者:9名
【行動記録】
10月20日(金):新宿駅22:00集合→中央自動車道松川IC経由→道の駅とよおかマルシェ1:30▲
10月21日(土):起床3:30→芝沢ゲート6:07→易老渡(いろうど)7:21→聖光小屋8:00→西沢渡8:55→薊(あざみ)畑14:10→聖平小屋14:31▲
10月22日(日):起床3:00・出発4:00→小聖岳5:43→聖岳7:07→小聖岳8:05→ →薊畑8:50→西沢渡11:30→易老渡13:02→芝沢ゲート14:01→飯田城温泉14:50→中央自動車道経由(渋滞2時間)→新宿駅解散23:00頃
【山行記録】
静岡県と長野県の県境に屹立する日本百名山の聖岳は、南アルプス最南の3,000m峰です。山奥深くアクセスが不便なところへ持ってきて、今年6月に台風による土砂崩れで芝沢ゲートから先は通行止めになり、易老渡の駐車場まで車で行けなくなってしまいました。7月に迂回路が作られて徒歩での通行は可能な状況に復旧しましたが、易老渡までの往復2時間余のタイムロスは結構キツいです。以前はもっと先の聖光小屋までマイカーやタクシーで行けたと聞くと、なおさら道中が長く感じてしまいます。余談ですが、芝沢ゲートに辿り着くまでの車道も、至る所に落石がゴロゴロ、落石が当たってぐにゃぐにゃに変形したガードレール、穴ぽこの空いたアスファルト等々とってもデンジャラスです。私には怖くて運転できません。行き帰りの道中を運転してくださったメンバー様に感謝感謝です。
準備を整えて芝沢ゲート前の駐車場を出発し、聖光小屋までは2時間の平坦な林道歩きです。途中に崩落箇所があり、長めの迂回路が作られていました。他にも所々土砂の流出箇所があり、先の台風による影響の大きさが感じられました。途中で通過する易老渡は光岳方面との分岐点ですが、今日は橋を渡らず先へ進みました。聖光小屋は便ヶ島森林公園の中にあり、ここは水洗トイレと炊事場が整備されテント泊もできるようです。ここからようやく登山道歩きの始まりです。
聖光小屋から西沢渡までは遊歩道です。昨日の雨でしっとり濡れた道をピクニック気分で小一時間歩いて行くと、西沢渡の渡渉ポイントに到着しました。雨上がりの遠山川は結構な水量と勢いがあったので、人力ゴンドラを使って渡ることにしました。対岸に吊り下がっているゴンドラを、みんなで力を合わせてワイヤーを手繰ってみると、程なく引き寄せる事ができました。さてこのゴンドラは何人乗り? 試しに先発隊2名が乗り込んで、無事に対岸へ渡りました。次は3名乗って対岸へ。残り4人、全部乗っちゃえ!で、全員対岸へ無事に渡り終えたところで、元いた岸に女性登山者がひとり、立っていました。彼女は渡渉できそうなポイントを探していたようですが、ゴンドラに乗る判断をしたようでした。心優しきフレスコ男性陣は見過ごしませんでした。Hリーダー以下男性陣が彼女のために、直ちにワイヤーを手繰ってゴンドラを対岸へ戻し、彼女の乗ったゴンドラを引き寄せて、川を渡らせました。なんて優しいのでしょう!感動の名場面でした。次なる登山者が対岸に現れてはエンドレスになってしまうので、西沢渡を後にして先へ進みました。
西沢渡から先は樹林帯の中の急登が続きました。約1時間毎に10分間の小休止を入れつつ、途中でイラモミの大木や、瑞々しい苔、カニコウモリの綿毛、つっつくと胞子を噴き出すホコリタケなどを愛でながら、ひたすら上っていきました。稜線に出てしばらく進むと、聖岳山頂方面と聖平小屋方面の分岐点である薊畑に到着しました。稜線は少し風が強く、南側斜面は山肌が崩れ落ちていて、迫力がありました。山頂アタックは明日にとっておいて、今日は小屋へ向かいました。
聖平小屋の今季の通常営業は、9月23日で終了しています。今回は避難小屋として無料開放されている冬季小屋に宿泊しました。小屋に到着して荷物を整理したら、まず小屋の横を流れている沢で、食事用の水を汲みました。小屋の前のベンチで、その水を沸かして温かいコーヒーを戴きながら、アルパインの検定を1週間後に控えるOさんとUさんのために、Hリーダーがロープワークの講習をされる様子を、見学させて頂きました。寒い中で、真剣に繰り返し練習されている姿が印象的でした。
この日の宿泊者は私達9名以外に、ソロやグループ計10名程おられました。他の方々は1階部分に寝床スペースを確保され、そこで食事もされていたので、私達は2階に寝床を確保し、1階の土間スペースをお借りして食事をしました。夕食を戴き、謎の焼きめざし祭と山の話を楽しみました。ちなみにトイレは小屋の外に出て100mほど離れた場所にあり、もちろん夜は真っ暗闇で外気温は−4℃。19時頃に意を決してトイレに行ったあと、早めにシュラフにくるまって眠りに落ちました。
翌朝は3時に起床し朝食後、準備を整えて4時に小屋を出発しました。闇の中をヘッドランプを頼りに木道を歩きながら、東京ではまず見ることの叶わない満天の星空に、思わずため息が漏れました。薊畑に到着したら昨日と違って風もほとんど吹いておらず、良いお天気になりそうな予感がしました。樹林帯を抜けたら森林限界となり、ハイマツに囲まれたガレ場を上って行きました。小聖岳に到着する少し前から東の空が明るくなり始め、小聖岳を過ぎたところで日の出を見る事ができました。雲海の上に浮かぶ富士山、その右肩に日の出、左上方に明けの明星。あつらえたような完璧な風景に空気の冷たさも相まって「なんだか元旦みたいだね。」と誰からともなく感想が漏れました。
そこから1時間後に聖岳山頂に到着しました。聖平小屋でテント泊したという登山者に記念写真をお願いしたところ、プロカメラマンのように色んなポーズを指示され何枚も撮影してくださいました。「次、違うポーズで。」「はい次、万歳。」それがなんとも可笑しくて、みんないい笑顔になりました。
苦労して到着した山頂を後にするのは名残惜しかったですが、温泉に浸かるために早々に下山開始。チェックポイント毎に時間を確認しながらどんどん下山していきました。西沢渡では男性陣は川を渡渉しましたが、水の勢いが余り収っていないのと岩が滑り易いため、女性陣は大事をとってゴンドラで渡らせて頂きました。最後の林道歩き2時間は、長い長いと文句を言いつつも、芝沢ゲートまで会話を楽しみながら歩くことができました。Hリーダーの的確なご判断、ご指示とメンバーの協調のお陰で、当初の計画より1時間40分も早くゴールでき、飯田城温泉のトロットロのお湯に浸かって2日汗の汗を流し疲れを癒すことができました。帰り道、2時間の渋滞にハマったのは想定内。今回も充実の山行でした。Hリーダー並びにご一緒させて頂いた皆さま、そして今回体験参加してくださったTさん、ありがとうございました。
記録:M.K