【黒部峡谷下の廊下】
実施日2023年10月17日(火)~18日(水)※前夜発
参加者8名
行動記録
16日 22:00新宿西口集合~中央道経由~安曇野インター~26:00信濃大町駅駐車場到着・仮眠
17日 6:00起床~7:30扇沢関電バス~7:48黒部ダム~8:00登山開始
~11:45黒部別山谷出会~12:48白竜峡~13:45十字
峡吊橋~14:30作廊谷合流点~15:24S字峡~15:40東谷吊橋
~16:10仙人ダム~16:20関電人見平宿舎~16:49権現峠~17:15阿曽原温泉小屋・テント泊
18日 3:00起床~4:30阿曽原温泉小屋発~6:50オリオ谷~7:20大太鼓
8:00志合谷~9:00蜆谷~10:30欅平到着~10:48トロッコ列車
~12:04宇奈月温泉駅到着~12:35湯めどころ温泉~13:30食事~
14:40宇奈月温泉駐車場発~16:30小布施SA~18:00横川SA~
19:15三芳SA~20:00武蔵浦和駅・解散
山行概要
下の廊下とは旧日電歩道とよばれる。大正時代から作られた戦後の日本を支える黒部水力発電の調査道で、黒部ダムから仙人ダムまでの断崖絶壁を穿った道のりである。阿曾原温泉小屋から欅平までは水平歩道と呼ばれ標高1000m等高線に沿い「コ」の字にくり抜かれた登山道である。
山行記録
16日26時に扇沢総合案内センター付近の無料駐車場に到着。すぐにテントを設置し仮眠。17日6:00起床するとすでに明るく針ノ木岳が照らされていた。晴天である。
電気バスに乗り黒部ダムに到着、ほとんどの方が立山・室堂方面に向う。準備を整え予定時刻通りに出発。「旧日電歩道→」の案内板をみてすぐ急な下りが始まり、だいぶ下った所で黒部ダムが現れる。観光放水は2日前の15日で終了しておりひっそりとしていた。先に進むと渓谷と対岸の荒々しい断崖が見え始めいよいよ下の廊下のスタートである。右手に美しくもなかなか激しい水音を立てる渓谷を挟み切り立った断崖の対岸が現れる。それはそのまま自分達が進んでいる道がどんな所かを映し出している。Nさんを先頭に毎年整備されている木道や梯子、岩肌に張られたワイヤーを緊張しながらも感謝し、進んでいく。注意するのは足元だけではない、縦幅がなくかがまないと頭をぶつけたりザックが当たり態勢を崩すと大変危険である。黄色く色づいた山々が青空に映える、本当に天気にも恵まれこれにも感謝したい。写真撮影をたくさんしたいところだが眼と心に焼きつけ集中力を切らさぬ様にと自分に言い聞かせ歩を進めた。序盤の難関「大へつり」と呼ばれるかなりの高さの垂直梯子を慎重に上り、上った分下だる。山の上からの落水を受ける水浴びスポットも抜け、白竜峡から十字峡へ移りほどなく一つ目の吊り橋を渡る。剱岳から流れる劒沢と爺ヶ岳・鹿島槍を源とする棒小屋沢が合流する地点の上の吊り橋で峡谷は深い。この辺りはさらに足元の道幅が狭まりほぼ垂直に切り立った岩壁は下を見ても底まで見ることができない。ワイヤーを持つ手に力が入る。ここまででスタートから約2時間おきに大きい休憩を3度取る。険しいS字峡を過ぎたところで白い二つの三角の建物が山肌に現れる。「関西電力黒四発電所」の送電口でこの後に東谷吊り橋を渡り黒部川の対岸に移る。吊り橋から20分程歩き仙人ダムに到着した。ここで簡易ハーネスを外す。4年かけて完成したこのダムの中を案内に従って進むが壁から熱が放たれている。途中古い線路もあり過去にトリップした様な不思議な空間だった。ここを抜けて樹林帯に入りかなりの急登を進みまた下って阿曾原温泉小屋へようやく到着した。小屋の方が「お疲れ様」と優しく声をかけてくださって一日目を無事に歩ききった感動に思いきり浸りたいところだったが時間がかなり押していた。すでに30張程張られているテント場の水場とトイレ直ぐ近くに場所を見つけ素早くテント設営、秘境の温泉に男女順番に入り夕食を済ませて21時前に就寝。
17日テントごとにお湯を沸かし朝食を済ませ阿曾原温泉小屋から欅平に向う。雨が降ったかのように地面も草木も濡れていて、間もなく現れた沢も滑らないよう橋を渡る。切り立った断崖絶壁が見え水平歩道が始まり、今日も緊張の歩みを進めていく。晴天で周りの景色は荒々しくも息をのむほど美しい。間違いなく濡れるであろう滝の落水スポットを通過しそこから20分の所でオリオ谷を今度はトンネルで通過する。一旦樹林帯に入ったので少し長く休憩とる。ここを過ぎると水平歩道の核心部分になる。せり出した断崖をくり抜いた道が続く。せり出した道であるのに谷底は見えないほど深い。そしてよく写真がアップされている水平歩道の象徴的なスッポト大太鼓を通過。カナビラをワイヤーに通す、両手でワイヤーを掴むの危険スポットでもある。10分程進むと志合谷のトンネル通過になり石英を含んだ黒くキラキラと光る岩壁と水浸しの道をヘッドライトを点け進む。5~7分ぐらいなのにとても長く感じる。水平歩道も終盤に入り進んでいくと右手に冠雪した白馬岳方面の山々が見え始める。青い空と秘境の三段紅葉はその場から離れがたいものだった。赤い鉄塔が見えだいぶ下ったところで欅平に無事に到着。山行は終了を迎えた。古澤代表の指示通りNさんが素早くトロッコ列車チケット手配を済ませてくださり、インバウンド混雑を回避して宇奈月温泉に到着。古澤代表が車を扇沢から宇奈月温泉駅駐車場に回送手配をしてくださっていたので温泉に入り、名物白海老かき揚げの食事もし、お土産物も買えて夜には武蔵浦和駅に予定時間通りに到着した。
今回の山行の前日、とても残念なことに下の廊下ではガイド付きツアー参加の方が1名命を落としている。以前救助活動の仕事をされていた阿曾原温泉小屋の御主人のブログは下の廊下のためだけではなく、今後も気を引き締めて山行に臨むために拝読したいと思った。
ペースメーカーからいろんな手配を引き受けてくださったNさん、重い共同装備を2日間担いでくださった皆様、2日間の無事とスムーズさ担ってくださいました古澤代表、本当にありがとうございました。とても素晴らしい山行でした。
記録 R.N