八ヶ岳小同心クラック登攀

 

2022年9月日3(土)~4日(日)

参加者3名

 

【行動記録】

9/3 雨曇り 10:00新宿西口集合→小淵沢IC→14:00美濃戸赤岳山荘

   14:20出発→北沢コース→16:00赤岳鉱泉 小屋泊▲

9/4 晴れ曇り4:00起床→4:40出発→6:40小同心取付き11:40横岳12:00→12:50硫黄岳

→14:00赤岳鉱泉15:10美濃戸赤岳山荘→鹿の湯経由→新宿20:30

 

  週末は全国的に雨の予報であったため当初予定していた北鎌尾根は中止となった。週末が近づくにつれ日曜日の天気が回復したため、以前雨天中止となっていた小同心クラックを急遽企画した。予報では土曜日は雨、日曜日は晴れのち昼過ぎから雨の予報であった。山行計画もそれに合わせて土曜日に赤岳鉱泉に宿を取り、日曜日の早朝に出発し午前中には登攀を終了させて一般道に入る作戦をとった。

  中央道の渋滞を抜け赤岳山荘前の悪路に冷や汗をかきながら美濃戸に到着。予報通り天気は雨で雨具を装着して出発したが30分ほどで雨は止んだ。赤岳鉱泉にはテント泊で何度か来ているが初めての小屋泊。内装、トイレは綺麗であり風呂にも入れる。夕食にはステーキとお代わり自由のポトフ、デザートまで出てきて山小屋というよりペンションに近い印象だ。翌日に備えて早めの就寝。

日曜日は4:00起きのため朝食は弁当にした。豚の脂身のたっぷり入ったちまきを2つ腹に押し込んで出発。ヘッデンの灯りを頼りに大同心沢入口を進む。バリエーションルートのためトレースが薄い、しばらく沢通しを進むが尾根に出ないところで踏み外しに気が付き尾根を目指して藪の中を直登しルートに戻る。次第に日が登り天気は快晴、遠くには槍・穂高、近くに赤岳、阿弥陀岳、硫黄岳、眼前に大同心、小同心と全て見渡す。大同心雲陵の取り付きを過ぎて大同心ルンゼから小同心の切り立った基部をトラバースすると広々とした取り付きに出る。先行の2パーティ4人が登攀の準備をしている。山岳会で来ているらしくF代表と共通の知人など話が合っていた、山岳の世界は狭いようだ‥。2人ずつの先行2パーティ目が1ピッチ目の終了テラスに登るまで暫く待機する。リードは初めての女性らしい。自分たちのパーティもクライミングシューズを履きロープのチェック等の準備を済ませ登攀を開始する。今回はマルチピッチ(ロープ1本分の長さの登攀を複数回連続しての登攀)をダブルロープ(今回はシングル用の9.5mmと9.2mmを使用)で臨む。リードを仰せつかりI先輩にビレイをお願いする。お互いにロープの結び、安環の締め、装備の装着などをチェックして登攀開始。ガバのホールドが多く浮石も少なく快適に登れるが垂直のため慎重に一手一手確認しながら登る。1ピッチ目は中間ビレーを3点ほど、黄色のロープ、赤のロープと交互に取っていく。終了のテラス間近で先行パーティが溜まっていて進めない。どうも初リードの方がてこずっているらしく檄が飛んでいる。岩の隙間に身を隠しジーっと待つ。セミの状態になったらしい・・上空の青空から下部の取り付き下まで絶壁を覗くと100mはあろうか?突き抜ける絶景に見惚れる。何もやることが無い贅沢な時間だと堪能していたがかれこれ30分?40分?1時間?さすがに辛い、寒い、足場も両手も不安定なためザックから防寒着も出せない。食料をポケットに忍ばせておくんだったと後悔。先行パーティがやっと抜けテラスが空いたところで早速アンカーで支点を作りダブルロープでI先輩、F代表の順にそれぞれ登攀し順調に合流。後でわかったがこの3人立てるのがやっとの狭いテラスの直ぐ先に広いテラスがありそこで1ピッチを切るのが正解。距離が伸びた分ロープの屈曲が増え抵抗が増して先行パーティは苦戦していたのかと想像する。実際核心部の2ピッチ目は同じ過ちをしたため2ピッチ目の終了近くでは全力でロープを手繰らなければならず苦戦した・・。2ピッチ目は高度感のある岩の背から始まり快適なチムニーを登ったところで終了。3ピッチ目は右手の快適な岩場から行きたくなるが左手の狭所から体を挟まれながら行くのが小同心の頭頂部に直登出来るので正解。小同心頭頂部から横岳にかけては直登ルートと巻道から登山道経由ルートがあるが直登ルートを選択。横岳基部まで移動し再度ロープを張る。距離も難易度も左程でもないのでシングルロープで固定を貼りアッセンダーでの登攀とムンターでの引き上げで終了、固く握手を交わす。横岳の山頂は登山者が数組居て好奇の目を注がれるのも心地よく感じたりする。ここまで小屋を出て待機を含め7時間、飲まず食わずに喉の渇きで気が付き昼食を摂る。恒例の記念撮影を済ませると、ここからは下山時刻との競争で一気に駆け降りる。硫黄岳の山頂もスルー、全力での下山であったがI先輩は余裕で背後に着けてくる・・さすが先輩、恐ろしいスピードだ・・予定よりかなり早めに美濃戸口につき恒例の鹿の湯経由で帰途に着くがいつも通りの渋滞のため20:30新宿到着。今年の課題の一つを消化できた有意義な山行となった。

                                記録 S・h