晩夏の笠ヶ岳
日時:2022年8月27日(土)~28日(日)
参加者:4名
天候:雨時々曇
【行動記録】
8月26日
新宿22:00→中央道→談合坂SA→新穂高無料駐車場2:00
8月28日
新穂高無料駐車場14:00→14:10ひがくの湯15:00→中央道→談合坂SA→20:40新宿
【山行記録】
8/27(土) 1日目
早朝4:30に起床、準備をし、5:00に登山開始。準備をし始めた頃には、空に星が見えていたが、出発する頃には、雲に覆われていた。
林道を1時間ほど歩き、笠新道の登山口へ。ここからが本番だ。下調べ通り、のっけから急登の登りだ。時折晴れ間があるものの、全体的にガスっててご自慢の眺望は絶望的だ。少しして、雨が降り始め、レインを着て再スタート。雨の中黙々と急登を登って行く。途中、足を攣るというハプニングがあったが、皆の優しさに背中を押され、頑張ろうという気持ちになる。だが、まだまだ急登は続く。やがて「疲れた」「キツい」「辛い」という感情、感覚が麻痺し、ただただ一心不乱に一歩一歩、足を置く石だけ見ながら歩を進める。そして、ようやくテント場へ到着。パッパッとテントを設営し、山頂アタックの為にひとまず山小屋へ。
山小屋に入るとストーブが点いていて暖かい。周りの登山者の話を聞いていると、今日はずっと雨らしい。天候の回復が見込めないことと、これまでの疲れがあったので、山頂へは明朝アタックすることに。
そうと決まれば、お疲れ様会。牛丼を食し、ビールで乾杯。近くにいた登山者さん達と、プチ宴会が始まった。我々4人と男性ソロ2名と女性の2人組、計8人で山談義に花を咲かせた。聞けば登山を初めてから1年半で百名山88座登頂された方や山岳会に所属していないのに、ほぼ毎週登られてる方など、山の猛者ばかり。我々が山岳会の山行で来た。と言うと、みんな一様に驚かれる。どうやら、山岳会会員には見られないらしい。まだまだだな。その後、リーダーが、雪山、アルパインクライミング、沢登り、など会の活動内容の話をしたり、一年間にほぼ毎週2回の山行があることや、これまでの活動記録の話をしていると、千葉から来たという男性がフレスコに興味を持っていただけた。HPのURLを教えておいたので、後日連絡があるかもしれません。代表、その際はよろしくお願いします。山小屋での夕食が終わったタイミングで、プチ宴会もお開きにし、それぞれのテントへ。テント内で夕食を済ませ、20:30就寝。
8/27(日) 2日目
夜半すぎから、風が強まりテントを揺らす。雨も降り出しテントを叩く。こんな天候の中、あの急登を無事に下山できるのか。不安が段々と募り、パニックになりかける。眠れそうにもないが、何とか気を落ち着かせ、目を閉じる。
3:30に起床し、朝食とパッキングを済ませ、4:50山小屋へ向けて出発。この時間設定にしたのは、ご来光を見るためだが、昨日以上にガスっており、ご来光は拝めそうにない。山小屋に着き、準備を整えている間に雨になったが、アタック開始。ものの15分で山頂到着。雨が降っているので、記念写真だけ撮って早々とテント場へと引き返す。テントを撤収して、下山開始。んー、食料や水が減っている分、ザックの中身は軽くなっているはずなのに、雨水を吸ってより重くなっている。ゴミ袋に入れて対策はしていたんだが、上手くはいかないものだ。
山頂あるあるだが、しばらく歩いてると、雨が上がり視界も開けて来た。左へ視線を向ければ、双六や黒部五郎が見える。振り返れば、笠ヶ岳への稜線がハッキリと見える。先程まで、悪天候のせいで全くいい思い出がない山行だったが、少しでも景色が見れてテンションが上がる。抜戸岩を過ぎ笠新道へ入ると、正面から左側へかけて、穂高、槍の大展望が姿を表す。すっごいすごい!西穂からジャンダルムから奥穂、涸沢、北穂、大キレット、南、中から槍まで、ぜ~んぶ見える。圧巻の風景にテンションを爆上がりだ。ガスガスの中でかこれだけの景色なのだから、晴れていれば、さぞ素晴らしい眺めなんだろう。んっ?槍さまがいつもと違う。天を突き刺す三角形の堂々とした山容とは、だいぶ違う。小槍と並んで、何だかひょろっとしてる。まるでサボテンみたいだ。そうだ、ここから見える槍さまを「サボテン槍」と名付けよう。
急登の下りに入る前に間ノ岳に向けて、先月、西穂間ノ岳間で亡くなられた、前代表のご冥福を祈り、手を合わせた。
お花畑を過ぎハイマツの下りで、雷鳥さんがお見送りをしてくれて、本格的な急登の下りの始まりだ。予想通りに石や岩が濡れていて滑る。怖い。土がぬかるんでいて滑る。怖い。昨夜の不安が的中しないように、一歩一歩慎重に下る。それでも途中、何回かすっ転んで、体のあちこちに、打ち身や擦り傷がたくさんだ。雨の登山は、眺望も良くないし、ザックは濡れて重くなりし、滑るし転ぶし、難易度が格段に高くなるし、いい事なんて一つもない。もう二度と雨の登山はしない。と負の感情が心と頭の中で広がっていく。やっとの思いで林道まで戻ってきた。緊張感が解け、疲れがどっと押し寄せてくる。達成感なんて上品な感情では無く、やってやったぞ!やり切ったぞ!という感情で胸の中がいっぱいだ。駐車場までの道中で思う。悪天候での長時間の急登の登り下りの笠新道は、今の自分の力量を試すのにちょうどいいコースだったのではないかと。結論から言えば、体力、技量共にまだまだだ。もっともっと経験値をつまなければ。だが、今回はすごく頑張ったので、家に着いたら、自分へのご褒美として、いつもより少し高級なビールを飲もう。
記録 TK