八ヶ岳 大同心ルンゼ

2022年6月11日夜発〜12日(日)

参加者:10名

 

山行記録・コースタイム

6月11日 22:00新宿集合・出発 → 1:00 道の駅「こぶちざわ」泊

6月12日 4:00起床 → 5:00赤岳山荘駐車場 → 5:40 登山開始 → 7:30 赤岳鉱泉

→ 7:50赤岳鉱泉発 → 9:15 大同心下(ハーネス装着)9:30発 → 11:50 チムニー上

→ 12:20 横岳山頂(ランチ)12:45発 → 13:50 地蔵分岐(休憩)14:00発 → 14:45行者小屋(休憩)15:00発 → 17:10駐車場着

 

今回はロープワークなど訓練してきたことをアルパイン登攀として実践。天候と相談しながら、ルートを見直し、梅雨の合間に快晴の絶景登山となった。

 

雨の新宿から小淵沢ICまで、全力で雨を掻き分けるワイパーの前方にはガスのかかった悪天候。車中泊組、屋根下に張ったテント組に分かれ、天気の回復を望みながら道の駅で仮眠。朝4時。え?小雨?今日はレインが欠かせないのか?と道の駅を後にする。バス停のある八ヶ岳山荘から赤岳山荘までの道のりは、徒歩で約1時間。一般車両は入るなとばかりの悪路だか、車で移動できるのはありがたい。赤岳山荘駐車場では、忘れずに駐車料金の回収に来るご婦人に感心しながら準備と朝食。出発前に阿弥陀岳が顔を出す。雨の心配がなくなり、ワクワクとドキドキが入り混じるなかワクワクが勝るスタート。赤岳鉱泉までは、北沢のゆったりしたコース。昨日の大雨で水量はかなり多いが、鳥の鳴き声と川の流れをBGMに心地良い道のり。赤岳鉱泉で栄養補給とヘルメットの準備。

大同心ルンゼ、大同心と小同心の合間の急峻な谷(ルンゼ)だ。今までの練習を実践する場。鉱泉からは地図にない急な山道を登る。早朝8:00にヘリコプターの音。荷上げ?…荷物がない。救助?大同心を前に緊張感が増し、気を引き締める良いきっかけとなる。大同心の真下でひとつ目のロープワーク。Hリーダーがロープを張り、まずは大同心を右に巻いて進む。固定ロープビレイは、メンバーが同時にトラバース移動できるため時間を節約できる。続けて50mロープを使って2ピッチでルンゼを登る。3点確保!各自の進路を自分で感じながら安全確保を確実にして進む。ロープスリングをプルージック結びで使うのも良いが、やはり勝手についてきてくれるアッセンダーが欲しくなる。F氏とH氏の張ってくれたロープがあるだけで、安心、安全に登ることができる。実践を重ねることで、さらに登山は楽しめる。チムニー(チムチムニー、チムチムニー、チムチムチェリーと頭を昔歌った唄が流れる)を登ると横岳奥の院に続く一般登山道が見えてくる。当初、硫黄岳→赤岳鉱泉→駐車場の予定を大同心の懸垂下降にする案も出たが、皆の体力と天候、時間を考え、Fリーダーが地蔵の頭からの下山が好ましいと判断してくれた。快晴。赤岳、阿弥陀岳を前に地蔵の頭を目指す。ふと脇道に目をやると、ここ横岳にこの時期来ないと見られないツクモグサ。富士山こそ見えなかったが、予想以上の天気にメンバーの満足度は高まる。脚や体の疲れも出てきているがこの天気がザックを持ち上げてくれる。

再会。地蔵の頭からはひたすら降り。降り始めてまもなくメンバーから大きな喜びの声。再会の相手は片方だけの手袋。1月の赤岳山行の際にHリーダーがラッセルをしていて紛失したインナー手袋。雪解けとともに同じ場所で待っていてくれたようだった。「きっと冬にお地蔵さんの雪を払ってあげて、今回は頭をなぜて来たから、再会できたんだ」そういうHリーダーの言葉が疲れた脚を僅かながら癒してくれる。温かいお話だ。宝くじを買ったら頭を撫でにいこうなんて大人の汚れた発想は閉まっておこう。それにしても片方になった手袋を捨てずに取っておいたこと。天候などからコースが変更になったこと。他の登山者が手袋を移動しなかったこと。様々な条件が重なっての再会。帰宅後に両手で再会を喜んでいるH氏の姿が思い浮かぶ。行者小屋で登山アイテムを楽しんで、続けて下山。全行程で約11時間の山行はやはりメンバーの体調や脚にダメージを与えたが、その都度リーダーが判断し、サポートが的確に行われる。赤岳山荘駐車場に到着。全員無事に下山できた喜び。これがまた登りたいという気持ちにつながる。個人的にも好きな八ヶ岳。今回は違った顔を見せてくれた。

下山後、地蔵にて滑落があったとニュースで知った。これからも楽しく永く登山を続けたい。それには安全に登ることが大切。これからも練習と実践を繰り返して、安全な登山をしていきたいと改めて考えさせられる。そして今回も安全登山をサポートしてくださった皆さんに感謝。

 

文責 S・A