雪の奥大日岳
2022年5月4日
午前中、立山雄山に登頂し、一乗越で真砂岳迄縦走する3名と別れ雷鳥沢のベースキャンプに戻る。
11時過ぎにベースキャンプに戻る。天気が良いので、怪我をしたKと体調を崩したⅠを残し、室堂乗越経由で奥大日岳に向かうグループを募る。
山頂までF代表がリーダーで纏める。
室堂乗越まで景色を楽しむハイキングに参加する人、登頂を目指す人とに分かれることになり、奥大日組はF代表と共に向かう。
12時過ぎ、食事と準備をすませて雷鳥沢キャンプ場を出発。
真っ白な雪の奥大日に向かうので、ここは真っ白な雷鳥に会えるのでは?と軽快なおしゃべりをしながら進んでいく。
周囲はどこを取っても美しい残雪の山々、右手に剱岳の頭が少し見えてきて感激した。
30分程で室堂乗越に到着すると目の前に大きな剱岳が現れて記念撮影をした。
ゆっくりと景色を楽しんで行動食をとってから、2人がここからベースキャンプへと向かう。
奥大日へは乗越から見える山を2つ越えた先、と言われて長い道のりだなぁと感じた。けれど進むほどに登るほどに眺望が広がり、やがて初日に見た「雪の回廊」のバスのグネグネ道が全て見えた。なんという高い場所に自分は立っているんだろう。
F代表による山のレクチャーを聞きながら贅沢な時間である。代表は何度も登っているがこの天気と眺望は過去イチではないかと話された(リップサービスではないと思う!)。
片側が切れ落ちたトラバースの連続だが慎重に進み、やがて奥大日へのビクトリーロードへ。右手の剱岳がひと足ごとにその姿を表してくるあの感動、鳥肌が立った。
山頂に着くと目の前に大きな剱岳の全容が現れて皆んなで雄叫びをあげてしまった。
たっぷりと360度山頂からの眺望を味わって14:20下山開始。
Tが遅れだした。午前中に雄山ピストンしたあとの200名山なのだから簡単なはずはない。
シャリバテと貧血症状が現れ動けなくなったTにF代表が伴うことになり、残りの5名は先に下山の指示。KにTのザックを担ぐように指示する。
この日は天気も良かったためトラバースの雪の状況はさらに悪く、ひとたびアイゼンワークを間違えたらどこまで滑り落ちるだろうという長い斜面を緊張を持って歩く。
先頭はH、Kは遅れがちのTを終始フォローしてくれた。2人の男性会員のお陰で比
較的順調だった。私は安心してペースを保持して下山できた。代表の指示により5人は先にベースに戻る行動に。
歩が止まってしまったTは、代表の指示により、普通の人なら慌ててレスキューを呼ぶようなシーンにも関わらず、冷静に行動している。牛歩のごとくゆつっくりと歩く。通常の2倍以上の時間が経過する。
苦しそうな姿を見ていたから思わず涙がこぼれた。途中雪面トラバースでしゃがみ込むTに谷側に転落しないように代表は谷側に廻りTの身体を確保する。このようなことを何度が繰り返しながらTの安全を確保する。一つのピークを乗り越え、このままのペースでは日没を迎えてしまう為、ベースキャンプに電話をしたら繋がったのでテルモスに甘いミルクティを詰め、併せてヘッドランプの予備を1個別山乗越迄元気な男性がいたらさぼーつするように指示する。しかし、雷鳥荘に出かけたとの連絡でМにサポートで登って来るように指示する。Tに必要な物を届けるために室堂乗越までの同じ道を再度登り返してくれたMちゃん、その姿を見て既に涙腺がユルユルになっていたから仕方ない。室堂乗越に5時20分到着。下からМが上がっ繰る姿を見てコールを扱ける。双方が確認し合流し直ぐに暖かい物を補給しやわらかいパンわ流動食にして飲み込ます。漢方薬を飲ませ、少し休憩したら体調が復活してきた。Tは緊張感から解放され涙゛か止まらない。仲間の友情が心底感じたのであろう。
ペースが少し上がり日没ギリギリ6時過ぎにベースに到着する。
全員元気にベースキャンプに揃い、テント毎に夕食の時間を迎え長い1日が終わる。
様々な出来事のあった1日だったが、メンバーが皆そろって眠りの床につくことができた。その胸には美しい雪山の景色とそれぞれの満足感があったと私は思う。それだけで幸せすぎることだ。
今回もありがとうございました。
全てが皆さんのおかげです。
記録 S・A