【紅葉の北穂高東稜登攀】
日時:2022年10月8日(土)~10日(月)
参加者:7名
10/7 (金)新宿駅22:00→松本インター→沢渡駐車場着1:10(仮眠)▲
10/8 (土)沢渡5:30→(タクシー)→上高地バスターミナル6:20→涸沢テント場13:15▲
10/9 (日)5:30→東陵経由→北穂高岳小屋11:10→北穂高岳12:05→涸沢テン場14:00→横尾キャンプ場16:45▲
10/10(月)5:35→上高地バスターミナル7:50→(タクシー)→沢渡駐車場8:50→温泉経由→新宿駅西口解散15:15
【山行記録】
10/7夜行発、仮眠時間が少なめの為移動中少しでも眠れたら明日が楽になるな。いつもなら興奮して暫く寝つけないのだが有難くもヒーターのスイッチがオンされると体がポカポカつい寝入ってしまう。その後目が覚めたらいきなり沢渡駐車場。いくらなんでも寝すぎじゃないか。運転もしない身分でぐっすり熟睡してしまったようだ。
5時半、沢渡からタクシーにて上高地バスターミナルへ。この連休中雨予報も出ていたがのっけから沢山の人に圧倒された。そりゃ涸沢カールと言えば有名な紅葉スポット。今まさに見頃を迎える。雨の紅葉も十分神秘的だしそれだけでもビッグイベント。先日の初雪がルート上にもたらす影響など心配されたが、アタック決行でも中止でも、この時期紅葉を見られるだけでもう幸せと思った。
本谷橋から先はやや急な登り。14キロの重い荷物が肩にのしかかる。涸沢に近づくほど登山客で賑わいを増しテン場の方向はあっちか?こっちか?と、到着が待ち遠しい。徐々に木々が無くなっていくと、色づいた涸沢カールが視界いっぱいに広がる。うわぁ既にテントの多さと言ったらもう。すると男性陣の姿がだんだん遠く先の方に、見えなくなっていった。まさか、まさか。嫌らしい期待と共にゆ~っくり歩を進め程なくすると、遠くからHリーダーらしき男性が「こっちだよ」と合図してきた。涸沢の紅葉は全体的に黄色いダケカンバに真っ赤に彩るナナカマドの実がアクセントとなりお美しい。そして私達のテントはそのナナカマドで染まる真っ赤なエリアに立てられていた(感激)
ヒュッテのデッキは噂どおり長蛇の列が出来ていた。きっと名物のビール&おでんセットで並ぶ人たちだ。自分もおでんにそそられたが流石にこの列に並ぶ気はない。7月に食べておいてよかった。フレスコチームは自前のカップ麺で冷えた体を温めアルコール類は列を避けるべく自販で購入。穂高の山々に囲まれ乾杯~♬その後、テン場に戻り超絶景の講習会。テントの張り方や懸垂下降での支点の取り方、またビナ通しと安環チェックなどなど。こんな贅沢な青空教室はかつてあっただろうか。そしてF代表よりアタック決行との最終決定がされた。
この夜も、いつもなら興奮して暫く寝つけないのだがシュラフに入った途端ゴツゴツ石のテン場でもぐっすり熟睡する事ができた。
10/8
アタック当日は4時起床。午後から雪/みぞれ予報が出ていた為、早めの下山を目指し出発。涸沢小屋の右手から登山道に入る。薄暗い道は空が色づき始めモルゲンロートに染まる前穂高北尾根や奥穂高は圧巻。F代表のガイドにより振り返って屏風岩のコル、左前方にザイテングラート。雄大な景色を堪能しつつゆっくりペースで南稜と東稜の分岐まで進む。当然バリエーションなので案内標識はなく(←^^;)落石に注意しながら北穂沢のガレ場を右に、中央の大岩(モレーン)付近まで進んだ。そこで小休止しハーネス類装着。
ガレガレのトラバースは神経をつかう。右のY字ルンゼ右股に入り直ぐ左側の草付き斜面に沿って上部へ。浮石、浮岩だらけでカラン、カランの音が鳴り響く。稜線に出て、注意していても「ラーク、ラーク」すると通称「ゴジラの背」と呼ばれるギザギザのナイフリッジが見えた。F代表監修の元、リードのHリーダー、G氏はビレイ初挑戦。ロープが張られるとビナ通しで進むよう指示される。他男性K氏、S氏からも沢山のサポートを受け無事にゴジラの背中を通過。最後の懸垂下降部分はクライムダウンでも可能との事だが確保支点もあり懸垂下降にて。出だしがめちゃめちゃ怖かったが。。。本当の難所は個人的にその先のガレとザレのアプローチ。頼れるのは簡単にチギレそうな枯れ草と、ハイマツ帯ならぬコケ?!神にもすがる思いで進むしかない。えっ、ゴロン、ゴロン、いきなり巨大物体が転がってきた。岩か?ザックか?Hリーダーだ。一瞬何が起きたか分からなかったが、咄嗟にIさんが左太腿を伸ばしその下の岩と二段階で食い止めた(素晴らしい反射神経><)ふ~。ホント何が起きてもおかしくない、そういう場所だった。
やっとの思いで山荘に辿り着くとお決まりのグータッチ。「やった~!!」大キレットや槍ヶ岳の眺望もなんて感動的なんだ。限られた休憩時間の中、楽しみにしていた至福のコーヒーを注文。ここで飲む山荘のドリップコーヒーは温かくて心がホッコリする味だ。あっと言う間の10分が終わり、南稜ルートへ、ついにみぞれが降り出した。
そのあと横尾までずっと雨。ビチョビチョのテント内はやっぱりカオスだったが下山後のご褒美一杯も格別なものだった。最終日の夜も雨のBGMでぐっすり眠れた。
今回もF代表をはじめ、ご一緒したメンバーの皆さんに心より感謝いたします。大変奥深い山行となりました。
北アルプスの山はめっきり寒くなり冬の到来を感じます。雨で体が冷えたせいか余計に夏山の終わりを告げられたような…。これからも季節に富んだ山を楽しんでいきたいです。
<記録MM>