奥穂高岳~西穂高岳縦走:ジャンダルム経由
2022.10月1日(土)~2日日
参加者6名
【行動記録】
9/30 新宿22:00発→松本インター→新穂高駐車場(仮眠)2:20
10/1 新穂高駐車場5:20→穂高平小屋6:20→白出沢→穂高岳山荘13:00着(泊)
10/2 穂高岳山荘4:40→奥穂高岳5:20→馬の背5:50→ロバの耳6:15
→ジャンダルム6:30→天狗のコル8:30→天狗岩8:45→間ノ岳9:30
→西穂高岳11:07→西穂山荘13:00→西穂高ロープウェイ14:10→新宿22:20解散
「ジャンダルム」
ジャンダルム(Gendarme)は,飛騨山脈(北アルプス)穂高連峰・奥穂高岳の西南西にあるドーム型の岩綾。標高は3,163m。
名称はスイス・アルプス山脈のアイガーにある垂直の絶壁(高さ約200m)の通称に由来するが,本来はフランス語で国家憲兵のこと。転じて山岳用語としては,尾根上の通行の邪魔をする岩をいう。奥穂高のジャンダルムは奥穂高岳の前衛峰として名付けられた。
引用:Wikipedia
ジャンダルムの天使は本当にいた。
10月1日早朝。都心の気温と比べると,10℃近く気温が下がる。新穂高駐車場に張ったテントを片付け出発の準備を始める。気持ちがはやる。
新穂高ロープウェイ乗り場を横目に歩き始め,林道を1時間程度歩く。白出沢出合から,林間を登ると,沢の音が聞こえた来た。振り返ると笠ヶ岳の雄々しい全景が見える。雄大だ。
重太郎橋が見えてきた。橋の先は,岩綾帯が続く。Hリーダーの指示で,ここから簡易ハーネスを装着し,危険な箇所は各自ビレイを取るように指示が出る。
鎖のトラバースや鉄ハシゴを経て,荷継沢に到着。ここで休憩。先に見えるのは,長い長いがれ場地帯。ここから,一気に穂高岳山荘へ向けて高度を上げていく。
足場はガレガレでとても歩きにくい。とにかく,足を乗せた岩が,ゴロリと動き,細かな石がカラカラ下に落ちる。両側は切り立った岩壁になっていて,石の転がる音が響く。右側に見えるのは,明日歩く稜線だろうか。「あれはジャンか?」「あれはロバの耳か?」と話し,心が躍る。
先に穂高岳山荘の石積みが見えてきた。「あれは,小屋か?!」期待を込めて,つぶやく。一歩一歩,ゆっくりだが,確実に山荘へ近づく。
13:00 1日目の目的地である穂高岳山荘へ到着する。一同グータッチをしながら,辛かった登りをねぎらう。
小屋へ入り,受付を済ませ,荷物の整理をした。昼食は,山荘の食事をいただく。1000円の坦々麺が,体に染みる。山で食べるものは,平地の10倍美味しく感じる。
時間があるので,山荘近くにある涸沢岳へ空身で登る。30分程で登頂。山頂からの眺望はガスがかかっているので,しばらく待機する。
北穂高方面から,歩いてきた年配の女性から「穂高岳山荘はどこですか?」と訊かれる。話をすると,なんと槍ヶ岳からここまで縦走してきたそう。60歳から山をはじめて御歳70,すでに穂高連峰は制覇し,我々が明日行く西穂高〜奥穂高の縦走路も踏破しているとのこと。驚かされると同時に勇気づけられる。自分も頑張ろうと。
小屋へ戻り,ゆっくりしていると小屋の外で,何やら人だかりができている。ブロッケン現象だ。太陽の光が背後から差し込んで,自分の影の周りに色のついた光の輪が現れる現象である。播隆上人が1828年10月に槍ヶ岳に初登攀した時に,このブロッケン現象が現れ,あまりの尊さに感涙したとの話が残っている。まさに後光がさしたように見える現象で,神秘的であった。
10月2日 4:40穂高岳山荘を出発する。まだ暗い。ヘッドランプをつけて奥穂高岳へ登りはじめる。三点支持で一歩一歩確実に登っていく。ふっと左側を見ると,遠くに見える雲が紅く染まり始めていた。
5:20奥穂高岳登頂。さすがは,標高が日本で三番目の山である。北アルプスの山々が一望できる。遠くには富士山を見ることができる。ちょうど日がのぼり始めた。絶景だ。ふりかえるとジャンダルムがモルゲンロートでオレンジ色に染まっていた。なんて綺麗で雄大なんだろうと感動してしまう。もう,心も体もジャンダルムに向かっていた。
奥穂高岳から程なくして歩いた場所に設置されている看板には,こう書かれていた。
「一般登山道ではありません。経験者むけの難ルートです。重大な遭難事故が発生しています。」
フレスコに入る前の自分なら,確実に引き返していただろう。でも今は,共に山を登る仲間がいる。さあ行こう。
1つ目の核心部。馬の背。先行パーティーの様子を見ると苦戦をしているようだ。事前の打ち合わせでは,ここで補助ロープを使うはずだった。しかし,Hリーダーの判断で,テープスリングの手がかりだけで行くことに。ステップやホールドも十分にあり,確実に足を運べば大丈夫。通過した後「ここがあの馬の背?YouTubeで見るほどではないな」と一同の感想。
続いて,2つ目の核心部。ロバの耳。岩の壁を登ったり,トラバースしたりと,いやらしい場所だ。隊列を組み,先行者が「ここのステップを使って」「ホールドはここのを使うと良い」等のアドバイスをする。信頼できる仲間と登る安心感が,難所の不安を軽減してくれる。
そして,ジャンダルムの取り付きに到着。遠くに見ていたジャンダルムが目の前にあらわれる。一度,左側をトラバースし,登り口まで移動する。登り口の道を見つけたので,登りはじめるが先行しているHリーダーとSさんが「ここは,道が悪すぎる。この道ではないかもしれない」と判断した。最後尾にいたMさんが,来た道を下り,さらにトラバース道を見つける。すると,鎖や「←ジャン」とペンキで書かれた目印も発見した。こっちが正しい道だったのだ。
はじめに登った道は,間違えやすい。多くの人がおそらく間違えるだろう。登り口に「×」を書いてくれないかと思ってしまう。
最後の登り。ジャンダルムの頂上を目指して登る。今までそうしてきたように,三点支持で確実に一歩一歩,登る。
6:32ジャンダルムに登頂。
「よっしゃ!ジャンダルムに来た!」思わず声が出た。
目の前には,小さな天使が飛んでいた。その天使の後方には,槍ヶ岳,そして奥穂高岳。北アルプスの雄々しい山々が連なっている。
あぁ,やっぱり,ジャンダルムには,本当に天使がいたんだなぁ。
ジャンダルムから,西穂高岳へ向けて縦走をしたが,途中の「天狗岩」や「間ノ岳」への道の方
が,いやらしさを感じた。人があまり通っていないのが理由かもしれない。
今回の山行は,山小屋1泊2日の行程だった。ロープウェイの最終時刻に間に合うかが,心
配だった。結果的にはロープウェイ最終時刻の2時間前には,到着した。本当にホッとした。
次の日,仕事だったので。。ロープウェイ等の時間が決められていると,不安要素が増えてし
まう。下山でHリーダーが「0.5のペースで行きましょうかとペースを上げていた。最近,下山の
ペースを上げるのが流行りなのかもしれない。笑
文責:G A