笛吹川東俣釜の沢

2022年7月23日(土)~7月24日(日)

参加者5名

【行動記録】

7月22日(金)  22:00新宿集合→勝沼インター経由→0:00道の駅みとみ▲

7月23日(土) 道の駅みとみ5:00→西沢渓谷駐車場5:20→登山開始5:30→山の神8:30→釜の沢出合11:00→両門の滝13:20→広河原14:00▲

7月24日(日) ▲6:00→ポンプ小屋9:40→甲武信小屋9:50→甲武信ケ岳10:10→西沢渓谷駐車場15:00→はやぶさ温泉15:30(16:30)→新宿駅:20:00

 

「沢登りは、登山とはまったく違うリスクがありますよ。」

沢登りは、初めてなので、沢登り用のギア一式を購入するのにあたり、

販売店の方から、アドバイスをいただいた。

沢用のスパッツの必要性を聞いたのだ。

「岩場のヌメリで、スネを打つ、足の皿から落ちる。痛みで、沢の真ん中で身動きできなくなり、仲間に背負ってもらい、、、。」

など。

あぁ商売上手だ。。。言われるがまま沢用ギアを買ってしまう。。

登山を始めてこの7月でちょうど1年だ。道具でいうと、

冬山の一式とアルパインと、今回の沢登りで四季を1巡したところか。

計画表を見ると、遡行の2/3の地点でテン泊しての22キロ17時間。

2日かけての笛吹川東俣の遡行+甲武信ケ岳登山の山行である。

沢登りのテン泊と登山となると、以下の組み合わせだ。

①沢登り(沢シューズ/スパッツ/着替え)

②アルパイン(ハーネス/カラビナ/スリング)

③登山(シューズ/ストック/雨具/ダウン)

④テン泊(エアーマット/食事2/共同装備)

ザックが、ずしりと重い。

15キロ近い。以上か?

これで、バリエーション且つ、岩登り、アルパインとなると、

相当、馬力を使うだろう。

登山開始から、山の神の入渓までは、笛吹川に沿って3時間だ。

それは、ゴーロであったり、靴を脱いでの渡渉であったりした。

もう、登山靴もずぶ濡れだ。

いっそう、奥に深い釜を持つ、美しい渓谷景観。ホラ貝のゴルジュだ。

エメラルドグリーンの水面が太陽の光りで美しい。

我々は、高巻いて上流側に向かう。

沢登りは、バリエーション&ロープワークである。

さらに、活動期間も7月~9月のみでそもそも登山者も少なく

踏跡も少なく、基本的に道も整備されていない。

先頭をいく、H木リーダーが5Mぐらいの、壁面をホラ貝のゴルジュの上流側にロープで降りようとしている。

高巻きの崖から設置してあるトラロープを手に、腕の力のみで、ズズと降りていく。

体重と、ザックの重さで80キロか?大丈夫だろうか?

「あっ」

H木リーダーが、音もなく消えた。

壁面と岩の溝に、そのままの体勢で、すっと、川に落ちた!と分かるのにも時間がかかった。

ロープが切れた。

H木リーダーの体幹の良さで、幸い怪我は、なかった。満点の着地だ。10点!

F代表の指導で、H木リーダの所持していたロープにカラビナを付け、

高巻きの足場にあった鉄フックで折り返し、まずは、高巻きに残された4人の

ザックのみを先に降ろした。身ひとつになったところで、次々4人が降りた。

 

山ノ神から入渓。途中で見えるナメ滝などはいずれも立派で美しい。

何度も渡渉や、東西ナメの沢を渡り、時にはドボンしながら水流に抗い、

を繰り返しながら遡上し釜ノ沢へ入った。ハネースとヘルメットを着用。さらに気を引き締める。

魚留ノ滝では、滝をまく、直壁7M先にピンクテープがある。

ナメの壁面に、リードのH木さんが、果敢に挑むも。登り切れない。

私の沢シューズもフェルトだが、フラットな靴底に乾いた岩の直登や泥土の急斜面がめちゃくちゃ、スベルのだ。

もう、10M下流に降りて再トライ。トラーバースするように、目的のピンクテープまで高巻きの側道にロープを張った。

幸い、アッセンダーを持ってきていたので、セットして直登を登攀するも

私は、直登途中ロープを掴んでしまった。リードのH木リーダーは、さすがだ。

高巻きを降りて、千畳のナメ。

この静寂は、この沢の見どころだろうか。

くるぶしまでの水流が幅広く、ずっと先まで続いている。

左右の木々に覆われた、神秘的な風景に、われわれ5名だけが遡行している。

さらに、ビバーク地点の広河原に至るまで、曲れの滝、両門滝など。

多くの滝を超えていく、滝の脇道を左右ルーファイしながら登攀していくのだが、

トラバースしても直下は急降下の滝。高巻きを降りる地点は、滝つぼの始点である。

フェルトの靴底が泥ですべる。この高巻きを、滑ったらそのまま何百メートル流されてアウトだ。

荷物がずしりと重い。たき火するから、トウモロコシや、マシュマロ、網、ビール、ワイン。

たくさんザックに入れすぎてもうた。トゥーマッチだ。

足を滑らせた!うっつ。声も滝の音で消される。枝をつかむ。枝が折れた。

体ごと、ざっと下にずれる。まずい。両手足、膝。顔も使って止めた。危なかった。

いくつかの着地点は、F代表指導のもと、安全確保の為に長いテープスリングを3つなど連結して、滝つぼの始点にロープで着地した。結んだ巨木自体がズリ落ち、不安定になったり、スリリングな経験も味わった。

このころには、8時間も歩きヘトヘトだ。

自分だけ、離されてきた。もう、トウモロコシとお醤油は、捨てようか。と思った矢先。

ビバーク地点の広河原だ。おー、テントサイトのような素晴らしいロケーション。さっそく一等地を確保。

テント設営。着替え、焚き木探し。さすが、フレスコの精鋭メンバー。

テント横に手際よくコージーな雰囲気のたき火が灯る。

ウイスキーを片手に、昔なつかしい、違いの分かる男と女が、夕暮れ時に、たき火を囲む。。。

♪君の往く道は果てしなく遠いぃ~。と唄いたいところだ。

さぁ、やっとトウモロコシと、マシュマロタイムだ!

網焼きだが、皆さんに喜んでもらえて良かった。

これまでの遡行を振り替えり、明日の登頂を誓いあい。就寝した。

ところで、S藤さんは、独りテントの外で寝た。ワイルドだろぅ?

翌日、AM6:00明るくなってから、広河原を出発する。

小滝をいくつも乗り越えて進む。4段の滝はなかなかの迫力があった。

水師沢出合を超えるとかなりの急傾斜。木賊沢出合付近は直登の岩場をルーファイしながら進む。

昨日と違い荷が軽い分。ガンガンいける。ガバや足場がしっかりあったので、高度感もありながらも朝の清々しいアルパインを満喫した。

遡行終了地点のポンプ小屋に到着した。

水を確保。甲武信小屋に荷物をデポして、甲武信ケ岳を目指す。

荷物がないって、背中に羽が生えたみたいだー!とH木リーダーがメルヘンなことを言っていた。

残念ながら、甲武信ケ岳頂上は、ガスって眺望は叶わなかった。

でも、それでいいのだ。全員満足だ。

我々の目的は、笛吹川東俣釜の沢の完全遡行なのだから。

記録: RK