フラストレーション、揺らぎ、ランダムネスが織り成すスピン物性の最前線

要旨

 磁性研究に端を発した「フラストレーション」という概念は、ここ20年ほどの間に、磁性分野から金属・超伝導体・誘電体等へ広く浸透し、今や物性・統計物理の分野においてごく一般的な考え方となっている。フラストレート系では、自明な最適化条件が存在しないため系は不安定になりやすく、しばしば系内部に大きな揺らぎが発生する。その結果、通常とは異なった新奇な秩序や熱力学相が実現したり、時にはスピンと電荷など多自由度が協力することでフラストレーションを解消したりと多彩な物性が発現する。スピン液体やスピンアイス、Z2磁気渦などがその典型例といえるだろう。また、最近では、フラストレーション起源の磁気スカーミオン結晶も理論、実験両側面から精力的に研究が行われるようになってきた。他方、現実の物質中では不純物や格子欠陥など乱れ（ランダムネス）の効果が無視できない状況もしばしば存在する。ランダムネスが積極的な役割を果たすフラストレート系の典型例としてスピングラスが古くから知られており、その本質の理解に向けて現在も着実に研究が進められている。
  このような近年の状況を踏まえて、本研究会では、フラストレーション、揺らぎ、ランダムネスをキーワードとして、スピン物性の最新の実験および理論研究の動向を共有する。フラストレート磁性体の分野の第一線で活躍されている国内研究者の方々との議論を通じて、本分野の新たなる地平線を目指したい。

大阪大学 豊中キャンパス 教育研究交流棟2階 南部陽一郎ホール
（大阪大学豊中キャンパスまでのアクセスは外部リンクも参照ください。）

本研究会後には別会場に移動して懇親会を行う予定です。皆様の参加をお待ちしております。

参加費：7000円
会場：ハートンホテル北梅田 
部屋：2階 ぐんじょう 1+2
開催時間：18時00分〜20時00分
（ホテルまでのアクセスは外部リンクも参照ください。）