「川に学ぶ会」では、福岡県下の川名のある校歌を題材とした「流域校歌マップ」を作成し、これを活用した展示会、学習会を通じ、流域の視点から「川から学ぶ活動」を広げていくことで故郷や自然を愛する心を育てていくことを目的として、福岡県下756校の公立小学校を5ヶ年をかけて現地調査しました。平成20年より福岡市立小学校146校、平成21年に北九州市立小学校131校、平成22年度に県南地域の小学校188校、平成23年度に筑豊・遠賀中間地域の小学校168校、最終年度の平成24年度は京築地域と福岡市近郊地域の小学校119校の調査を実施しました。とりまとめた調査資料を編集したCDは、市町の教育委員会や小学校、図書館等に寄贈するとともに、展示説明会を行いました。
また平成25年度からは、身近にある川を「ふるさとの川」として地域住民に再認識してもらうことを目的に、川を中心とした流域の「風土資産マップ」の作成を企画し、平成25年には御笠川、平成26年には多々良川、平成27年には紫川、平成28年には長峡川、今川、祓川、平成29年には矢部川、平成30年には釣川、令和元年には瑞梅寺川、雷山川の流域を対象にしたマップ制作を行い、併せて地元小中学校への配布、説明と展示説明会を行ってきました。
令和2年度には遠賀川上流圏域を中心とした流域の風土資産マップの制作に着手しましたが、コロナ禍の影響で会の活動も制約を余儀なくされたため、令和3年度にわたる二年越しの作業となりましたが、令和4年3月にようやく完成いたしました。完成した風土資産マップは、制作にご協力いただいた飯塚市、嘉麻市、桂川町の観光協会、教育委員会、図書館や小中学校を対象に配布させていただきました。
引き続き、令和4年度から着手した遠賀川中流・下流圏域を中心とした流域の風土資産マップは、直方市、宮若市、中間市、鞍手郡、遠賀郡の3市6町に北九州市若松区・八幡西区を加えたエリアを対象に取材を進め、令和6年度秋に三年の歳月をかけて完成しました。「上流圏域」と同様、取材協力をいただいた地元市・町の小中学校、コミュニティセンター、図書館へ配布させていただきました。
現在、遠賀川流域で最後のピースとなった「彦山川圏域」マップの制作を鋭意進めております。
昔から暴れ川として知られた筑後川から取水し、堀川用水を経て、朝倉平野を肥沃な耕作地へと変貌させた山田堰。アフガンの民のために、医療やかんがい農業の普及に身をささげたペシャワール会の中村哲さんが、この山田堰をイメージして農業用水路の建設に取り組んだことはよく知られています。
令和5年12月に中村哲さんの4回忌を迎えることもあり、「川にふれあう会」では本人とゆかりのある山田堰の見学会を企画したところ、11月27日の見学会当日は24名の参加がありました。朝倉観光協会の2名のガイドボランティアさんの熱のこもった解説を聴きながら、昔のノミで彫った痕跡の残る堀川用水、取水口に土砂が堆積しないよう計算された土砂吐きのメカニズムなど、先人の知恵と努力の跡をたどりつつ、晩秋の筑後川を散策しました。
先進的な河川工事の現場で担当者のお話を聴かせていただく「川にふれあう会」では、3年ぶりとなる現場見学会を開催しました。今回は朝倉県土整備事務所河川砂防課で施工した一級河川筑後川水系野鳥川の改修現場(朝倉市秋月)です。城下町や番所を出水から守るため、秋月藩の時代に普請された、水衝部にかかる流水エネルギーをコントロールし減勢する「底荒籠」(そこあらこ)。ここ数年の朝倉の出水により「底荒籠」を形成していた巨石が散乱したため、九州大学工学部准教授の林博徳先生のアドバイスをいただきながら、当時の先人の考え方をイメージして復旧工事を行いました。工事担当者、施工業者の皆さんが、それぞれの立場でいいものを作ろうと現場で工夫を重ねた結果、小京都・秋月の街なみににふさわしい水辺景観が復活しました。
12月12日の見学当日は、初冬にもかかわらず小春日和のような好天にめぐまれました。見学者は予定を越える21名が参加。ご多忙にもかかわらず、朝倉県土整備事務所から野田河川砂防課長、大坪主査、そして工事担当者の的野主任が来られ、設計の考え方など丁寧に説明していただきました。その後、参加者たちは河床に下りて復旧された底荒籠の出来栄えに感心していました。
「川にふれあう会」は工事の規模の大小にかかわらず、「こだわりの感じられる」河川工事の現場を対象に見学会を企画してまいります。
健全な山林とは、下草刈りや伐採などの適切な管理が行われている森であり、見通しが良くなることで陽光が隅々まで届き、多様な植生や生態系が育まれる環境が形成されます。
今回の「水源の森基金」主催の四王寺県民の森・森づくりの学習テーマは伐採管理。森林を育てる会から5名が参加し、親子連れを含む一般参加の方たちとともに、うっそうと繁った藪を刈りはらいました。奮闘の末、見違えるような明るい森林になりました。
折しも四王寺県民の森は紅葉の見ごろを迎えており、作業を終えた参加者たちの目を楽しませてくれました。
「森林を育てる会」は、水源涵養林や里山の保全活動にボランティアとして積極的に参加しています。毎年、福岡県や(公財)福岡県水源の森基金などが主催する植樹イベント「福岡県みんなの森林づくり」では、宇美町の四王寺県民の森で、広葉樹の苗木の植樹を行っています。昨年に引き続き、今年も香木として注目されるケクロモジの苗木を植えました。植樹作業後はペット連れのウォーキングコースとしても楽しめる「ワンヘルスの森」散策に参加。紅葉や四王寺山の山頂から眺められる太宰府や大野城の景色を楽しみました。