主に「熱」と「光」に関するテーマに取り組んでいます。電子機器等の冷却、熱交換器等の伝熱促進、太陽電池の耐久性向上や高効率化について、モデル解析による設計、実験による検証、さらに構造や制御の最適化手法を探求しています。
地域・企業の脱炭素化などに向けた取り組みも支援しています。
当研究室では図のような「熱」と「光」に関する研究を行っています。どのテーマにおいても、アプローチとして機械学習などのAIの活用を進めています。データ科学を駆使することにより、新しい仕組みや構造の発見、従来は不可能だった制御などを可能にします。AIの援用により、より高度なプログラミングもできるようになります。このようなAIスキルの習得は、エンジニアとして必須だと思います。
プレゼンスキルの向上にも努めており、学会発表の機会も多々あります。主な参加学会を図に記載しました。また、これまでの受賞歴をこちらにリストしました。プレゼンの方法も年々変わってきていると感じます。
軽量フレキシブルな太陽電池モジュールは、移動体(車載など)、建材一体型、営農型などへの展開が期待されています。これら新用途では、太陽電池モジュールは従来とは異なる機械的負荷(熱、振動、曲げなど)に晒されるため、適切な対応が必要です。用途に応じた負荷特性と劣化メカニズムを把握し、効率的な信頼性評価方法を検討します。さらに耐久性向上の方策を探ります。
本研究はNEDO 「太陽光発電導入拡大等技術開発事業/共通基盤技術開発/多用途・多形状に対応する新用途太陽電池モジュールの評価・測定技術の研究開発」として実施しています。宮崎大学、産業技術総合研究所との共同研究開発です。
図は球面状の曲面太陽電池モジュールの試作例です。このような3次元曲面に太陽電池セルをフィットさせることは難しいのですが、使用する太陽電池セルの曲げ強度、応力などを考慮した設計により、不具合なく綺麗に成形できました。詳しくはこちらを御覧ください。
自然界にも多く見られる周期極小曲面と呼ばれる構造は、比表面積が高く、軽量・高剛性といった特長があります。本研究では、その一種である3重周期極小曲面(Triply periodic minimal surface: TPMS)を伝熱構造に適用した場合の諸特性を明らかにし、次世代の熱交換器構造としての可能性を明らかにします。
本研究は科研費 基盤研究Bに採択されています。
図は数値流体力学(Computational fluid dynamics: CFD)によるGyroidと呼ばれるTPMS内部の流れを可視化した例です。
PN接合半導体の非平衡熱輻射を利用した新規冷却デバイス(いわゆるヒートポンプ)の概念が提案されており、理論的には従来冷却デバイスを凌ぐ性能が予測されています。しかし、まだ実現されていません。本研究では実験により損失要因を定量化し、実現に向けたブレークスルーを目指します。
本研究は科研費 挑戦的研究(萌芽)に採択されています。
図はスタンフォード大学の研究グループによる理論モデルです。これはワイドギャップ半導体を使用したデバイスですが、ナローギャップ半導体を使用したデバイスについても研究を進めています。
高効率の太陽電池はどれも黒っぽい色をしており、デザイン、意匠性の観点では課題があります。今後、建物などへの適用を促進するためにはカラー太陽電池が求められます。しかし、色をつけると変換効率が低下します。とくに白色系では効率低下が顕著になるという課題があります。本研究では波長選択膜の構造最適化により、より低損失な白色系カラー太陽電池の実現を目指します。
図は微小粒子を分散させた波長選択膜の試作例です。できるだけ目に見える光(可視光)だけを散乱反射させ、それ以外の光は太陽電池に届くように設計しています。
パソコン、EV制御ユニットなどの電子機器の小型化・高密度化に伴い、より効果的で省電力な冷却方法が求められています。本研究では最近報告されたヒートパイプの高性能化手法に着目し、3Dプリント技術(積層造形)を用いた様々な実装形態における熱輸送性能の検証ならびに現象の理解とさらなる高性能化への方策を探ります。
両面受光太陽電池は裏面でも発電するため、地面や雪面からの反射日射による発電量の増加が見込まれます。とくに垂直設置は営農型や豪雪地域での活用が期待されています。本研究では光学ー電気回路連成解析によって複雑な日射環境における発電特性の推定を可能とし、両面受光太陽電池の効果的な利用方法を探求しています。
図はキャンパスに設置した垂直両面受光太陽電池アレイです(現在は他の場所に移設)。このほかに屋上に設置したアレイなどがあり、発電量などをモニタリングしています。
太陽電池業界のFomula-1技術、エクストリーム系とも言える究極のコンセプトConcentrator Photovoltaics (CPV)の可能性を探求しています。多接合太陽電池セルに太陽光を集光し、45%以上の変換効率で発電します(世界記録は47.6%で、4接合太陽電池に665倍集光した時の変換効率です。詳細はNRELの効率チャートを御覧ください)。高倍率集光では追尾装置が必須となり、コスト的に課題がありますが、半導体等の使用量を大幅に削減でき、リサイクル性にも優れるなどの利点があります。
図は試作CPVモジュールを小型追尾装置に搭載し、発電特性を計測している様子です。
長岡市などの豪雪地域では太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及にも課題があります。脱炭素化およびレジリエンス強化のためには電気と熱需要を加味した総合的なエネルギーシステムのデザイン、断熱強化などによる省エネの推進など、多角的なアプローチが必要だと思います。当研究室ではそのような取り組みへの支援を行っています。
長岡市カーボンニュートラルチャレンジ戦略2050における実証実験についてはこちらを御覧ください。