エスノグラフィーとフィクション研究会
エスノグラフィーとフィクション研究会
設立の趣旨
設立の趣旨
エスノグラフィーとフィクション研究会は、文字通りエスノグラフィーとフィクションの関係について考える会です。エスノグラフィーがどのようにフィクション的側面を内包しているか、あるいはエスノグラフィーを書く際にフィクション的側面をどう扱うのかということを探求します。
エスノグラフィーは日本語で「民族誌」とも訳され、主に文化人類学の分野においてフィールドワークをもとにした論文という意味合いで用いられてきた言葉です。しかし現在では教育学など「フィールド」を持つ他の様々な分野でも用いられる言葉となっています。
どのような分野であれ、エスノグラフィーの特徴は「自らの経験を記述する」ことだといえるでしょう(「自己エスノグラフィー = オートエスノグラフィー」は、まさにそのような前提から生まれた試みであると考えます)。だからこそ、そこには困難が伴います。自らの経験の総体を定量的に記録することは不可能であり、そこには常に取捨選択、あるいは編集の作業が必要となるからです。そのことがすでにフィクション的であると指摘することも可能でしょう。あるいは、エスノグラフィーにあえてフィクション的な枠組みを設定することで、自らの経験を批評的に伝えようとする "fictocriticism" (金子遊氏はこの言葉を「フィクション批評」と訳しています)と呼ばれる試みも存在します。
以上の前提に立ち、本研究会ではオートエスノグラフィー、フィクション批評、その他の実験的エスノグラフィーを、エスノグラフィーの実践、論考の執筆、口頭発表、シンポジウムなどによって促進します。実験的なエスノグラフィーの試みに、学術的な立場から携わりたい方の参加をお待ちしています。
設立者一同