病棟保育研究


東京大学 発達保育実践政策学センターCedep 調査研究グループ

最終更新日:2024年1月10日

病棟保育とは?

病棟保育とは、医療保育の一つであり、病院の小児病棟などで入院している子どもを対象に行う保育のことをさします。

1954年にはじめて病棟に「保育士」が配置されて以来、病棟保育はさまざまな制度などの追い風を受けて、現在では少なくとも全国196の病院にて実施されるようになりました(2017年時点)。さらに、近年では、小児病棟だけでなく、外来やNICUなどに配置されることもあるなど、病棟保育士は病院の中でも活躍の場を広げています。

病棟保育士の活躍が期待される社会的背景

近年、新生児医療や小児医療の著しい発展に伴ってこれまでであれば命を落としていた子どもたちが生きることができるようになってきました。よく知られる通り現在日本では40年以上出生数が徐々に減少していますが、その一方で生まれてくる子どもの中で先天的な疾患などによって医療的なケアが必要な子が占める割合は年々増加傾向にあります。また成長過程で大きな疾患を経験した場合でもその後通常の社会生活を送れるようになる確率が上がってきておりたとえばこれまでであれば「死」を意味していたガンのような疾患でも長く付き合って生きていく疾患として捉えられるようになってきたのです。

しかし、日本の子どもの入院・療養環境は、「治療の場」としては素晴らしいものであったとしても、子どもの「育ちの場」としては、必ずしも望ましいものにはなっていません。このような状況の中、元来、養護と教育を通して子どもの将来を見据えた成長発達の支援を専門とする保育士が、療養中の子どもの育ちを支える専門職として、期待されているのです。

本プロジェクトの概要

上記の通り、活躍が期待される病棟保育士ではありますが、例えば、病院の中での役割の曖昧性や専門性向上の難しさ、他職種との協働・連携のあり方など、依然として解決すべき課題も多いのも現状です。本プロジェクトでは、量的・質的な調査研究を通して、このような課題に向き合っていきたいと考えています。

本プロジェクトのメンバー

遠藤利彦

東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)教授・センター長


石井 悠

東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター(Cedep)助教 


土屋昭子

宮城県立こども病院 保育士

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