認知症患者への対応ならびに認知症予防は,社会的に極めて重大な課題であり,国の方針として厚生労働省が定めた認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)では,歯科医師に認知症対応力の向上が求められています.このような背景から,(公社)日本補綴歯科学会では,第124回学術大会(2015年)において,認知症と歯科的対応への理解を図るための臨床シンポジウムを開催しました.さらに,第128回学術大会(2019年)において,「認知症の現状,補綴歯科治療と今後の研究展開」と題するシンポジウムを開催し,口腔機能と認知機能との関連について,認知症の専門学会と共同研究を企画することを提言いたしました.(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ajps/12/2/12_120/_article/-char/ja)
このような経緯から,第128回学術大会のシンポジウムを企画・運営した佐々木啓一(東北大学)と笛木賢治(東京医科歯科大学),シンポジストで認知症専門医の眞鍋雄太(神奈川歯科大学),木本克彦(神奈川歯科大学),上田貴之(東京歯科大学)に,窪木拓男(岡山大学)をコアメンバーとした医科歯科連携研究(Medical-Dental collaboration: Exploratory research project on the Correlation between Cognitive and Oral function: ECCO)プロジェクトワーキンググループを結成しました.
ECCOプロジェクトでは,認知症専門医と歯科医師が連携し,認知機能と口腔機能の相関についてエビデンスを創出することを目的としております.医科側のパートナーとして,(公社)日本老年精神医学会の池田 学理事長(大阪大学)が参画することになりました.
その後,COVID-19の感染拡大によりプロジェクト活動の中断を余儀なくされましたが,2021年7月からは(公社)日本補綴歯科学会研究企画推進委員会の事業活動として継続し,2021年9月に(公社)日本老年精神医学会と包括連携協定を締結し(https://www.hotetsu.com/files/files_594.pdf),ECCOプロジェクトを推進しています.