震源要素が生じる変形場の解(Green関数)は順解析・逆解析の両方で大変重要なツールです。ですが、その解析的表現の適用範囲はしばしば均一媒質や一次元的速度構造に限られます。
有限長震源要素のグリーン関数に対して、均一媒質の解で任意速度構造での解を構成できることを証明しました(Sato & Moore, 2022)。方法は、いつもの断層要素の分割に加えて、速度境界を仮想的な断層要素として分割すること、これだけです。仮想断層の境界条件に速度境界面での解の連続性を課すことで、区分一定補間された速度構造における変形場を元の解析解の重ね合わせ(半解析解)で表現できます。類似手法でこれまで必要と考えられてきたシングルフォース源を不要とする成果です。
下図のベンチマークは断層周辺(左図橙色)に弾性弱化領域(左図緑色)があった場合に地震時の地表変位がどう変化するかを計算したものです。干渉SARで測定される地震時変形の干渉縞を想定して、提案手法の解(左パネル)を地震学で標準的な半平面均一媒質解(Okada model; 中パネル)と比較しました。提案手法で取り入れた弾性不均一の影響が有意に見えています。
実装コード例を論文に添付しているので、気になった方は是非一度使ってみてください。