ご挨拶
平素より避難所・避難生活学会の活動にご理解ご協力いただきありがとうございます。
避難所・避難生活学会は災害関連死ゼロを目標に、政府や自治体をはじめ様々な被災地に働きかけ、避難所環境の改善に取り組んできました。昨年12月に国から発出された避難所に関する取組指針の改定では、トイレ・シャワー(Toilet)、食事(Kitchen)そして就寝環境(Bed)のTKB三要素の質の確保が明示されました。本学会がこれまで提唱して参りましたTKB48の社会実装を目指すものです。
このような背景を踏まえ、来る12月6日~7日の2日間にわたり、東京・広尾の日本赤十字看護大学において第11回避難所・避難生活学会年次集会を開催いたします。昨年まで提示していたTKBの実現に向けた課題を踏まえ、今年はその社会実装に向けた提起をテーマといたします。社会実装を実現するためには先進的なモデルが欠かせません。災害発生時TKBのモデルで、避難生活対応先進国であるイタリアの情報をアップデートするべく、本年行われたイタリアの最新の避難所展開・宿泊型訓練の内容について情報を共有させていただきます。この内容を踏まえ、日本国内で意欲的に進められ始めているTKB実装の実例をご紹介します。さらに来年8月、防災庁が設立される予定です。防災庁設立に向けた現在の状況について報告するとともに、防災庁から導かれる未来について論議いたします。このような内容の実装には避難生活、生活復旧の中で被災者の保護を欠かすことはできません。厚生労働省、災害医療保健福祉の立ち位置とともに、被災前から災害対応関連機関、地域住民、地域企業等とともに進めるタイムラインの最新の取り組みについて情報共有を行います。
本集会は、例年、災害対応を行なってきた自治体職員(役所、保健所など)、避難所での被災者対応を行なってきたボランティアや災害医療者(医師、看護師、保健師、薬剤師など)、そして様々な現場を取材してきたメディア関係者など、多くの災害現場経験者が集まり知識の共有と課題に対する議論を行なっています。
本大会へのお越しを心よりお待ちしております。
2025年11月吉日
一般社団法人 避難所・避難生活学会
代表理事 水谷 嘉浩