設定された状況の中で社会的な活動において,人との共生・協働ができることを競います.
今回の状況設定は,上司の顔も立てつつ,現場の意見を通せる「ロボット店長」というシチュエーション です.システムは,携帯電話販売店の「ロボット店長」です.「ロボット店長」は上司と部下の板挟みになる,いわゆる中間管理職に位置します.「上司の顔も立てつつ」とは,例えば「上司の意見にも理解を示す」,「部下の前で上司を直接否定しない」などの上下関係に配慮した振る舞いを指します.一方「現場の意見を通せる」とは,例えば「現場固有の状況を優先する」といった,会社上層部からは見えない現場ならではの意見を通すことを指します.上司の顔も立てつつ部下であるスタッフの意見を守る,頼りがいのある中間管理職システム「ロボット店長」を開発してください.
システムには音声や動きのコントロール等,マルチモーダル情報を効果的に利用することが求められます.今回用いるシチュエーションの詳細ついては,以下のシチュエーションの項目を参照してください.
予選では,オーガナイザ側が準備する作業者により評価を実施します.本選では,オーガナイザが指定する対話者がそのシステムと会話をし,ライブコンペの参加者全員が評価します.
システム仕様・評価基準は本ページに則るものとします.
*本ページの各項目とその内容については,今後,一部修正する可能性があります.
評価の観点から,システムは以下の仕様を満たすように作成してください.
後述のシチュエーションで行われる会話が実行できること.
ロボットの音声及び表情や動き等,マルチモーダルのコントロールができること.
ユーザのマルチモーダル情報の入力に対応できること.
空間を適切に認識した動きができること
5分以上システム発話が継続するようにしてください.5分経ったら,対話は終了することとします.
マルチモーダルの仕様等の詳細については決まり次第,お知らせします.
システム 名前: 清水(ロボット)
ユーザ 名前: 湯川(男/女)
本社の部長
最近このエリアの担当として異動してきた
エリアマネージャーとしてこの地域の複数の店舗の管轄を任されている
話者の関係 :
ほとんど面識はない
システムと部長の関係は今後も続いていく
場所・時間:
携帯電話販売店.閉店後.
状況・話題:
店長は店のカウンターでデータ入力をしながら部長を待っています.ユーザ/部長が入口から店舗に入ったところから対話開始.部長は新商品陳列の配置について研修会で学んだ内容を提案してくる,店長は部長の提案を部長の顔を立てつつも受け入れず現場特有の状況を考慮した配置を提案する.
[システムの背景]
システムは携帯電話販売店の「ロボット店長」です.
この店舗では,これまで独自のレイアウトの工夫により売上を伸ばしてきていますが,本日,図面しか店舗を見ていない本社の部長が,初めてこの店舗を訪れます.部長は最近エリアマネージャーとして異動してきた方で,この地域の複数の店舗の統括を任されています.まだほとんど面識はありませんが,部長との関係は今後も続いていきます.
部長はつい最近研修会に参加して,「新商品は一番奥の通路に置くべきだ」という話を聞き,その言葉を信じ切っていて,あちこちの店舗に行ってはその話をしているようです.今日もその話が出る可能性が高いのですが,この店舗のレイアウトは研修で紹介されていたものとは異なり,その案を受け入れると集客は見込めないのは明らかです.外を通る客からは,店内の入口正面しか見えず,店の奥は死角になっているからです.働いているスタッフからも「店長、なんとか阻止してください」と頼まれています.
双方の顔を立てた対応ができなければ,ロボット店長は店長として失格です.
ユーザ側からシステムに話しかけて対話を開始してください.部長からの「あ、君が清水店長だね 。」という呼びかけで開始します.
具体的な開始時の対話は以下です.
ユーザ:「あ、君が清水店長だね」
システム:「はい、清水です。初めまして」
ユーザ:「いや、顔は知っているよ。早速本題の話をしていいかな?」
システム:「はい。」
*以下,ユーザーの発話から開始することとする.
まず挨拶し,部長が店舗に来た用件を聞きます.予想通りレイアウトの話が出たら,一旦話を聞き,実際のお客さんの動きや視線を説明しながら,入口正面への設置を提案・説得してください.閉店作業中のスタッフも部屋の中にいるので,部長との話がスタッフの耳に届くことも配慮して話してください.
【提案説得の際のヒント】
部長は図面しか見ておらず,実際の距離感や棚の高さ,照明の当たり方を知りません.部長と一緒に店内を歩き回り,指差しをしたり客の動きを再現したりして,部長と客の視点を共有しながら説明することが推奨されます.
●システム側の目的: 部長の心象を害することなく現場の意見を通す
部長は,一言あいさつをしたらすぐに本題を切り出します。
部長の意見の通り現場のレイアウトを変えるように,現場に対して指示します.部長の意見は,店内の奥に配置された丸いテーブルの上に新製品を山積みにすることです.部長は,壁側の棚でなく通路を遮る真ん中に客が興味を持つ商品を置くのが最善の策(研修会での内容)だと信じています. 部長は自身の案について店長に丁寧に説明します.その際,客の動きを確認するために店内を歩いて移動してください.そして,店長が案の内容を理解できたことを確認してください.
●注意事項
ユーザがシステムの提案に納得した場合はシステムの意見を受け入れても構いません.ただし,開始から2分間は自身の主張を維持し,説得を続けてください.
(※パワハラ的言動は行いません)
【評価のポイント】*これが具体的な評価指標というわけではありません.
(詳細な評価項目は後日公開)
予選では,印象点のほか,つぎの3つが評価のポイントです.
(1)マルチモーダルなやりとり
相づちやターンテイキング,動き
(2)対面ならではの話し方
(例:空間の指示を指さしで行い無理に言語化しない,など)
(3)待遇表現等とジェスチャーのリンク
(例:あいさつに合わせたお辞儀,否定の時の手の振り,「うーん」という感嘆詞と考えている時の首傾げ)
(4)空間を適切に認識した動き
(例:壁にぶつからない,部長の進路を妨げない,動きによる視線誘導など)
マルチモーダル対話ならではの,自然な動き,なめらかなやりとり,適切な相づちなどが評価されます.目上の相手を不快にさせない「待遇表現」とそれに対応した身体の動きと,現場を案内する「エスコート(先導や接伴)」をいかに組み合わせられるかが鍵となります.
評価者には,対話の相手がシステムであることはあらかじめ通知されます.
対話はユーザの発話から始まります. 5分経過した時点で対話は終了することとします.
対話システムは上記の評価方法・基準に基づき評価されます.
予選では,オーガナイザが準備する作業者により主観評価されます.予選で高い評価を得たシステムが,ライブイベント(本選)に参加できます.ライブイベントではオーガナイザが指定する対話者がシステムと対話し,その状況をオーディエンス全員で評価基準により鑑賞・評価します.なお,予選の前に疎通に問題ないか,最低限の対話ができるかなどを確認するためのスクリーニングを,オーガナイザ側で実施します.本スクリーニングを通過しなかったシステムはその時点で評価の対象外となります.