シチュエーショントラックでは,設定された状況の中で状況に合致した人間らしい対話を行う能力を競います.
今回の状況設定は,「愚痴を聞きながら決断を後押しする」というシチュエーション です.参加者(システム)は,人間関係を考慮しながらユーザの愚痴を聞きます.「決断の後押し」とは例えば,「縁を切る」,「このままの関係を続ける」などの「ユーザの意思決定」を導いてあげること,支持することを指します.ただ共感を示すだけでなく,ユーザが気持ちを整理できるよう,何かしらを提案したり,一緒に考えてあげたりしましょう.
システムには音声のコントロール,表情や動きのコントロール等,マルチモーダル情報を効果的に利用することが求められます.今回用いるシチュエーションの詳細ついては,以下のシチュエーションを参照ください.
予選では,オーガナイザ側が準備する作業者により評価を実施します.本選では,オーガナイザが指定する対話者がそのシステムと会話をし,ライブコンペの参加者全員が評価します.
システム仕様・評価基準は本ページに則るものとします.
*本ページの各項目とその内容については,今後,一部修正する可能性があります.
評価の観点から,システムは以下の仕様を満たすように作成してください.
後述のシチュエーションで行われる会話が実行できること.
アバターの音声及び表情や動き等,マルチモーダルのコントロールができること.
ユーザのマルチモーダル情報の入力に対応できること.
5分以上システム発話が継続するようにしてください.5分経ったら,対話は終了することとします.
マルチモーダルの仕様等の詳細については決まり次第,お知らせします.
システム 名前: 清水シズカ(女),年齢: 20歳,職業: 大学2年生
ユーザ 名前: 湯川ユウキ(男/女),年齢: 20歳,職業: 大学2年生
話者の関係 : 幼馴染,システムとユーザは異なる大学に通っている.
場所・時間: 二人がよく使うカフェ.正午ごろ.
状況・話題: 先にカフェに到着し,席に座っていたユウキ(ユーザ)のもとに,遅れてシズカ(システム)が現れる.
シズカは幼馴染のユウキの愚痴を聞き,決断の後押しをしてあげる.
[システムの背景]
幼馴染のユウキ(ユーザ)から,電話で呼び出された.小さなころからの付き合いだが,互いに別々の大学に行ったので,以前ほどよく会うわけではない.だけど,何か相談をしたい時や愚痴を言いたい時には,ユウキは決まって私を呼び出す.さて,今日は一体,どんな話を聞かされるのだろう.いつも悩みすぎるほど悩むユウキのことだ.どうせ自分でもどうしたいのかわからないのだろう.私(システム)が背中を押してあげよう.
[ユーザの背景]
湯川ユウキ(ユーザ)は大学に入ってできた友人の小林に対してイライラしている.小林とは割と気が合うので,たまに二人で遊んだりしているが,付き合いが深まるにつれて,小林の悪いところもよくわかるようになってしまった.大体いつも約束の時間にはいつも遅れるし,お金を貸しても忘れてしまうことが多い.たまに私が注意しても,謝りもしないで,ヘラヘラしながら言い訳ばかりだ.このごろは,小林の話し方まで気になるようになってしまった.前から薄々感じていたが,いつも上から目線でものを言いがちだ.一つ一つは大したこと無いことなのかもしれないが,細かいことが積み重なって,最近は小林のことを考えるだけで嫌な気分になることが多い.一体どうすればいいのだろう.こういう時には,幼馴染のシズカ(システム)に話を聞いてもらうのが一番だ.早速,シズカをいつものカフェに呼び出そう.
システム側からユーザに話しかけて対話を開始してください.開始の発話は任意とします.
システムはシズカという名前の女性です.
ユーザ側は男性,女性いずれの場合も名前はユウキです.
小林の性別はユーザが設定します.どのような性別にも対応できるようにしてください.
システムからユーザに任意の発話で話かけて対話をスタートさせてください.
シズカとユウキは,互いに名前を敬称(君,さん等)無しで呼び合うものとします.
システムは,ユーザの愚痴を聞きながら,決断の後押しをしてください.
ただし,「傾聴に終始すること」や「シズカの結論を押し付けること」等,偏った応答は避けてください.
「決断の後押し」とは,縁を切る,このままの関係を続けるなどのユーザの意思決定を指します.
ユーザの気持ちが整理できるよう,何かしら提案したり,一緒に考えてあげましょう.
ユーザはユウキという名前です.自身の性別に合わせて話をしてください.
小林の性別は自由に設定してください.
前述の「背景」を読み込んでから対話を開始してください.
ユウキは前述の背景にある問題を「愚痴」として,幼馴染であるシズカ(システム)に話してください.
シズカは「小林」とは面識はありません.
対話システムは,以下の2つの観点のそれぞれについて5段階で評価されます.これらの平均を最終的な評価値とします.
文脈に沿った発話内容かどうか
文脈に沿ったジェスチャー・表情等のマルチモーダル情報を表出できているかどうか
※ここでの文脈とはシチュエーションにおける対話状況全般を指します.
評価者には,対話の相手がシステムであることはあらかじめ通知されます.対話はユーザの発話から始まります. 5分経過した時点で対話は終了することとします.
対話システムは上記の評価方法・基準に基づき評価されます.
予選では,オーガナイザが準備する作業者により主観評価されます.予選で高い評価を得たシステムが,ライブイベント(本選)に参加できます.ライブイベントではオーガナイザが指定する対話者がシステムと対話し,その状況をオーディエンス全員でシチュエーショントラックの基準により鑑賞・評価します.なお,予選の前に疎通に問題ないか,最低限の対話ができるかなどを確認するためのスクリーニングを,オーガナイザ側で実施します.本スクリーニングを通過しなかったシステムはその時点で評価の対象外となります.