令和7年度研究テーマ
「子ども一人ひとりが主体的に考え学ぶ道徳教育の在り方」
科学技術が日増しに進歩し、人工知能の発達により様々な場面で AI が人間の役割を代替していくことが予想され、見通しのもちにくい時代となっている。その変化の激しさから急速にVUCAの時代になっていくと予測され、多様な価値観が交錯する社会の中で、未来を予測することの難しくなっている現状をとらえて、本神奈川支部では、令和6年度の研究テーマを「自己の生き方についての考えを深める道徳教育の在り方」とし、研究を進めてきた。よりよい未来を創り上げていくには、社会の変化や課題に対して、自分なりに考えて自分なりの解を導き出していくことや柔軟に課題解決を目指して他者と共に新たな価値を創造していくこと、共によりよく生きていくことが必要となってくる。このような自己の生き方について考えを深めていくことは今後も道徳科の充実を図っていく上で重要な研究課題であるといえる。
令和6年12月、中央教育審議会より、初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について諮問が出された。現代の社会情勢から、異なる価値観を持つ多様な他者と、当事者意識を持って対話を行い、問題を発見・解決できる「持続可能な社会の創り手」を育てる必要性がこれまで以上に高まっていることを前提に、多様性を包摂し、一人一人の意欲を高め、可能性を開花させる教育の実現が喫緊の課題であるとされている。また、習得した知識を現実の事象と関連付けて理解すること、生成AIには扱えない概念としての知識の習得や深い意味理解をすること、自分の考えを持ち、根拠に基づいて他者に明確に説明すること、自律的に学ぶ自信がある生徒が少ないこと等に依然として課題として挙げられている。
では、このような先行き不透明な時代を生き抜く資質・能力を今後どのように育んでいけばよいのだろうか。他者と協働し対話的に学びを深めていくには、児童生徒が道徳的価値の理解を基に自己を見つめ、物事を多面的・多角的に考えることを通して形成された道徳的諸価値を基盤として、自己の生き方についての考えを深めていくことが必要となる。他者と協働して学びを深めていくには、そのベースとして、児童生徒一人一人が様々な視点から物事を理解し、主体的に学習に取り組むことが求められる。では、そもそも道徳科における「主体的」「対話的」な子どもの姿とは、どのような子どもの姿を表現しているのであろうか。また、教師としてそのような子どもの姿を育むには、どのような授業改善が求められるのだろうか。ICTやAIの効果的な活用、UD の視点、体験的な活動と「主体的」「対話的」な学びは、どのようにかかわっているのだろうか。
以上のような課題意識をもとに、これまでの研究を基盤としながら、研究テーマを「子ども一人ひとりが主体的に考え学ぶ道徳教育の在り方」と設定した。予測の難しい次代を生きる子どもたちが、主体的に考え学ぶことを通して、これからの生き方の課題を考え、それを自己の生き方として実現していくことを願い、研究の歩を進めていくこととした。