普段と違う歩き方や走り方をしている場合、どこかの関節、または関節を動かす神経に異常がある場合があります。関節の動きを構成する軟骨や靭帯、筋肉や神経のどこに異常があるかを検査をして確認し、早期に治療を開始してあげることで「痛い」「動けない」「動かせない」という状態から早急に解放し、それにより病気の再発を防ぐことができます。
【主な関節疾患】
・椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは椎骨と椎骨の間にある椎間板という組織が変形し、脊髄を圧迫することで発生する病気です。発生部位としては胸部と腰部の移行部位で最も多く発症しますが、頚部でも発症する場合があります。椎間板ヘルニアによる脊髄障害の程度により、痛みのみの症状の場合から、運動失調や麻痺、排尿・排便困難まで起こります。重症例の中には命を落とすケースもあります。当院ではヘルニアに対する治療に外科手術を用いることはありません。内科治療(注射・内服・鍼灸・マッサージ・漢方)を組み合わせて治療を行っていきます。
・前十字靭帯断裂
大型犬に突然発生する後肢跛行の原因として、前十字靭帯断裂があります。靭帯の損傷の程度により、部分断裂と完全断裂、さらに半月板の損傷を伴う場合と伴わない場合があります。放置すると変形性関節症が急速に進行してしまい、元の状態に戻すことがとても困難になります。
前十字靭帯断裂の治療は早期に手術が必要です。膝蓋骨脱臼症や関節炎と診断を受けたが、跛行の改善が乏しい場合は注意が必要です。
・膝蓋骨脱臼症
膝蓋骨脱臼症は小型犬にとても多くみられる整形外科疾患です。小型犬では内方、大型犬では外方への脱臼が多く認められます。
症状としてはスキップやケンケンをしたり、後肢を後ろに蹴る仕草をしたり、痛がるなどがあります。
原因の多くは遺伝的な素因によるものだと考えられています。大型犬の膝蓋骨外方脱臼症や、小型犬の重度内方脱臼状態、頻繁な痛みや跛行症状を伴う場合は、早期の診断と外科的治療が必要です。
すべての犬で必ず手術が必要になるとはかぎりませんが、膝蓋骨脱臼症は変形性膝関節症や前十字靭帯断裂のリスク因子となりますので、適切な治療・管理が重要です。膝蓋骨脱臼症は猫でも認められる病気で、犬と同様に治療には外科手術が必要です。
【必要な検査】
関節を動かす為に必要な筋肉や靭帯、神経のどこに問題があり、現在関節がどのような状態なのかを確認する目的で各種検査を行います。
・レントゲン検査
・エコー検査
・関節徒手検査
・運動機能検査
・神経学的検査
・血液生化学検査
・内分泌検査などの検査を行い、全身の状態をしっかりと確認して病状を判別していきます。
【治療方法】
発症してからの期間や、現在の症状に応じて治療方法は異なりますが、様々な治療方法を組み合わせて治療を行なっていきます
・サプリメント
・内服薬
・注射
・マッサージ
・鍼灸
・運動療法(リハビリテーション)などの治療方法を組み合わせて、治療を行なっていきます。