柑橘系の木でよく見掛けるアゲハ幼虫。
イモムシのこと。
にょろ~んと茎を伝っては葉を食す。食欲旺盛。
鈍速で鈍感。
外敵から逃げる為の身体構造ではない。
小鳥 寄生バエ(or寄生バチ) クモ カマキリなどから免れる確率は絶望的。
かなり自然任せ。
せいぜい保護色と触覚ドッキリで毎秒をやり過ごし、あとは頭数ゴリ押しでどうにか存続。
もはや木と一体化しているほどに、あちこちに引っ付いている。
兄弟数は100以上。(孵化地は違える)
蝶だけの話ではないが、その1桁%のみが成虫へ至る。
個体を大勢失う前提の生態、それは多くの個体数を苦痛に落とすことでもある。
吸収する/されるの循環現象にまるで一体化した、喰い喰われの命。
動物界にも植物界にもあらゆる種族がいる。
それらの分岐競争のうち、過酷なるケモノ道…いやムシ道を担っているのが彼らだ。
ある日。
筆者の家庭が柑橘木に農薬を撒いたせいか?
木から遠出していた野生イモムシ1匹。
庭を堂々徘徊していて危なっかしい。その行先にエサもない。
家の外壁近くまで来れたようだ。
無農薬の木(それも柑橘系)へ運んでやろうとも考えたが、野生の相に干渉する余裕なんて…と思っていた当時筆者。
外壁前でじっと動かないイモムシ。
それがあの徘徊イモムシの1日ぶりの姿であった縁。
応急的に虫用の飼育ケースと葉っぱを置いてみた。
これで明日を迎えることができたら今度こそは木へ運んでやろう、と。
で結局は飼っちゃった。
農薬を嗅ぎ分けながら?これほどの距離を歩き、飢えながらも1~2日間を生きている。
とてつもなく逞しい。
※普通は嗅ぎ分けられないから、イモムシ任せはNGだぞ。
道中で天敵に襲われなかったことも奇跡。
Yahoo知恵袋様に質問投稿したところ、特に寄生された痕は見られないとのこと。
さて飼育を成功させねば。
インターネット上には旧情報と新情報が混合している。
虫を飼うほどの原始人が現代に少ないからね。
無論、当ページも百年後には旧情報となっているかもしれない。(現在2025年)
透明プラのケースに、ザルの天井。
…よく見掛けるこの市販品でええんよね?
通気性においても、天井だけザルで丁度良い。
ザル天井をガーゼで覆えば、天敵虫から守れる。
一方、全面ザルの『虫カゴ』は天敵虫が侵入し放題。
やはり『虫ケース』が良い。
…個人的にまだ通気性が悪そう。
もはやザル天井を完全に外し、医療用ガーゼのみで蓋をしてみた。
誤った方法ならスマン。
ともあれ、こうも軟らかい天井なら、上からの落下物に注意か。
枝先の葉とは違い、ケース床は硬い。
ティッシュを折り畳むなどし、クッション性抜群の寝床を作ってあげるべき?
その際は防カビ防ダニとして定期交換が必須。
これも誤った方法ならスマン。
もはや全面ネット型も売られてある。(いつか購入予定)
普段はハウスダストが侵入しやすいかも。
個人的にはケース併用が前提ってところ。
将来の羽化時には必ず役立ちそう。
ケース天井を開ける機会で、これを大きく被せれば安全だ。
仮に羽化成功後、全面ネットの中ならパタパタ暴れられても翅を傷めづらい。
※当然だが、理由なく成虫を閉じ込めないように。
常にまたは定期的に、ケース内環境を確認。
もし換気を怠って水気やフンを放置すると、さすがのイモムシから見ても適応外だし特定菌が猛繁殖したりと危険。
常に循環現象の中の自然界とは訳が違うのだ。
どの虫も病死するし、人間から見ても感染症リスクとなる。
フンを素手で掃除するのも毒だけどね、そこはティッシュで掃いたり掴んだりで。
当然だがアルコールや塩素などの殺菌液はNG。掃除後の自分の手だけに使うこと。
登り場を立てておけば愛用してくれる。
割箸やカマボコ板などの木製品が良い。
この場に及んで「直立箸は縁起悪い」と申すにせよ、とにかく木製品を固定すべし。
カブトムシ用の市販ヒノキでも害は無い…けど倒れたら重量的に危険。
何にせよケースにしっかり固定すべし。
床が一時的に汚れているときに、ここを避難場として使ってくれる。
何より野生的な登降運動が可。(重要)
将来のサナギ化には特に必須。
一応、木製品なしでもケース壁か天井蓋でサナギ化するっちゃするらしいが、プラ製品には虫糸が粘着しづらくて落下死リスクあり。
せっかく適所を探して『ワンダリング徘徊』するのだから、少しでも拘ってあげたい。
羽化時のことも考えれば、低すぎず高すぎず、そして幅広面積で設計すべし。
さて、彼の出身木(キンカン)は既に農薬まみれ。
でも変な蚊はたくさん付着している。コイツらは薬効の対象外?
虫がいるからって無農薬とは限らんわけだ。
今更だが当イモムシの正式名称は『ナミアゲハ』。
よく見掛ける黄色いやつ。(キアゲハとは違う)
個体ごとに偏食はあるらしいけど柑橘木なら概ねエサ対象らしい。
彼の場合『ユズの木』の葉を食べてくれた。
もし他に無ければホームセンターかAmazonにて虫用を探す羽目になる。
(人間用は100%農薬付き)
ネット上の新情報によると「生け花」の方式が良いとのこと。
茎断面を水源に刺すのが生け花だ。
木から茎ごと頂戴する
茎と葉々を全面こすりながら水洗い ←特に白粒や黒粒は不審な卵かも ※今回はアゲハ卵と間違わぬように
水源を作って茎を刺す ←塩素含んだ水道水はNG
水源は単純設計。
ポリ袋に、丸めたティッシュ3枚くらい+飲料水を入れ、ボリ袋の余分面積をカットすれば完成。
これなら浸水や溺死のリスクがない。
確かに葉が長持ちした。
水源なしでは即行で枯れてカールしがち。
食べ物は葉、飲み物は葉肉の含水量で充分らしい。
水々しい葉がいかに重要か。
この生け花式こそが家庭用最適解だ。
霧吹きはNG。水道水の塩素もNG。
この日課を繰り返していく。
いつかは虫側でサナギ化⇒羽化してくれるんよね?
とっくに特大イモムシのに、なかなかサナギ化しない…。
もしや環境ストレスか?うっかり農薬混入か?
単に成長途中ならいいけど。
まぁ常にイモムシ視点になれ。(そんな時間は無いが)
その上での飼育失敗なら、さほど自分を責めずとも良い。
直射日光を避けつつも適度に陽を感じるような立地、寒すぎない風通し、ケース内衛生。
無害なエサ、止まり棒も設けてある。
手入れの際はなるべく刺激しないように意識。
…あれから葉を10枚ほど食べておきながらまだ成長途中?
棒にしがみつきながら、糸吐きと上体捻りを繰り返している。
遂にサナギ化の儀式だ。
こうして命綱を作り、いつかは「く」の字の姿勢で固まり、脱皮してサナギとなる。
にしても糸が綺麗に背中一周している。
どの生物もだが、概ね左右対称なその身体構造からして、やはり本能プログラムは超精密正確。
体を縮めて固めている。
てっきり糸が緩んでいるように見えたが、まだ「く」ではないだけ。
あれから気付けば「く」の字。
糸がピーンと張っている。
少し目を離すと、また気付けばサナギ姿。
一瞬すぎる…。
サナギ化の瞬間を写せず申し訳ない。
近くには最後の脱皮殻も落ちていた。
殻は、イモムシ時代の顔と前脚などをくっきり象っている。
かつてはこれが愛らしくキョロキョロしてたんだぞ?
そんな豚足を頑張って動かす「甘え姿」は過ぎ去った。
今度は長い美脚になろうとしているのだ。
虫に人格があるのかは不明だが、大人になった己の変貌についてどう思うのか。
「心配無用」とは言ったものの、寄生虫問題においてはまだ峠。
審判が下される時期は、おもにこのサナギ期。
もし寄生されていれば命日。
黒点などが見当たらなかったし大丈夫とは思うけど、見当たった場合は強引に精密器具で摘出に賭けるプロもいるらしい。
サナギ以降も様子確認ってわけだ。
引き続き環境にも注意。
直射日光を避けつつも程良く陽に当たる立地。
寒すぎない風通し。
筆者の場合、天井はガーゼのままであり、上からの落下物に注意。
ちなみにケース自体は、高所の窓際に設置(&テープ固定)してある。
ここなら雨粒が稀に侵入してくる程度だし、風通しも野生同然。
あまりにも豪雨なら窓を閉める。
網戸とサッシを予め掃除したおかげか変な虫も見当たらず、このまま彼だけの環境が続けばと思う。
もうフンはしないがケース内衛生を定期確認。
ハウスダスト(ダニ含む)が溜まらないように。
サナギの糸は丈夫だが、万一の落下に備えてクッションも必要。
ティッシュ5枚くらいを折り畳み、これが広がらないようにテーピング。
もしティッシュが広がってサナギに接触し続けると、腰振り(防衛動作)で自滅リスクあり。
水分対策について。
熱い夏場だが、サナギは乾燥に強いおかげで対策不要らしい。
下半身の両サイドにある『気門』から、湿気混じりの空気を吸う。
…これで足りるんか?
葉々から僅かに湧き出るとされる『蒸散水』は絶品とのこと。
なら水源付きの葉を置くべき?
しかし、気付かずに葉がカールしてサナギに接触し続けたら危険。
筆者の場合、我流の加湿器を置いてやった。
飲料水とティッシュを紙コップ(ほぼ底面のみ)に詰めただけ。
レジ付近にあるスポンジみたいな。
湿度維持には充分よね?
いざコップが転倒しても、多くがティッシュに染み込んでいるおかげで、洪水にならない。
あとはカビ菌防止として1日1回交換した。
乾燥以前に熱死する直射日光下には誰も晒さんだろうけど、日陰でも高温なんだよなぁ…。
逆に、水の摂取量が多すぎると、それもそれで成虫形成(または羽化)に支障が出るらしい。
ホント、本人または専門家に聞かな分からん。
旧情報の『霧吹き』も注意の上でならアリ?
気門ギリギリ掠るくらいを目掛け、細かな霧をシュっと。
最後に余分な水気さえ拭き取れば大丈夫…と思う。
厳密には専門家に聞いてね。
後に気付いた事だが棒1本じゃ足りない。
タテ棒を何列か、またはガーゼで、とにかく広範囲を覆うべし。
サナギの糸の接着点のすぐ上へと壁登りできるように。
これが羽化時に必須。何度も言うけど必須。
じっとしているサナギだが、全身緑なら健康に生きている証拠。
羽化の数日前に迫ると、上半身が濃い緑となっていく。
保護色で最初から茶色い場合は分からん。
羽化寸前、サナギ殻がほぼ透け、内部で折り畳まれた羽(黒や黄)を透視可。
普通に夏型サナギだった故か、ここまで1.5週間ほど。
こうなれば高所の窓際に置きっぱじゃアカン。(←筆者の場合)
緊急時に人間の手が届くように、1階の窓際などにケース移動させるべし。
人工照明から遮断も。
あと何度も言うが、画像のような箸1本じゃ足りない。
夜明け以降。
厳密な時間は断定不能。
夜明け早々でも快適気候ならすぐに殻から出てくるし、騒音や人工照明などで寝不足だった場合は(多分)眠ったままだし。
人間が立ち会えるとは限らないのだ。
とにかく早起きを…。
いっそ人間が起床するまで、ケースごとダンボールで囲って朝日遮断しておくのも手?
分からんけど。
朝5:30ごろ、サナギが少し動いたと思いきや、パキっと割れて羽化。
折り畳まれていた脚と触覚を伸ばしながら成虫誕生。
棒が狭すぎるせいで落ちそうだった。本当に申し訳ない。
どうにか登り、重そうな翅(はね)を乾かしている。
殻から出ることも『羽化』だが、翅伸ばしの段階も含めて『羽化』だ。
無防備なイモムシ期からここまで到達できただけでも奇跡なのに、この羽化に成功するか否かも峠。
筆者の場合、しがみつく足場面積を広く見積もるべきだった。
ケースが狭すぎて高度も足りず、翅とサナギ(抜け殻)が接触しそうで危険。
テープは和紙製だが布に比べりゃ足が滑りやすい。
またもや彼の生命力依存になってしまったのだ。
よく見掛ける市販ケースよりも少し広く、でも広すぎない、そんな絶妙なサイズが理想。
そして木製品やガーゼをもっと追加せねば。
狭い中で、ザラザラ質の足場にしがみつき(orぶら下がり)、翅を乾かしていく。
翅の模様としても浮き出ているが、この脈を通じ、翅全体に栄養供給しているようだ。
まだまだ軟らかい翅は、少しの衝撃でも曲がりやすく、最悪は脈が折れて羽化不能になる。
羽化不能に陥れば飛べなくなり、エサ探しも求愛飛行も不能。
羽化中の落下がどれほど命取りか。
決して衝撃を与えぬように、サナギ(抜け殻)を除け、ケース全体を傾けてみた。
これでぶら下がり環境になったか?
あとは腕力を信じる。
にしてもサナギ糸は案外丈夫だった。
こうして外界に出るのは保護当時以来。
名残惜しさもあった。
恐らく死にかけだったイモムシ期から、立派に成長してまた外界へ挑戦させるわけだ。
虫の飼育とはそういうもん。
人間ぐらいに強くなって天敵なんて蹴散らしちまえ!とはいかんよね。
極論、人間の文明力を以って彼専用バイオ楽園を作ってやってもいいが、それは今から羽ばたこうとしている彼の望みではない。
1時間で飛ぶ事例もあるが、彼の場合は3時間ぶら下がっていた。
飲まず食わずの中から出てきたばかりの体力で、落下リスクもあっただろう。
翅が広がってきた今、少し刺激覚悟の判断。
薄目ポカリを足場に染み込ませてみた。
…全く飲まない。
確か前脚で味覚感知よね?
恐らく感知していながら、飲まずに平気か?
蝶の口を爪楊枝などで伸ばすプロもいるらしいが…、無理に暴れそうだったもんで試せなかった。
遂に3時間経過。
自分の育った飼育ケースを、自らの脚で登頂しだす。
そこで体幹固定しながら翅を高速開閉。
突然得た大きな力を既に使いこなせるようだ。
十数日前まではイモムシだったのに、今や飛ぼうとしているんだよ。
虫ながらも『巣立ち』を認識しているに違いない。
開閉が40秒ほど続いた後、力強く飛び立った。
飼育失敗しそうな中で無事に1匹排出完了。
生きて成虫になれた者の使命として、必ずや種の存続を果たしてくれるだろう。
以降は人間の介入余地ではない。
知識足らずの飼い主だったが、だからこそ保護されないように、家の前で死にかけたりはするなよ?
祝杯行事を兼ねて、ポカリ入り紙皿を庭中に置きまくった。
※紙皿を地面に固定すれば近所迷惑にならない。
もし野垂れ死にそうになっても、これで運良く助かればと。
にしてもケース掃除、エサ調達と、あらゆる感覚がまだ手に残っている筆者。
飼育対象を想っての事だったが、虫族の寿命的にアイツのほうが先に逝く。
長くても今から3週間?
その3週間以降も、この手に飼育感覚は残り続けてしまうだろう。
とっくにお別れした相手であることを受け入れねば、互いに前進方向へは進まない。
虫含む野生動物に「早死に」が付き物だからこそ、その齎した影響を尊うべきなのだ。
ここでお別れできなければ、残った飼育感覚の捌け口を求めて次々飼っちゃうんだよね…。
まぁそれも愛の継承ってやつか。