サステナブルな分散型秘密計算基盤 

誰でも簡単かつセキュアに使える秘密計算基盤の構築に向けて

 

ミッション

秘密計算(Secure multi-party computation, MPC)は、データを秘匿したまま処理が可能な暗号技術であり、個人・企業の機密情報の利活用を促進すると期待されています。本研究では、従来課題の「秘密計算プロバイダへの信頼の必要性」および「プロバイダが不在の状況の運用の困難性」を解決し、ユーザ同士で構成されるオープンな分散環境下の効率的な秘密計算の基礎理論確立、および、ユーザインセンティブ設計が組み込まれ持続可能な運用が可能となる基盤開発を行い、その両者を融合することでサステナブルな秘密計算基盤の実現を目指しています。


 

効率的な秘密計算

少数パーティのための効率的な秘密計算プロトコルは数多く存在します。これは中央集権的なプロバイダに基づくシステムに適しており、例えば3台のサーバに基づいて秘密計算を行うものです。本研究では、任意の数のパーティで、中央サーバなしで効率的に実行できる秘密計算プロトコルの構築を目指しています。本プロジェクトのこの部分を「データフロー」を意味するdFlowと呼んでいます。

インセンティブ基盤

中央集権的なプロバイダを持つMPCシステムは、その運用を決定的にプロバイダーに依存しています。我々は、分散型、すなわち、中央集権的なプロバイダーなしで運用できるMPC基盤を提供することを目指します。これに向けて、利用者の(金銭的)インセンティブを組み込んだ決済基盤の構築を目指します。本プロジェクトのこの部分を「インセンティブ・フロー」を意味するiFlowと呼んでいます。

秘密計算とインセンティブ

最後に、持続可能な分散型セキュア計算インフラを得るために、MPCとインセンティブ基盤を組み合わせます。両者を組み合わせる際の課題は、dFlowとiFlowの間の公平性を確立することである。このシステム全体をdiFlowと呼んでいます。

暗号理論+形式検証

私たちのチームは、理論暗号、形式検証、ハードウェアセキュリティなど、様々な分野の研究者で構成されています。私たちは、暗号学的に安全であることが証明でき、かつ、その機能的正しさも形式的手法で検証可能なシステム/プロトコルの確立を目指しています。また、ハードウェアの支援に基づく新たな解決策も模索しています。

 

ニュース / ログ

本プロジェクトについて

本プロジェクトは、JST CRESTの「S5基盤ソフト」研究領域(基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0のための基盤ソフトウェアの創出)で行われるプロジェクトです。2022年10月より5年半の計画で実施される予定です。

 

ご連絡先

ご用件の方は、以下のメールアドレスまでご連絡ください。

[メールアドレス: n.attrapadung (at-mark) aist.go.jp]