2026年7月19日から24日までUniversidade NOVA de Lisboa(ポルトガル)で開催されたXLVI Dynamics Days Europe 2026にて、以下の研究発表を行いました。
・口頭発表
Eiki Kojima, Noise-induced chaos in dissipative magnetic pendulums
概要:本発表では、ノイズによって過渡過程にのみカオスが誘起される「ノイズ誘起過渡カオス」という概念を提案し、Stuart–Landau振動子および散逸磁気振り子を用いてその特徴を示しました。これらの系に微小なノイズを加えると、決定論的な場合には現れない長時間持続する過渡的なカオス運動が観察されます。こうした過渡的カオス挙動は有限時間リアプノフ指数によって特徴づけられ、軌道アンサンブルがランダムアトラクターに収束する過程を描画することで可視化できます。本結果は、微小なノイズがアトラクターそのものではなく、過渡ダイナミクスのみを定性的に変化させ得ることを示す物理的な例を与えています。
・ポスター発表
Eiki Kojima, Coexistence of stochastic resonance and stochastic chaos in random dynamical systems
概要:本発表では、Mackey–Glass方程式において確率共鳴と確率的カオスが共存する「カオス的確率共鳴」が観察されることを報告しました。古典的な確率共鳴では、最大リアプノフ指数が負となるランダム点アトラクターによって共鳴点付近のダイナミクスが記述されるのに対し、カオス的確率共鳴では最大リアプノフ指数が正となるランダムストレンジアトラクターが現れます。Mackey–Glass方程式に加えて、Duffing方程式および減衰を伴うFitzHugh–Nagumo方程式においても同様の現象を確認しました。これらの結果は、カオス的確率共鳴が強い非線形性をもつランダム力学系に幅広く現れ得る普遍的な現象であることを示唆しています。
本研究は、競輪の補助を受けて実施しました。