2009年8月
札幌市の特別養護老人ホームで働いていた二人は、施設の介護業務の中では実現できない理想の介護を夢見ていた。
二人が兼ねてから密かに描いていた夢とは、利用者さんと一緒に、その時やりたいことを心ゆくまでやる・・というとてもシンプルなことだったが、施設介護ではなかなか実 現できないことだった。
そして、二人は夢の実現のため「地域に密着した家庭的なデイサービス」の立ち上げを決意する。
2009年10月
ひと足先に退職した管理者は、さっそく起業道場に入門し、経営の勉強を始める。
2009年11月
二人は通所介護に関する情報収集を開始する。
まずは、二 人の理想である「庭のある一軒家」の貸家物件を探す。
しかし、不動産屋に「事業所に一軒家を貸そうという大家 さんはなかなかいないよ」と冷たく言われ、愕然とする。
不動産屋を何件はしごしても、どこも意見は同じで、初めから大きな壁にぶつかる。思い描く理想はるか遠いと思い知らされ暗雲が立ち込めるなか年末を迎える。
2010年1月
新年は、昨年からの暗い気分を吹き飛ばそうと、心機一転 法人設立の方法を勉強する。
しかし、はなから大変そうに感じた二人は、法人設立の達 人である社会保険労務士の説明を聞いてみる。
すると、話を少し聞いているうちに、お金が沢山かかると 知り、甘い考えから目を覚まし、いちから自分たちで法人 登記をしようと考え直す
2010年2月
会社名と事業所名を決めるのに、お互いの家族にもアイディアを募り、あれこれと考える。
事業所名は、親しみやすく、デイサービスに笑顔がたくさん実りますように・・という願いを込めて「デイサービスすずなり」(笑顔がすずなりに実るように)と名づける。後に、一軒家でデイサービスをする雰囲気が名前からも伝わるように、民家型というフレーズを頭につけて、「民家型デイサービスすずなり」となる。
会社名は、何度かまどに入れて火をくべても、なかなか燃え尽きず、炭になっても役に立つといわれている樹木の名前「ななかまど」から、「合同会社 ななかまど」(しぶとく生き残るように)と名づけ、会社を設立する。会社登記は、やってみると意外と自分たちで出来た。
その後、創業助成金を利用することも決めて、皮算用をする二人だったが、収支計画表に取り組むと、すぐに資金は底をつく現実に直面し肩を落とす。
2010年3月
不動産屋には昨年からのトラウマがあり、何だかんだと
物件探しを先延ばしにしていた二人だったが、過ぎて行
く時間に急に焦りを感じ始め、不動産屋回りに本腰を入
れる。
しかし、何十軒もある物件の中、やっと見せてもらえた
のはたったの数件。ほとんどが、「事業所には貸さない」
と門前払いの結果となる。いい物件を見つける度に冷た
く断られ、事あるごとに一喜一憂を繰り返す。
2010年3月末
不動産屋には昨年からのトラウマがあり、何だかんだと
物件探しを先延ばしにしていた二人だったが、過ぎて行
く時間に急に焦りを感じ始め、不動産屋回りに本腰を入
れる。
しかし、何十軒もある物件の中、やっと見せてもらえた
のはたったの数件。ほとんどが、「事業所には貸さない」
と門前払いの結果となる。いい物件を見つける度に冷た
く断られ、事あるごとに一喜一憂を繰り返す。
三月も終わろうとする頃、やっと大家さんの了承が得ら
れた、月寒東の素敵な物件にめぐり合い、晴れて契約となる。
2010年4月
事業所の鍵をもらった当日、意気揚々と中に入って「ここでデイサービスを始めるんだ・・」と、感慨深い思いで気持ちを新たにする。
家の中は、天井の飾りが素敵で、今では珍しい雪見障子などもある、広くてとても見通しのいい造りだった。
が、ひとつだけ、お風呂が古いタイル作りで改修が必要ということになり、1ヶ月の改修工事が始まった。
2010年5月
たくさんの人の協力で、家具や食器を譲って頂き、備品や送迎車も購入し、何とか体裁が整う。
事業所の看板は、木の素材にこだわりがあった二人は、木製の看板を手がけている業者に見積もり依頼をしてみるが、合板の素材に比べると、目が飛び出るほど値が張る事を知る。
しかし、諦めの悪い二人は、「自分たちで作っちゃおうか」と無謀な考えで、足を運んだある木材屋で、たまたま訪れていた「木違工芸家 古瀬さん」に出会う。
出会ったその日に、持ち前の図々しさで何とか頼み込み、予算内で看板を製作して頂けることになり、「民家型デイサービスすずなり」の看板が、二人の理想どおりに完成した。
2010年6月
スタッフは、元同僚の看護師二人が私たちの思いに賛同してくれて、有難い事にトントン拍子に決まった。
迷いに迷った営業時間や、営業内容もやっと決まる。
同時に石狩支庁への通所介護事業所の申請手続きも、順調とまでは行かないが少しづつ進み、あとは消防の点検を残すのみとなった。
が、しかし・・・消防に問い合わせたところ、追加の内装工事が発生することになった。(想定外の痛い出費と、開設も延期せざるを得ない状況・・・。)
ここに来て、6月初めに予定していた開設も三週間程の延期をせざるを得なくなり、玄関に張ったばかりのオープン予定を知らせる張り紙の「6月オープン予定」の文字の最後に、慌てて「末」という字を付け足した。
オープンが延期となる中、すでに予定されていた開設パーティーは、都合を合わせて頂いたお客様の手前、開催しないわけにも行かず、予定通り行われることに。
当日は、山菜御飯や春巻き・五目卵焼き・・etcおふくろの味が並ぶバイキングと、庭ではジンギスカンを振舞って、盛大なパーティーとなった。
石狩支庁の認可申請も無事受理され、6月28日に指定事業所の認可 が下り、念願のオープンが7月1日に決定する。
昨年の、開設を決意した頃から待ちわびて下さっていた利用者さん二人に、オープンの連絡をし、早速利用の契約準備が始まる。
2010年7月1日
オープン当日は、スタッフ全員と利用者さん二人が顔を合わせ、お赤飯でお祝いをする。
あとがき
立ち上げの道のりは、正直わからない事だらけで、行ったり戻ったりのでこぼこの道のりでした。
その度に二人で落ち込んだり、励ましあったり、時には現実から目を逸らしたり・・・周りの家族に助けられながら、何とかオープンを迎え営業始めることが出来ました。
これからも、まだまだ皆さんに助けてもらいながらの私たちで すが、末永く「民家型デイサービスすずなり」を温かく見守ってくだされば幸いです。