咬合と安定を考えた人工歯排列
咬合と安定を考えた人工歯排列
模型製作時、水平的に見て患者固有の歯列を観察する(プライマリアナライシス)
歯の生えていた部位を観察して記入する(舌側歯肉縁残遺)
解剖学的平均値と顎堤粘膜を観察し歯の位置を推測する、患者さんにあったアーチを模型から認識しておく
前頭面、矢状面からも顎堤の対向関係や吸収状態を観察する(プライマリアナライシス)
前頭面からの顎堤の対向関係
矢状面左
矢状面右
咬合採得後、カンペル平面、正中矢状面を基準として咬合器マウントしたあと、対向関係を観察する(セカンダリアナライシス)
側面から見て顎堤の急斜面を調べる
急斜面の位置、安定する位置を模型に記入する
安定する位置に5,6番を排列するのが望ましい
咬合器上で人工歯の排列位置を想定する
側面から見たときの安定する排列位置を観察する
急峻な顎堤上で強く咬合すると義歯を前方に押し出す力が加わる
前方から見たときの対向関係を水平的歯列を観察した情報を元に
人工歯の排列位置を観察する
総義歯の咀嚼圧の上下顎堤の力の関係
Stableの位置に咬合の中心を UnStableの位置は基本的に強い咬合はさせないほうが良い
上下の義歯床下粘膜に垂直的に力を加える事により安定が得られる
上顎前歯部の人工歯大きさの選択の例
口角線
口角の位置に犬歯尖頭の位置になる場合が多いので人工歯選択の目安になる(口角は動いて不安定なので鼻翼から垂線を下ろして記入すると良い)
ノギスで距離を測って人工歯の大きさを選ぶ
顎・顔面計測器(KAWARADA DENTURE SYSTEM)を使用しても人工歯の大きさの目安になる。(前頭面から見た左右頬骨の最大豊隆部の幅の1/16が中切歯の幅径となる)
咬合平面板を使用して前歯部を平面通りに排列していく
適切なリップサポートを考慮して前歯部3面形態の切縁側を下顎外ボーダーに向け円弧を描くように
前頭面から見た咀嚼圧の力のベクトルを考える
1.歯槽帳間線法則(左図)顎堤の外に向く
2.顎堤方向に力のベクトルを向けるために反対咬合にすると舌房を狭くする(中央図)
3.舌房を阻害しないために舌側化咬合をさせる。プライマリアナライシスで観察した歯の生えていた位置に排列するのが望ましい(右図)
上顎は舌側歯肉縁を想定した位置に
下顎は6番相当部で歯槽頂に位置させる
上下顎で義歯床下粘膜の顎堤方向を考慮し舌側化咬合を与える
下顎は前後的な顎堤傾斜のStable(安定する)範囲に6番を排列する
最後に下顎前歯部を臼歯部同様に顎堤に向かって力のベクトルが向くように
歯軸は顎堤の歯の生えていた歯槽頂付近に向かわせる
側面から見たときの歯軸
顎堤方向に向かわせる
臼歯部の展開角を考慮しつつ上顎前歯との被蓋関係を調節しながら位置と歯軸を決定する
最終的な前歯部の接触関係も顎堤の外方向に力のベクトルが向かわないようにする 2級で前後的にロングストロークな噛み方をするケースの場合は上顎前歯部舌側面にインサイザルテーブルを作り力のベクトルをコントロールする(ロングセントリックオクルージョン)
この時偏心運動は前歯臼歯共に同調するようにする
機能安定した総義歯の完成