複雑系コースでは、自然や社会の法則性に広く関心を持ち、それを数理的にモデル化し、分析する(モデリング&データ分析)能力を育成することを目指します。研究対象は、数学、物理学、生物科学、脳科学、経済学、天文学などの幅広い領域のなかから各々のの興味に合わせて選ぶことができます。カリキュラムは、モデリングとデータ分析の基礎を包括的に学ぶものです。
1. モデリング (Modeling)
常微分方程式系: 科目「複雑系科学実験」など
離散モデル(ネットワーク一般): 科目「ニューラルネットワーク」など
連続モデル:「システムと微分方程式」,「システムと微分方程式続論」など
2. データ分析 (Data analysis)
統計解析: 科目「確率論と情報理論」など
時系列解析: 科目「信号処理基礎」など
3. 情報科学基礎 (Information science)
プログラミング: 科目「情報処理演習Ⅰ」など
進路として、複雑系コースで学んだ知識・技術は、データサイエンティストやシステムエンジニアとして働く際に役立ちます。また、数理・科学分野の研究を進めたい場合には大学院進学を勧めています。
「複雑系(Complex systems)」とは、複雑系科学分野の研究対象 である「個々の要素からは予測不能な結果を全体として生み出すシステム」を指します。
世の中の多くのシステムは「複雑系」です。 例えば、野球(要素:選手、全体:試合)、運送システム(要素:商品、トラック、全体:流通)、交通システム(要素:車両、全体:渋滞)、気象システム(要素:空気の密度など、全体:天気)、などです。
複雑系を理解するために、「系(システム)」の挙動を再現できる数理モデルを構築・解析したり(モデリング)、実計測データの解析から「系」の本質を明らかにしたり(データ分析)する研究が行われています。
「カオス」や「フラクタル」はその記述の簡潔さと挙動の複雑さから、モデリング・データ分析の好例であり、科目「複雑系科学演習」などカリキュラムに導入されています。
複雑系の研究対象はさまざま(物理学、生物科学など)ですが、その研究手法には普遍性があり、さまざまな分野での適用・応用が見込まれます(気象予測、株価予測、最適制御など)。
複雑系コースの教員は、モデリング・データ分析などの数理に基づく研究を専門としていますが、その研究対象には広がりがあります。
香取勇一 (脳の数理モデル、ニューラルネットワーク、脳型人工知能、非線形ダイナミクス、データサイエンス)
川口 聡 (統計力学,非線形物理学)
川越 敏司 (ゲーム理論,実験経済学)
斉藤 朝輝 (非線形科学)
櫻沢 繁 (生物物理学)
佐々木 博昭 (数理情報,信号処理,機械学習)
佐藤 直行 (脳科学,脳理論,計算論的神経科学)
鈴木恵二 (エージェント・ベースド・シミュレーション)
髙橋 信行 (確率過程論,電磁界理論,近接場光学)
竹之内 高志 (統計的機械学習,パターン認識)
田中吉太郎 (現象数理学,数理モデリング,数値計算,解析)
由良 文孝 (離散可積分系,セルオートマトン,量子情報理論)
ヴラジミール・リヤボフ (電波物理学,非線形科学)