あ や
文の見た空 2022年版
作・演出 任 泰 峰
この荒地に飛行場を……
大正5年……火山灰の痩せた荒地で空を見上げ夢を語る男たちがいた。
それから10年が経ち……スペイン風邪の猛威も過ぎ去った大正15年。
小樽新聞社から千歳村で観楓会を開催するための協力の申し入れが。
当時の千歳村には大人数の仕出し弁当を用意できる店はなかった。
川合村長は答えた。
「真心を込めて三平汁と山ぶどう酒で村民一同精一杯のおもてなしをいたします。」
村長のその言葉に、小樽新聞社は感謝の心を込めて申し出た。
「千歳の空に、新聞社所有の飛行機を飛ばしましょう。」
その飛行機を、着陸させてください
飛行機を是非とも見たい。村民みんなで、間近で見たい。ただ、着陸には着陸場が必要だった。
「ないのなら作ろうじゃないか」語りかける村長の心は熱かった。心合わせ、村民総出で着陸場はつくられた。
大正15年10月22日、「北海」第1号は村民と近隣から集まったおよそ1万人の眼前に舞い降りた。こここから〈そらのまち・千歳〉の歴史が始まった。
✈︎ ストーリー
物語は一人の高齢の女性、田畑文の回想から始まる。大正時代に苫小牧の勇払から千歳に家族で移り住んだ文は、地元の名士の息子と喧嘩するなど、負けん気が強く活発な少女時代を過ごす。友達と元気に過ごす日々に、千歳村を下見に来た酒井操縦士や飛来した北海一号機を目に焼き付ける。やがて成長して結婚するも、時代は太平洋戦争の混乱の時代へ。終戦、夫の死の憂き目を見るが、戦後はダンスホールの清掃や洗濯の仕事をして、3人の娘を育て上げる。やがて米軍が駐留して千歳の繁華街はきらびやかな発展を遂げるが、朝鮮戦争が暗い影を落とし、文とその家族たちをも巻き込んでいく。
やがて、空港とともに発展した千歳で、年老いた文は空に何を想うのか…。
物語には千歳の住民や米兵、自衛官などが登場。アイヌ民族との関わりや朝鮮人の存在といった「正史」に記されることの少ない事柄も盛り込むなど、骨太な内容となっている。
✈︎ 私たちの思い・願い
○ 史実に即した作品を…
可能な限り歴史的事実に即した作品とするため新千歳市史などの文献資料を踏まえるとともに郷土史研究家の守屋憲治さんの助言・監修を得て制作しました。
○ 歴史的事実は“事実”としてうけとめて…
過去は変えることができません。たとえ不都合なことであったとしても事実は“事実”として心に受け止めるプロセスなくして歴史を未来へと紡ぐことはできないと、私たちは考えます。
○ 未来へと一歩を踏み出す力となることを願って
『文の見た空』は、単に村民総出で造った着陸場が国際空港へと発展する「空港の歴史」を描いた物語ではありません。「この地に飛行場を」と願い努力した人々、飛行場に寄り添いながら激動の時代を懸命に生きた名もなき市井の人々の姿を描いたものです。この物語が「未来へと一歩を踏み出す人々へのエール」となることを願っています。
第2回公演オールキャスト 画:小笠原恵子
✈︎第2回公演の概要
日 時 2022年11月26日(土)27日(日)
場 所 北ガス文化ホール(千歳市民文化センター)中ホール
上演時間 公演A:2時間50分 公演B:2時間45分 公演C:2時間40分
共 催 千歳市民ミュージカル実行委員会 千歳市 公益財団法人北海道文化財団
後 援 北海道 北海道新聞社 UHB北海道文化放送
特別協賛 山三ふじやグループ
協 力 NPO法人バーンシュタイク フードバンク千歳すまいるはーと 千歳スカイシティコンサート実行委員会
5月15日〈山三スタジオ〉開設/22日オーディション
6月 5日 稽古「初顔合わせ」
7月24日〜8月27日 新型コロナのため稽古中止
11月22日〜 公演準備(舞台セット・照明・音響)
11月26日(昼)ゲネプロ(35人)/(夜)公演A(265人)
11月27日(昼)公演B(290人)/(夜)公演C(220人)
キャスト:千歳・恵庭を中心に42名(7歳〜79歳)
✈︎ 出演者・スタッフ(順不同)
姉崎るり子/石渡敏/石徹白悟/大津山茂/小笠原恵子/小川弦太/菊地利恵子/木村正子/佐々木華鈴/佐々木容子/佐藤 葵/佐藤英一/塩野潔/芝日桜莉/ジュニア・コホ/菅 龍也/高椋勇一/田中美緒/辻井一郎/ハナノタネむつ美/花見智哉/濱邊典子/林奈津美/平賀晴海/大林由美子/松本直人/みなみてるや
〈千歳市立駒里小中学校のみなさん〉
岩崎小和/岩崎優和/小園鈴星/窪田真/窪田環/関口杏奈/中園瑛太/増渕蒼桜/増渕駿ノ介/山下凛佳
〈日本航空大学校 北海道千歳空港キャンパスのみなさん〉
内山はずき/小山内優衣/鹿内美紅/末吉芽衣/田鎖ひなの/町中来夢
〈スタッフ〉
大場寛斗/佐藤 葵/塩野 潔/黒沢実由/田口麻里/中田れいな/西尾優花/平沖崇徳/横田直子/吉永 楓