下地啓五1),青木茂樹1),堀 正明1),中西 淳1)
1)順天堂大学医学部放射線医学講座
拡散強調像は超急性期脳梗塞が直接描出可能という他の画像検査法にない特徴により広く臨床応用されている。脳梗塞の検出においては等方性の拡散強調像(isotropic DWI)が用いられているが、脳における水分子の拡散には白質線維による異方性があるので、条件を満たしたMRI撮像を行いテンソル解析することで、脳白質の情報を非侵襲的に画像化できる。画像化の手法としては、見かけ上の拡散係数apparent diffusion coefficient(ADC)を画像化したADC map、白質の繊維方向の違いをカラー表示したdirectionally coded color map、異方性の定量評価に用いるfractional anisotropy (FA)を画像化したFA map、特定の白質路を描出するtractographyなどがある。1990年代には年に数報であった関連論文の数は 2011 年には900 報以上となり、すでに脳画像解析のツールとして定着している。講演では各種拡散テンソル画像を供覧するとともに、拡散テンソル解析でアプローチする錐体路を中心とした運動制御系の描出や脳白質の加齢性変化について紹介する。