高齢者の体力測定課題を模擬する運動生成認知機能イメージング課題の開発
田中あゆ子1) 杉浦 圭2) 福田洋治3) 毛利公美4) 中井敏晴1) 白石 善明2)
1)国立長寿医療研究センター 2)名古屋工業大学情報工学科
3)愛知教育大学教育学部情報教育講座 4)岐阜大学総合情報メディアセンター
認知症は記憶障害や失見当識などの行動障害が中核症状とされるが,複雑な運動の生成過程に必要となる認知機能も認知症の進行に伴って機能が障害されると考えられる.一方で,高齢者の健康増進のために体力測定が盛んに行われているが,認知機能計測を使って高齢者の運動能力を分析するアプローチはまだ少ない.認知処理を可視化する脳解析法にfMRIがあるが,物理的制約から大きな身体動作を伴う課題を使った測定は難しい.我々は高齢者の高次運動機能を評価するために実際の体力測定で用いられる「豆運び」をモデル化し,運動概念形成や知覚運動変換までの認知過程を評価する課題提示ソフトウェア(BTT)を開発した.従来法では最終的な点数だけが評価指標であったが,BTTにより一連の作業に含まれる要素運動制御ごとにパフォーマンスの評価が可能になり,豆を掴む作業と運ぶ作業の成績には相関は無く独立であることが示唆された.BTTはPCを使った高齢者の行動計測とfMRIで共通に用いることができるので,フィールドワークで得られた計測データを脳活動の観点から評価できるだけでなく,高齢者の体力測定結果を運動生成に関与する認知機能の面から評価する目的でも応用できる.