動的なシステムに対して安定性や最適性を考慮した制御方法に関する研究をしています.
安定性とは,システムの挙動が発散しない性質のことで,最も大切な制御特性です.
最適性に関しては,特定の制御方法のなかで目的に最も適した制御パラメータなどを数学的な方法を用いて系統的に導くことを指します.
また,複数の制御対象を通信などを想定したネットワークを介して自律的に制御する方法を研究しています.
ネットワークはグラフ理論と関係が深く,行列を用いて通信を表現することができます.
ネットワークに関する制御では,セキュリティを考慮することが大切と考えています.
以上の研究に取り組む手段として,最適化技術とロバスト制御の技術を用いることが比較的多いです.
最適化技術は,応用数学としての数理最適化手法やその考え方を指します.
ロバスト制御は,古典制御と現代制御に続いて発展した制御です.古典制御で取り扱う伝達関数と現代制御で取り扱う状態空間表現の良さを活かし,システムの不確かな要素を考慮して安定性や制御性能を数学的に保証する制御です.
研究がある程度進めば,実験装置に制御則を実装して成果を検証することがあります.
以降このページでは,研究のイメージ図を示し,キーワードと簡単な説明を加えています.
具体的な内容については,研究室見学期間に学生がその一部をご紹介します.
研究室見学をご自身の一年後を想像する手助けとしてください.
制御対象のモデルを使って不確かな状況を考慮しながら,未来の制御対象の振る舞いを予測して制御します.
複数の制御対象がお互いに通信を通して交換して情報を用いて自律的に動きながら全体で1つの目的を達成します.
システムの物理パラメータの変動や外乱などがあっても制御系の安定性や性能を保証する制御方法を研究します.
グラフで描かれたネットワークで情報交換できる物理システムを考えます.グラフを行列で表現し,制御則を設計する際に用います.合意制御は代表的な制御手法です.
モデルの構造を利用して実験データから未知の物理パラメータなどを推定し制御系を更新する方法を研究します.
大規模な最適制御問題を複数の計算機で並列的に解くことで負荷を減らし,現実的な運用ができるようになります.
物理量や制御入力の変化が大きくなる(という事象が発生する)ときだけ通信して制御装置や制御対象と通信する頻度を減らして制御します.
原子や量子光などの量子系を対象とした制御をします.とくに,測定による確率の収束を起こさないコヒーレントフィードバック制御を研究します.