刻(とき)を磨く京都・長岡京のこの場所で、
私たちは半世紀にわたり、
一つの喫茶店を続けてきました。ここで大切にしてきたのは、
一杯の珈琲や一皿の料理だけではありません。
窓から差し込む光の角度、
シャンデリアが落とす影の濃淡、
そして、この空間を流れる時間の質そのものです。赤いソファの沈み込みや、
池の水のせせらぎ、
長年使い込まれた床の艶は、
意図して作れるものではありません。
多くの人がここに腰を下ろし、
言葉を交わし、
あるいは何も語らずに過ごしてきた、
その積み重ねの中で、
少しずつ形づくられてきたものです。私たちは、
この場所を「古い店」だとは考えていません。
また、特別な体験を用意しているわけでもありません。
ただ、時代がどれほど速く移ろっても、
ここに流れる刻の速度だけは、
変えずに保っていたいと考えています。もし、外の世界の便利さや速さに、
少しだけ疲れを感じたなら。
どうぞこの扉を押し、
椅子に身を委ねてみてください。私たちはこれからも、
何かを足すより、
磨き続けることを選びながら、
この純喫茶フルールという刻を守っていきます。© 1969-2026 Cafe De FLEUR Nagaokakyo