お知らせ
第20回 古代武器研究会
テーマ:『見せる刀剣』
【開催趣旨】
近年、奈良県富雄丸山古墳で長大な鉄剣が発見され、大きな話題となりました。全長は2mをはるかに超えており、それが実用に供するものでないことは明白です。その剣身が幾重にも波打つ「蛇行剣」であったことも相まって、儀仗としての側面に関心が注がれました。
古代、とりわけ古墳時代以前の刀剣が単なる実戦用武器ではなかったことは、富雄丸山古墳鉄剣の存在に言い及ぶまでもなく、武器研究の黎明期から認識・注目されてきました。古墳時代の墳墓に副葬された刀剣を通観すると、鹿角を素材に不可思議な幾何学文様を刻んだ装具を付す剣、絢爛豪奢な装飾とともに龍や鳳凰の意匠をあしらった刀など、武器としての実用的機能からは必要性を説明し得ない側面を備えた刀剣が数多く認められます。これらは、ときに権力者の力を誇示する媒介物、ときに祭祀行為における呪術的象徴物と、多様な場面で「見せる」行為をともなう道具として使用されたと推定されます。とすれば、刀剣のこうした機能を追究することは、古代社会の実像の一側面を明らかにし得るアプローチといえるでしょう。
古代の武器がもつ表徴機能については、これまでにも幾多の研究者らによってさまざまな検討が加えられてきました。しかし、先学らによる重厚な研究成果の蓄積にもかかわらず、このテーマには依然深化の余地が残されていると考えます。そこで本研究会では、いま一度各種の刀剣資料に立ち返り、改めて「見せる」器物としての刀剣を捉え直すことで、古墳時代において刀剣が有した社会的意味を考究します。
【日 時】:2024年12月21日(土)~22日(日)
【会 場】:滋賀県立大学+オンライン=ハイブリッド
滋賀県立大学 A3 棟301 号教室 〒522-8533 彦根市八坂町2500
JR南彦根駅西口から近江鉄道・湖国バス「県立大学行(南彦根県立大学線)」乗車、「県立大学」下車(所要時間約15分)/JR彦根駅西口・のりば2より近江鉄道・湖国バス「彦根郵便局・大藪郵便局経由県立大学行(城北・大藪線)」もしくは「銀座街・パリヤ前経由県立大学行(三津屋線)」に乗車、「県立大学」下車(所要時間約30分)
【開催方法・参加費】
対面参加:参加費1000 円・学生500 円 事前申込:不要 定員:160 名(先着順)
オンライン参加(ZOOM 使用):参加費:1000 円(資料はPDF 配信)
申込方法:https://peatix.com/event/4149563/view
【12月21日】 事例報告・研究発表・基調講演(ポスターセッション)
11:00 ~ 12:00 開場・受付
12:00 ~ 12:10 挨拶・趣旨説明
12:10 ~ 12:40 事例報告❶「出雲市上塩冶築山古墳の赤鞘の大刀と錫装刀子」坂本 豊治(出雲弥生の森博物館)
12:40 ~ 13:10 事例報告❷ 「中尾遺跡出土の鉄矛について」片岡 啓介(倉吉市経済観光部文化財課)
13:10 ~ 14:00 研究発表❶ 「鹿角装刀剣の社会的意味」山田 俊輔(千葉大学大学院人文科学研究院)
14:00 ~ 14:15 休 憩
14:15 ~ 15:05 研究発表❷ 「蛇行剣の再検討」北山 峰生(奈良県立橿原考古学研究所)
15:05 ~ 15:55 研究発表❸ 「象嵌装刀剣類出土古墳の様相」大谷 宏治(静岡県スポーツ・文化観光部文化局文化財課)
15:55 ~ 16:10 休 憩
16:10 ~ 17:10 基調講演「古墳時代刀剣類研究の課題と今後の方向性」菊地 芳朗(福島大学行政政策学類)
17:10 ~ 17:15 事務連絡
17:30 ~ 懇親会
【12月22日】研究発表・総合討議(ポスターセッション)
08:45 ~ 09:20 開場・受付
09:20 ~ 10:10 研究発表❹ 「装飾付大刀の表徴性と地域社会―出雲地域をもとにして―」吉松 優希(島根県古代文化センター)
10:10 ~ 11:00 研究発表❺「東漢魏晋南北朝の「見せる」武器」藤井 康隆(佐賀大学芸術地域デザイン学部)
11:00 ~ 11:15 休 憩
11:15 ~ 12:15 研究発表❻ 「韓半島における長柄武器の変遷とその背景」金 跳咏(慶北大学校考古人類学科)
12:15 ~ 13:20 昼食・ポスターセッションコアタイム
13:20 ~ 15:20 総合討議 コーディネーター: 齊藤 大輔(島根県立八雲立つ風土記の丘) / 寺前 直人(駒澤大学)
15:20 ~ 15:25 挨 拶
第20回 古代武器研究会のご案内(第1報)
第19回 古代武器研究会 ポスターセッション 概要
小嶋 篤(九州歴史資料館)「熊本県菊池市・菊之池A遺跡出土棒状鉄製品の観察」
繰納 民之(京都大学文学研究科博士課程)「古墳時代前・中期の鉄鉾の系統とその意義」
高尾 将矢(株式会社ノガミ)「河内駒ヶ谷金剛輪寺旧蔵遺物の出土地」
田中 祐樹(文化庁)・高木 公輔(魚沼市教育委員会)「古林古墳群出土品の復元‐明治14年の発掘記録から‐」
徳富 孔一(野良考古学研究所)「漢代及其前後的墓葬出土の鉄環首刀―現状集成報告―」
橋本達也(鹿児島大学総合研究博物館)「「盾形銅鏡」の系譜―行燈山古墳・津堂城山古墳出土銅板の再評価―」
第19回 古代武器研究会
テーマ:『古代武器における研究視点の多様性―材質・製作・装飾技術進化の意義とその調査・研究手法の具体相』
【開催趣旨】
古代の武器は時代とともに、石・木・骨と天然素材の物理加工(引き算)から銅、青銅、鉄と人工素材の化学加工(足し算)へと材質転換を経ながら進化してきた。そして、製作技術の進展から機能性と装飾性を増して、兵仗と儀仗の二面性を兼ね備えた各時代の権威の象徴(威信財)となり、暴力(殺戮)と祈り(救済)と相反する行為に利用されてきた。
古代武器研究会では古代武器の素材や装飾性の変化がどのような歴史背景の中でもたらされ、その変化が後の時代の社会や政治に、どの様に影響を及ぼして行くのか、その具体的な実態解明に迫りたいと考えています。その課題を解決するために、さまざまな視点からの研究成果を総合化していかなければなりません。
今回は、武器における材質の違いや装飾の進化の意義を、従来の考古学的手法に加えて、埋蔵文化財の弱点とも言える劣化した遺物の履歴情報の解明に最新の理化学的な分析手法や実験考古学的な研究手法等、多角的な切口でアプローチしている最前線の研究者にその研究手法や成果を発表いただき、その成果を基に歴史的進化の具体相を考えてみたい。
また、昨年は考古学の世界では、特に古代武器に関して歴史的な発見が相次ぎました。そこで今回は新しい試みとして、特にホットな話題となった三事例を取り上げ、最新の成果と内包する問題意識を発表していただき、その歴史的な意義と問題解決のために、どのような分析手法が有効かを学際的な視点で議論してみようと考えています。(文責 塚本)
【日時】:2023年12月16日(土)~17日(日)
【会場】:(公財)元興寺文化財研究所総合文化財センター(〒630-8304奈良市南肘塚町146-1)
【開催方法】 対面とオンラインのハイブリッド方式(但し、新型コロナウイルスの感染状況によりオンラインのみの場合有)
【主 催】 古代武器研究会
【参加方法】 対面参加:参加費1000円 学生500円 (定員80名:先着順・事前申し込み不要)
オンライン参加:参加費1000円 申し込み:https://peatix.com/event/3696197/view
【駐車場について】 会場へ車の駐車希望の方は事前に下記アドレスまで申し込み下さい。先着20台までです。16(土)夜は置いておくことも可能です。 tsukamoto(あ)gangoji.or.jp ((あ)=アットマークに変換ください)
【12月16日】
12:00~12:10 挨拶 ・趣旨説明
《武器・武具の最新事例報告》
12:10~12:40 事例報告①「福岡市高畑遺跡出土の広形銅戈鋳型-令和四(2022)年調査資料-」 吉武学 〇常松幹雄(福岡市文化財活用部)
12:40~13:10 事例報告②「富雄丸山古墳出土蛇行剣および鼉龍文盾形銅鏡」 村瀬陸(奈良市教育委員会文化財課埋蔵文化財調査センター)
13:10~13:40 事例報告③「熊本城千葉城地区出土の紀年銘象嵌鉄刀」 〇三好栄太郎(熊本市熊本城調査研究センター)林田和人(熊本市文化財課)
《武器・武具の理化学的分析手法の進化》
13:40~14:30 研究報告①「出土品に遺る有機質痕跡を追う」 奥山誠義(奈良県立橿原考古学研究所)
14:50~15:40 研究報告②「古墳時代の武器・武具類を対象とした近年の保存科学的調査成果について-北部九州の事例を中心として-」 比佐陽一郎(奈良大学)
15:40~16:30 研究報告③「武器・武具の復元模造品製作の実践とその意義」 塚本敏夫(公益財団法人元興寺文化財研究所)
【12月17日(日)】
研究報告・特別研究報告・ポスター解説・資料検討会・討論
《武器・武具の材質変化-その意義と研究手法の多様性-》
9:00~ 9:50 研究報告④「石製武器から金属製武器へ-弥生時代後半期に生じる武器材質転換について-」 園原悠斗(兵庫県教育委員会)
9:50~10:40 研究報告⑤「武器形青銅器造形における鋳造と研磨」 吉田広(愛媛大学ミュージアム)
11:00~12:00 特別研究報告「戦国・漢代併行期の北・東アジアにおける鉄器生産システムの枠組み」 村上恭通(愛媛大学)
13:20~15:20 総合討議 コーディネーター 寺前直人 塚本敏夫
15:20~15:25 挨 拶
15:25 研究会終了
第18回 古代武器研究会
【テーマ】 『古代における外来系武器・武具の導入と生産技術展開の様相』
【開催趣旨】
古代の日本列島社会は、「内」としての文化を成熟させていく過程で、「外」からの様々な影響を受けてきました。そうした「外」からの文化的作用は、各時代に一度や二度といった限られたものではなく、波状的なものとして幾重にも存在し、しかもその一つ一つがそれぞれ大きなインパクトを列島社会に波及させました。その結果として生じた文化の変容は、特にモノの製作技術に強く現れます。そのため、かねてより出土遺物にみられる技術の研究は、古代社会の実態を究明するための糸口とされてきました。
「外」からの技術受容の様相をつぶさに読み解くと、日本列島内での主体的・選択的な導入プロセスを経て、各時代の文化的基盤を構成する重要な要素となったことがわかります。弥生時代の鉄器の鍛造や青銅器の鋳造、古墳時代の金工・鍍金・窯業といった諸技術、飛鳥時代には寺院造営に関わる造瓦技術や石工技術などが代表として挙げられます。これらの新しい技が各時代において積極的に採用されていく中で、様々な製品が新たに生み出され、普及しました。中でも、本研究会で扱う武器・武具・馬具は、当時の最新の技術が取り入れられる傾向が強く、外来系文化の受容や生産体制の変化、対外交流の動向などを考える上で非常に重要な遺物であるといえます。
そのため、「外」から伝播・普及する技術の実態に対するアプローチは、各時代の社会構造の解明を試みる研究者らによって、それぞれ主要なテーマの一つとして取り上げられ、数多くの研究が蓄積されてきました。しかし通常、そうした研究は一時代の枠組みの中だけで完結します。外来技術の導入様相を通史的に比較・検討する機会はほとんどなかったといっても過言ではありません。
そこで、第18回古代武器研究会では、弥生時代から平安時代という長い時間幅から外来系武器・武具の様相を改めて検討します。各時代において、それら新来の武器・武具がいかにして導入され定着していくのか、技術的視点から解明し、比較することで、外来系文化の不断の受容を通じて成熟していく古代日本列島社会の実像を追究します。
【日 時】 2022年12月10日(土)~12月11日(日)
【会 場】 公益財団法人 元興寺文化財研究所 総合文化財センター
(〒630-8304奈良市南肘塚町146-1)
【開催方法】 対面とオンラインのハイブリッド方式
(但し、新型コロナウイルスの感染状況によりオンラインのみの場合有)
【主 催】 古代武器研究会
【参加方法】 対面参加:参加費1000円 学生500円
オンライン参加:参加費1000円
https://peatix.com/event/3377288/view
12月10日(土)研究報告(ポスター解説・資料検討会)
12:30~13:15 開場・受付
13:15~14:20 挨拶 ・趣旨説明
13:30~14:20 研究報告①「青銅短剣を持つ人々ー弥生文化の武器の源流ー」 中村大介(埼玉大学人文社会科学研究科)
14:20~15:10 研究報告②「外来系武器から見る弥生社会の様相」 鈴木崇司(駒澤大学大学院/日本学術振興会特別研究員DC2)
15:10~15:30 休 憩
15:30~16:20 研究報告③「古墳時代の外来系武具と倭系武具」 内山敏行(とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センター)
16:20~16:25 事務連絡
16:25~17:10 (ポスター解説・資料検討会)
17:10 1日目終了
18:30 懇親会(新型コロナウイルスの感染状況により中止の場合もあります)
12月11日(日)研究報告・特別研究報告・討論(ポスター解説・資料検討会)
8:30~9:00 開場・受付
9:00~9:50 研究報告④「装飾付大刀生産の拡大と外来技術工人」 金 宇大(滋賀県立大学人間文化学部)
9:50~10:40 研究報告⑤「日本古代の武器比較試考」 津野 仁(元とちぎ未来づくり財団埋蔵文化財センター)
10:40~11:00 休 憩
11:00~12:00 特別研究報告「文献からみた武器・武具生産組織と渡来系技術・文化ー雑戸籍を手がかりにー」 田中史生(早稲田大学文学学術院)
12:00~13:20 昼 食(12:30~13:20 ポスター発表・資料検討会)
13:20~15:20 総合討議 コーディネーター 初村武寛(元興寺文化財研究所)・ライアン・ジョセフ(岡山大学)
15:20~15:25 挨 拶
15:25 研究会終了
第17回 古代武器研究会
第17回 「古代武器研究会」の開催にあたって
今年3月末で、古代武器研究会の代表幹事の田中晋作氏が山口大学を退官され、併せて、当研究会の代表幹事も退かれました。当初は昨年度の山口大会最終回に記念講演を予定していましたが、コロナ禍の中で開催することができませんでした。
また、2018年12月4日には第15回研究会の発表者のひとりであった藤田和尊氏が急逝され、翌年の2019年6月18日には当研究会の発起人で初代代表幹事の菅谷文則氏が、昨年の2020年12月15日には発足当初から幹事として会の運営を支えてくれた阪口英毅氏が相次いでご逝去されました。当研究会にとっては深い悲しみとともに、大きな損失でありました。
このような経緯の中、今年度より事務局を山口大学から元興寺文化財研究所に移し、幹事会のメンバーも一部交代を行い新体制で研究会を運営していくこととなりました。
新体制では持続可能な運営体制の構築と研究会から学会への移行に向けての礎を築くことを目標に掲げて活動していきたいと思います。
第17回研究会ではコロナ禍でも大会を行えるよう対面とオンラインのハイブリッドでの大会運営となります。当研究会では最初の試みでもあり、シンポジウムは行わず1日での開催といたしました。
今回は一年延期となりましたが田中晋作氏の記念講演を行います。田中氏が古墳時代の武器・武具研究から積み上げて、長年追い求めてこられた「古代軍事史学としての体系化」の集大成としてご講話いただきます。
また、研究会の幹事3名には『武器・武具研究の最前線』と題して、兵仗・儀仗としての側面を持つ武器・武具研究をそれぞれの視点で積み上げてきた研究成果を発表いただきます。今回の発表が今後の古代武器研究の方向性を探る一助になれれば幸いです。
また、研究会では相次いでご逝去された三氏への追悼の意を込めて、在りし日の研究会での思い出の写真等を会場での展示やスライド上映して、『追悼記念』の大会としても開催いたします。
代表幹事 塚本敏夫
テ ー マ:『武器・武具研究の最前線』(チラシ pdf)
日 時:2021年12月11日(土)10:00~17:00
会 場:(公財)元興寺文化財研究所(総合文化財センター3階会議室:定員60名)+オンライン(Zoomミーティング)=ハイブリッド
※定員に達し次第締め切りとさせていただきます。
申込方法:事前申込制
【対面参加】元興寺文化財研究所 初村武寛 <hatsumura<@>gangoji.or.jp> 宛
(メールアドレスの「<@>」を「@」に変えて送信してください。)
【オンライン参加】https://peatix.com/event/3069812
参 加 費:一般500円 学生無料
記念講演
田中晋作 『古墳時代の軍事と外交』
研究発表
1.塚本敏夫 『儀仗としての武器・武具―鎮め・祈り・畏敬―』
2.水野敏典 『黒塚古墳にみる副葬祭祀と鉄製武器―古墳時代前期前半の様相―』
3.橋本達也 『古墳時代の甲冑・軍事組織・戦争』
【タイムスケジュール】
10:00 開場・受付開始
10:20~10:30 開催挨拶
10:30~12:00 記念講演 「古墳時代の軍事と外交」
田中 晋作(山口大学)
12:00~13:00 ランチ・タイム
(故菅谷文則氏・故藤田和尊氏・故阪口英毅氏の思い出のスライド上映)
武器・武具研究の最前線
13:00~14:00 研究報告① 「儀仗としての武器・武具―鎮め・祈り・畏敬―」
塚本敏夫(公益財団法人元興寺文化財研究所)
14:00~14:10 質疑・応答
14:10~15:10 研究報告② 「黒塚古墳にみる副葬祭祀と鉄製武器―古墳時代前期前半の様相―」
水野敏典(奈良県立橿原考古学研究所)
15:10~15:20 質疑・応答
15:20~15:35 コーヒー・ブレイク
15:35~16:35 研究報告③ 「古墳時代の甲冑・軍事組織・戦争」
橋本達也(鹿児島大学)
16:35~16:45 質疑・応答
16:45~17:00 新体制発表・閉会挨拶
17:00 閉会
当日会場では、資料展示・ポスター展示・雑誌バックナンバー販売があります。