日常のこころを読み解く脳信号解析法
~ウェアラブル脳計測の利用に向けて~
シンポジウム趣旨
近年脳解析を日常的な場面でも応用しようという機運が高まっている。既にブレインコンピュータインターフェース(BCI)として、意思の疎通の難しい人が脳波を用いて気持ちを伝えるようなシステムの開発がなされているが、今後さらに複雑な脳活動を手軽に計測することができれば、自分の感情状態をモニタしたり、睡眠の質をはかったり、精神的健康の維持などにも役立てられる可能性がある。
しかしながら開頭手術をともなわない非侵襲的な脳計測の多くは、ただ取得された生信号をもって脳活動であると言える場合はほとんどなく、様々な信号処理を経て確かに脳活動であると推定できる成分を特定するというステップ、「脳信号解析」が不可欠になる。
本シンポジウムでは、国内の新進気鋭の研究者たちから、最新の脳信号解析法をご紹介いただく。
広島大学の中尾先生には、近年注目が集まっている安静時脳活動に関して、その時間的変動を定量的に評価する方法に関してご紹介いただく。
島根大学の小野田先生には、脳刺激法を用いて脳活動のネットワーク変動を変化させる試みについてご紹介いただき、その際に脳をネットワークとして表現し、そのつながりや情報の授受の様子を解析するグラフ理論解析についてご教授いただく。
北陸先端科学技術大学院大学の田中先生には、ご自身の開発された解析法である「試行再現性最大法」をご紹介いただく。試行再現性最大法は、新しい成分抽出法であり、特にBCIなどに用いるときに最も有用な信号を抽出してくることができる、非常に将来性の期待される方法である。
松永先生には、幸福感を感じているときの人の脳活動を可視化する試みについてお知らせいただく。脳の構造と機能の両面から解析を行い、幸福感という難しい現象を捉えるにあたって、総合的なアプローチの重要性についてお話をうかがう。また日本とカナダでの差を検証した文化比較に関する最新の知見もご紹介いただく。
またそうした解析技術がどの程度日常応用に役立つのか、参加者を交えて議論したい。
金山範明
開催概要
【日時】
2018年2月20日(火) 13:00-16:00(12:30より入場受付)
【会場】
広島大学 霞キャンパス 臨床講義棟 第4講義室
【登壇者】
「安静時脳活動の時間的構造と心理的要因」
中尾 敬(広島大学)
「安静時脳活動の制御:θ-tACSの効果に関するグラフ理論解析」
小野田 慶一(島根大学)
「一般線形モデルを用いた脳波解析ー自然な状況での脳波計測のためにー」
松本 敦(情報通信研究機構脳情報通信融合研究センター)
「試行再現性最大法:脳波信号解析とBCI応用への可能性」
田中 宏和(北陸先端科学技術大学院大学)
「幸せを可視化する~MRIを用いた可視化の可能性~」
松永 昌宏(愛知医科大学)
【対象】
どなたでもご参加いただけます。
【参加申込】
右記フォームからお申込みください。
【問い合わせ】
広島大学大学院 医歯薬保健学研究科 金山 範明
E-mail:nkanayama*hiroshima-u.ac.jp
(*を@に変えてください)